コワーキングスペースの運営で空気環境を重視した理由

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東京メトロ東西線「神楽坂駅」から徒歩6分、神楽坂の喧騒から少し離れた住宅街にコワーキングスペース「CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂」があります。仕事や作業に利用できるスペースというだけでなく、地域の社会課題を知ることができる場としても機能させたいというコンセプトで作られたコワーキングスペースです。

 

また、CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂では、空気環境も重要視しており、紫外線照射装置「エアロシールド」( エアロシールド株式会社製 ) と空気環境を可視化する「MADO」を導入しています。

 

ここでは、コワーキングスペースをオープンした経緯や、空気環境を重視している理由などについて、CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を運営する株式会社スコープの安部豊さんに伺いました。

 

 

社会が変化する中、広告・プロモーション業界はこのままでいいのだろうか?

 

――CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を立ち上げることになったきっかけを教えてください。

 

 安部:CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を運営しているのは、プロモーションを中心としたプランニングとクリエイティブを行うソリューションカンパニーです。数年前から私は「新規事業開発」を推進するプロジェクトのマネジメントに専念することとなり、構想から2年半かけてCREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を立ち上げることができました。

なぜ、CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を立ち上げようと思ったかというと、社会が目まぐるしく変化していく中で、広告・プロモーション業界はこのままでいいのだろうかという思いがどこかにあったからです。何かしらこの業界での経験を新しいことに活かせないかな、と。

そこで、新規事業を立ち上げようと周囲のメンバーと意気投合したのがきっかけです。

 

 

――スコープさんは、広告・プロモーション業界でどのような業務を中心に行っていたのでしょうか?

 

安部:大手スーパー、商業施設が主なクライアントで、創業から主に折込チラシやPOPの企画・制作をしています。もちろんアナログ手法だけでなくデジタル手法として、インターネット広告やSNSキャンペーンの企画提案も行い、クライアントのさまざまな課題解決に取り組んでいます。

スコープの各営業部隊の役割は、営業1部と2部が大手流通企業のクライアントを持ち、営業3部のクライアントは大手メーカー系です。そして私が所属している営業4部は、ショッピングセンターやアミューズメント施設などが主なクライアントであり、新規クライアント開拓なども積極的に取り組んでいます。新規開拓を数多く繰り返しているうちに、ここ数年で、新たな事業を創出することにベクトルが向いてきている現状です。自らチャレンジすることが好きなアグレッシブ集団ですね(笑)。

もちろん培ってきたナレッジや経験を生かすことを、新規事業でも意識していきたいと考えています。

 

 

時代にフィットする社会課題解決のスペースを

 

――プロモーションの視点で新しい事業をと考えたときに、なぜコワーキングスペースだったのですか?

 

安部:実は、最初からコワーキングスペースをやろうとしていたわけではありませんでした。ビジネスチャンスを考えたときに訪日外国人が年々凄まじく増えていることに当然のごとく着目し、元々は観光・インバウンドをターゲットとした宿泊事業の企画としてスタートしたのです。

ところが、そんな折にコロナ禍となって、進めていた企画に対して社内からさまざまな意見が出てきました。宿泊事業がうまく進められるようになるまで、今はアクションを止めようという意見もありました。そのような状況でも、時代にフィットした課題解決のスペースができないかという思いもあり、メンバーと考えたのがコワーキングスペース事業なのです。

 

 

 

――宿泊事業からコワーキングスペース事業に変更して、そこからはスムーズに進んだのでしょうか。

 

安部:提案後すぐ会社からは、「他社との差別化のポイントはどこなのか」という指摘を受けました。そこで改めてどのようなコワーキングスペースがいいのかを考えたときに、「社会課題解決につながるコミュニティができる場にできないか」と発起人のメンバーから提案があり、すぐさま検討に入りました。

コワーキングスペースに来た人が、地域活性・地方創生などの課題を知り、その解決をするためのコミュニティを形成する場にする、というコンセプトを再度会社に説明し、事業トライの許可を得ることができました。

 

 

地域や社会の課題解決にふれられるコワーキングスペース

 

――確かに、社会課題を解決できるコワーキングスペースというのは聞いたことがないですし、差別化になりそうですね。具体的にはどのような社会課題ですか?

 

安部:例えば、CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂のテーブルや椅子、カウンターテーブル、ソファーなどは、すべて「Boku Moku」というプロジェクトの家具で統一しています。Boku Mokuは、森林保護と環境保全をテーマとしたプロジェクトで、虫食いによって使い道が困難になった和歌山県・熊野の木材で家具や雑貨を作っています。この家具を使い、世の中に広めることも社会課題解決のひとつだと考えました。

また、CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂周辺の課題解決という意味では、町内の集まりにこの場所を提供しました。今後も定期的に使っていただければ嬉しいですね。

 

ほかにも、この地域との取り組みとしてやっていきたいことがいろいろあります。CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂の近くには、3年前まではスコープの本社の拠点がありました。当時は、クリスマスになると近隣の小学校の子供たちを会社に呼んで、映画の上映会をやっていました。クリスマスツリーを飾って、社員がサンタの服を着ていっしょに写真を撮って、帰りにはお菓子を渡すという温かい地域交流を30年程やっていたのです。まさに地域貢献だと思います。

ですが、本社が飯田橋に移転して距離的に遠くなり、コロナ禍もあり、この2年実施できていませんので、ぜひこれを復活させたいと考えています。ほかにもSDGsを学ぶ機会も作りたいです。例えば、定期的に小学生といっしょに地域を清掃する日なども作りたいですね。

 

 

――「近所のスポットMAP」というのも用意しているそうですね。

 

安部:はい。近所のスポットMAPは、神楽坂のメンバー全員で記入しました。ちなみにそのMAPに掲載されているお店のひとつに「離島キッチン」というお店があるのですが、離島キッチンさんなどと一緒になって社会課題解決を行っています。内容としては、日本全国の離島をネットワークでつないで、さまざまな課題解決を行うプロジェクトです。

そもそも弊社の業務は「物流」とも密接につながっているので、離島全体が抱える「物流課題の解決」に、その経験を役立てていきたいと思います。

 

 

――コワーキングスペースではあるものの、ここを社会課題解決のための情報発信やコミュニケーションの場として活用したいということでしょうか。

 

安部:そうですね。今はコワーキングスペースの売上を拡大するというよりも、どれだけ社会課題解決に関係した案件を集め、情報発信し、コミュニティを形成し取り組んでいけるかが最重要と考えています。

とはいえ、オープン当初は本当に手探りでの運営でした。私たちはコワーキングスペースの運営やオペレーションに関してはまったくの素人。本当に何もかもわからず(笑)。お店を持つ、ということは一筋縄ではいかないことを痛感しました。まだまだ勉強せねばと。

ただ、時代に合わせた取り組みはしっかり行っていますよ。コロナ禍でのオープンだったこともあり、決済方法をキャッシュレス決済のみにしたり、空気環境対策を行ったりしています。

 

 

空気環境の良いコワーキングスペースだということをアピールしたい

 

――CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂を作るにあたっては、空気環境にもこだわったそうですね。

 

安部:みんなが集まり、活発にコミュニケーションがとれる場所だからこそ、空気環境は重要だと考えました。コワーキングスペースの企画を社内で通すときも、最初から空気環境対策を行うことがメインコンテンツのひとつでもあったのです。

コロナ禍という状況でオープンするのなら、ニューノーマルに対応するのは必須だと考え、「エアロシールド」を導入しました。空気環境の良いコワーキングスペースだということを利用者の方々にも積極的にアピールしていきたいと思っています。

 

 

――窓が多い造りなので換気しやすそうですね。

 

安部:確かに窓は多いですね。ただ、換気をしすぎるとエアロシールドできれいにした空気が外に出ていってしまうという問題もあります。そこで、空気環境を可視化できる「MADO」も導入して、CO2濃度が上がったときにだけ窓を開けるようにしています。

CO2濃度が上がってくると人間の認知機能が落ちてしまいますし、集中して作業をするためにも空気環境のコントロールは大切だということを、利用者の方に伝えていければと思います。

 

 

――利用者の方からはどのような反応がありましたか?

 

安部:「木の香りが落ち着く」とおっしゃる方が多いですね。その前提として、安全な空気環境であることは大切ですし、そのための設備が導入されていれば利用者の方も安心できますよね。町内の集まりに使っていただいたときも、「住宅街にこうした場所ができるのはありがたい」と言っていただきました。

これからも、学生、ビジネスパーソンはもちろん、パパ友やママ友たちも安心して集まれるスペースにもしたいと思っています。

 

 

――空気がきれいであれば、利用者も安心できますね。

 

 安部:空気がきれいな場所が選ばれるような世の中になっていくといいですよね。CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂も、そういった安心できる施設だと認知されていけばいいなと思っています。

写真右から、株式会社スコープの篠友一さん、安部豊さん、関谷葉留さん、AIR Lab.JOURNAL碓氷友美

 

<プロフィール>

安部豊

イルミネーションプランナーを経て2010年に株式会社スコープに入社。数多くの商業施設やアミューズメント施設のイベント・コンテンツを手掛ける。現在ではショッピングセンターのプロモーションを中心とした営業本部のマネジメントを行いながら、新規事業開発プロジェクトを複数立ち上げ、自身も積極的に参加している。

 

<店舗情報>

CREATIVE COMMUNITY OFFICE神楽坂

住所               東京都新宿区水道町1-32 4・5F

URL               https://www.creative-community.jp/

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