エアラボ通信

2021年5月27日

室内の二酸化炭素量をモニターすることは、なぜ新型コロナウイルス感染防止対策として有効なのですか?

みんなエアー|2021年5月27日

呉 博士(みんな電力顧問)

人は呼吸によって酸素を吸引し、二酸化炭素(CO2)を排出しています。そのCO2濃度を測ることは、新型コロナウイルスの感染防止対策上、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

まず、自分が「CO2計測器」が置かれた部屋に居ることを想像しましょう。窓とドアは閉じられ「密閉度」が高い部屋です。その状態で計測器を見ているとしましょう。そうすると、自分の呼吸によって室内のCO2量が増えるに従い、計測器の数値が上がっていくのが分かるでしょう。ここで、窓を少し開け部屋の「密閉度」を下げます。すると、室内に溜まったCO2の一部が外気と置き換わり、計測器の数値は少し下がるでしょう。今度は窓を大きく開け「密閉度」を更に下げます。すると、計測器の数値は大きく下がり、外気と同程度の値に近づくでしょう。つまり、CO2量を計測することは、部屋の「密閉度」を知る手段となるわけです。

 

次に、窓を大きく開けて、「密閉度」が低い部屋に自分が居ることを想像しましょう。「CO2計測器」は低い値を示しています。この時、1人の友人が部屋に入ってきました。そうすると、自分と友人の出すCO2によって、計測器の数値は少し上がるでしょう。続けて、3人の友人が入ってきました。そうすると、窓を開けていても、合計5人の出すCO2に換気が追い付かず、計測器は大きなCO2値を示すでしょう。つまり、CO2量を計測することは、人の「密集度」を知る手段ともなるわけです。

 

では、CO2計測器が高い値を示した場合、どのような対策が考えられるでしょうか。原因は「密閉」と「密集」ですから、例えば、①:窓とドアを開け、換気扇も回して、空気の通りを良くする(密閉度を更に下げる)。②:大部屋に移動する(人の密集度を緩和する)、などが思い付くでしょう。

 

コロナ禍の初期より、三密(「密閉」、「密集」、「密接」)を避けることが喚起されてきましたが<引用 1)>、上に書きました様に、CO2量の計測は、「密接」以外の二密(「密閉」、「密集」)の程度を知る手段となり、何等かの対策をとるべきタイミングを知らせてくれます。だからこそ、新型コロナウイルス感染症防止対策として有効なのです。

 

第204回国会厚生労働委員会第4号(令和3312日)において、尾身茂会長(新型コロナウイルス感染症対策分科会)は、宮本委員の質問に対し、「・・・マイクロ飛沫というような感染の伝播の方式(*)が非常に重要になってきているという海外の見解については、私も基本的には同じような見解を持っておりまして、したがって、何度も申し上げますように、飲食の場なんかにおいても、私は換気というものがかなり重要になっている。・・・、飲食の場において二酸化炭素濃度なんかをしっかり定期的にモニターして、今のところは大体1000ppmぐらいが目安だと思いますけれども、・・・常に換気を考えるというような食の場における文化というものを徹底していただければと思います。」と述べています<引用 2)>。感染力の高い変異株が主流となり、「二密」、「一密」の回避も叫ばれる昨今<引用 3)>、人が集う場所に「CO2計測器」を設置し、日常的にCO2量をモニターすることは、極めて理にかなった感染防止対策と言えるでしょう。

 

厚生労働省は新型コロナウルス感染防止対策として、商業施設等のCO2量を1000ppm以下に抑えることを喚起しています<引用 4)>。なぜ、1000ppm以下なのか、次回はこの点を考えてまいります。

 

<引用>

1)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/katsudo/2020/03/25_00.html

 

2)https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009720420210312004.htm

 

3)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210430/k10013006461000.html

 

4)https://www.mhlw.go.jp/content/000698868.pdf

 

(*)エアロゾル感染のこと(筆者注)

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