サーラフィナンシャルサービス株式会社は、東海エリアを中心に保険販売やファイナンスなど金融事業を展開する地域密着型の会社で、エネルギー関連事業をはじめとした生活関連事業43社で‟暮らしとビジネスをサポートする“サーラグループの一員です。
企業理念の真ん中に「永く幸せに生きられる社会の実現」を置き、従業員とその家族、さらには地域の人々までも大切に考えた健康経営®に取り組んでいます。
2021年、2022年に健康経営優良法人(中小規模法人部門部門)の認定を取得。2023年、2024年にはブライト500となった地域密着型企業サーラフィナンシャルサービスの取り組みをご紹介していきます。
「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
健康を基本理念にしたサーラフィナンシャルのPURPOSE
―――御社の事業概要と健康経営に取り組まれた理由や目的をお聞かせください。
小池:当社は個人および法人のお客さまに、安心と豊かさを届けるサポーターとして、主に3つの事業を展開しています。まず、損害保険や生命保険などを販売する保険代理業ですね。次に、リースやクレジットを扱うファイナンス事業。3つ目はクレジットカード事業で、サーラカードというカードの発行および運営をおこなっています。
生駒:健康経営に取り組んだ理由と目的はいくつかあります。
ひとつは、当社は2 年ほど前にPURPOSEを新たにしました。それは「お客様一人ひとりの悩みと夢に寄り添い、永く幸せに生きられる社会を実現する」というものです。このPURPOSEを実現していく土台は、何よりも従業員の皆さんとそのご家族の健康になります。また、当社はお客様に対して安全と安信をお届けする保険の販売代理店ですので、私ども自身が健康でなければご提案なども説得力を持ちません。
当社は保険会社さんをはじめ、さまざまな会社とのお取引がありますが、今やどの企業さんにとっても健康は重要事項です。ある生命保険会社さんではもう喫煙者の方を採用しませんし、名だたる企業さんは健康経営に非常に積極的です。そういったお取引先様とお付き合いしていくわけですから、私どもの健康経営への取り組みは大前提なんです。
もうひとつ大きな理由があります。
当社は経営陣自らが先頭に立って健康経営の取り組みを推進していますが、きっかけとなったのが、非常に残念なことなんですけれど、40代だった同僚が仕事中に倒れ、その後亡くなってしまったことなんです。会社としても、健康経営を担当している私としても、二度とこんなことがあってはならないという思いを強くしました。それ以来、従業員の健康維持や職場環境の改善には、特に力を入れていこうということになりました。
―――身近の方に、そういったことが起きたというのは本当に悲しく悔しいことだったでしょうね。
御社は2021年に健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を取得してから2023年度、2024年度とブライト500に認定されています。そこからも健康経営に対する強い意志が感じられます。
生駒:いや、最初は本当に手探りの状態でした。取り組み自体はかなり前向きに進めていたんですが、どの取り組みがどの項目に該当するのかが良く判らない。そこで、健康経営のコンサルティングを受けてみたところ、想定していたよりも多くチェックを入れることができました。 たとえば、対象になるのは自社の取り組みだけだと思っていたんですが、健康保険組合との共同の取り組みにもチェックを入れられるとか、自分たちだけでは判断できなかったことがいくつもありました。
女性が健康的に活躍できる組織づくりで、「えるぼし」2つ星に
―――健康経営を推進していく中で、特に力を入れていることなどがありますか。
生駒:女性特有の健康課題ですね。健康経営優良法人の申請においても女性の疾病に対する項目が増えています。 私どもの業界は、男女比率で言うと6:4くらいで女性の方が多いんです。そのため、女性の皆さんには健康保険組合との連携による婦人科健診の受診勧奨を勧めていまして、就業時間内に受診することや費用補助も行なっています。
また、営業的な面も含んでいますが、当社が扱う保険商品に女性疾病保障特約という女性特有の疾病にフォーカスした商品がありまして、販売に当たっては関係する知識を学んでおく必要があります。そのため、大手保険会社さんが実施するセミナーや研修に担当従業員が参加しているんですが、そこでの学びが健康に関する知識を深めることにもつながっていると思います。
もうひとつは、女性が健康的に活躍できる組織づくりを進めてきた成果と言いますか、女性が働きやすく、また活躍できる会社ということで2024年に厚生労働省が認定する「えるぼし」*の2つ星をいただくこともできました。特に、採用や時間外労働に関する取り組みを評価いただきました。
*「えるぼし」:女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業を厚生労働大臣が認定する制度。評価は3段階で、5つの評価項目のクリア項目数によって1~3の認定段階がある。 えるぼし認定企業一覧(令和6年12月末日現在)
段階的な禁煙化と科学的なロジックで喫煙者ゼロに取り組む
―――健康経営の課題として挙げられることが多い「禁煙」に対して、御社の取り組みはいかがですか。
小池:現在当社は、室内外を含め敷地内は全面禁煙としております。この禁煙対策ですが、いきなり全面禁煙にするのではなく段階的に進めていきました。まずは禁煙タイムを設けて、その後、喫煙所の撤去から敷地内喫煙禁止へと踏み込んでいったわけです。段階的に禁煙に関する施策を展開していったかたちです。
また、健康保険組合と連携して‟禁煙チャレンジ“を希望する方には禁煙補助薬などの無償提供も行なっています。 まだ喫煙者ゼロにはなっていませんが従業員の喫煙率はかなり減少しています。現在では15%くらいに減りましたので、あともう一息というところですね。
―――禁煙化へのハレーションはありませんでしたか。
生駒:やはり禁煙に関してはありましたね。対策としては事前に社内アンケートを行いまして、従業員の声を集めました。結果〝社内禁煙“にして欲しいという意見が大半だったんですよね。また、喫煙者の方には科学的な根拠からの説得も行いました。
タバコを吸った後は、肺の中に30分くらい有害物質が残っていて、呼吸をするだけで周囲に悪影響を及ぼしてしまうんですね。そうした理由から「タバコを吸うと30分間はオフィスに戻れませんよ、それでも吸いますか」と。 こういった周りの方への影響や思いやり、科学的なロジックも説明しながら、禁煙化を推し進めていきました。
社長自らも参加!ウォーキングキャンペーンの参加率は5割超
―――「禁煙」と並んで「運動不足」も課題として挙がりますがいかがですか?
小池:「運動」に関してはそうですね、当社も課題として意識化しています。運動機会の促進という取り組みで、業務時間内にイスに座った状態でできるストレッチタイムというのを設けています。
サーラグループの中にスポーツジムの運営会社がありまして、そこからインストラクターを派遣していただき、対面でもオンラインでも、好きな方法で参加できるようにしています。 従業員の3分の1以上は、このストレッチに参加していますし、実施後のアンケートでも好評で、肩こりが改善したなどの成果も出ています。
もうひとつは健康保険組合と連携して「ウォーキングキャンペーン」を毎年実施しています。チームでの参加になっていまして、上位チームには健康グッズなどの賞品が出て、表彰もされるイベントです。社長からも参加の呼びかけがあり、率先してご自身も参加するということもあって全社員の健康意識を高める助けになっています。
参加率が今年は5割以上ですね!当初は2割くらいでしたからやはり社長の参加効果が大きいと思います。そのおかげもあって意識が上がり、毎年、参加者が増えていきました。
―――その他、力を入れている取り組みがありますか。
小池:毎年実施している「ストレスチェック」の結果を、さらに活用しようという取り組みがあります。今年で4年目になりますが、「自身や同僚のストレスに気づくこと」をテーマにワークショップ形式で名古屋大学の研究チームと連携して行っていまして、目的は〝従業員同士のコミュニケーション向上や相互理解を深めていこう“というものです。
人は価値観や感受性が異なりますから、大切にしていること、ストレスに感じること、それぞれですよね。ワークショップでは、職場環境や人間関係のことなど、さまざまな課題が浮かび上がってきます。その一つひとつは些細なことのようでも他の人と共有することは重要で、従業員の皆さんのストレス軽減に一定の効果があると考えています。
生駒:あとは介護関係ですね。育児介護休業法の法定的義務に関しては、介護休暇の付与日数ですとか、在宅介護だとかの制度は整えていますが、当社の人員構成が若い世代とミドル世代と二極化しています。これから、親御さんなどの介護と向き合わなければならないシニア世代の従業員が増えていきますし、2025年の4月から育児介護休業法の改正もありますので制度や体制の整備については、一層力を入れていくべき課題として捉えています。
「健康経営戦略マップ」で、取り組みの成果や目標を数値化
―――健康経営を積極的に推進してこられた中で、どんな変化や効果を感じられていますか。
小池:「ブライト500」に認定されてからは会社への取材件数や地域の他の会社から取り組み内容についての問い合わせが増加していまして、当社の知名度やイメージ向上には確実につながっていると感じています。
また、こうした取り組みは、その年ごとの成果や課題を明確にしていかなければ次につながりません。当社では毎年「健康経営戦略マップ」というものを作成していまして、それを基に取り組みの成果を数値化するなど明らかにして次年度の達成目標としています。
小池:健康経営課題を設定し、それに対してどんなことを実施していくか、図の左から右に行くにしたがって細かく掘り下げていくマップになっています。赤文字で示したのが具体的な数値目標になります。このマップにあるように、健康経営の目標を数値化することで取り組みをより効果的にしていけます。
従業員の家族や地域の人々の健康にまで力を注ぎたい
―――健康経営の最終的な目標が、冒頭のPURPOSEと同じというのが健康経営に対する御社の強い意志を表していますね。
生駒:PURPOSEの実現も、健康経営の推進も、従業員の皆さんが元気で働き続けられるからこそ達成できるわけです。そのためには支えるご家族も健康で幸せでなければ能力を発揮できません。だからこそ当社は、ご家族の健康にもこだわります。
さらに言えば、当社は地域社会の上に成り立っているわけですから、そこに暮らす皆さんの元気にも貢献したいと考えています。暮らしの安心や健康についての良き相談役になるとか、ビジネスを超えてさまざまな価値を提供できる存在でありたいと思っています。
―――なるほど、そのための具体的なお取り組みがあればご紹介ください。
生駒:たとえば、コロナ以前まではお子様向けに“タバコの害に関するセミナー”を実施していました。 喫煙がどれほど身体に悪いかと知ってもらうための啓蒙活動ですね。まあ、ターゲットは親御さんでもあるんですけども、お子様を通じてメッセージを発信しているということですね。
生駒:また、サーラグループ健康保険組合が冬期に実施している「つよい子になるぞ!!キャンペーン」もあります。1月末まで風邪をひかなかった日はカレンダーに毎日シールを貼っていくんです。 風邪などをひかずに健康的に過ごしてもらう取組みです。
健康保険組合ではファミリー歯科検診もあります!従業員本人だけでなく、お子さんを含めたご家族全員が無料で歯科検診を受けられるというもので、歯磨き指導やフッ素の塗布などもしています。その他には、風邪薬などの常備薬を特別価格で購入できるという補助もありますね。
―――お取引先や法人のお客様に対しても何か考えられていますか。
生駒:ソリューションではありませんが、サーラグループは49社ありますので、運動に関するお問い合わせならサーラスポーツをご紹介したり、病気や健康に関するご相談なら医療機関におつなぎしたりすることもあります。
また、従業員の健康リスク対策としてプレゼンティーイズム*を測りたいという企業様のご相談には、関係する保険会社のストレスチェックをご紹介するなども行っています。
*プレゼンティーズム(Presenteeism):疾病出勤という意味で、健康問題によって業務効率が落ちている状態。可視化しにくい生産性の低下や損失を指す。
―――最後になりますが、今後の健康経営への取り組みや展望などをお聞かせください。
小池:私たちは金融のプロフェッショナルとしてこれまで地域社会とともに歩み、成長してきました。信頼を積み重ねる中で、多くのお客様と地域に笑顔をお届けしてきました。人を笑顔にするのは、何よりも健康です。健康なくして、人の幸せも、企業や地域の発展も、あり得ません。
私たちは、これからも笑顔あふれる地域社会を実現するために、皆様との信頼を深め、健康経営への努力を続けてまいります。
<プロフィール>
サーラフィナンシャルサービス株式会社 https://www.sala-fs.co.jp/
営業企画部・営業企画チームリーダー 生駒 浩司
総合企画部・総合企画チーム 小池 洋大