ウイルスは乾燥が大好き!増殖させない方法と加湿器の正しい使い方

日本では、毎年冬になると風邪や季節性インフルエンザなどが流行します。その主な原因には、冬場は太平洋側を中心とする地域で空気が乾燥し、空気中のウイルスが増加しやすい環境になることが挙げられます。では、なぜ空気が乾燥するとウイルスが増えやすくなるのでしょうか。

ここでは、ウイルスと気温や湿度の関係と、ウイルスが体内に侵入する経緯について解説します。また、加湿器の使い方やウイルスを増殖させないための湿度対策についてもご紹介しましょう。

 

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ウイルスとは病原体のこと

 

ウイルスは、非常に小さな病原体です。大きさはインフルエンザウイルスで直径0.08~0.12μm(マイクロメートル:1mの100万分の1)で、電子顕微鏡がないと見えません。自分では細胞を持たず単独では長時間生存できないため、ほかの生物の細胞に入り込んで生きています。

 

また、ウイルスは空気中では増殖できず、生物の細胞に侵入し、細胞内のたんぱく質などを利用して自分のコピーを作ることで増えていきます。人体で増えたウイルスは、咳やくしゃみの際に飛散する飛沫や体液などにのって体外に飛び出し、またほかの生物の細胞に入ります。こうして感染が広がっていくわけです。

 

 

ウイルスと細菌の違い

 

ウイルスと細菌は同列で語られることが多いものですが、細菌は目に見えない微生物です。1つの細胞からなる単細胞生物で、小さいとはいえ、大きさはウイルスの50倍ほどあります。ウイルスと違って、水と栄養源があれば単独で生存でき、ほかの生物の体内に入らなくても自分で増殖できます。

 

 

低温・乾燥した環境では空気中のウイルスが増加しやすくなる

 

ウイルスは、生物の細胞外では長く生きられませんが、短時間であれば生存が可能です。その生存率に大きな影響を与えるのが、空気中の温度と湿度です。

有名な実験に、気温と湿度を変えて6時間後のインフルエンザウイルスの生存率を調べた「ウイルスの生存実験」(1961年、G.J.ハーパー)があります。結果は下記のとおりで、低温・低湿度の環境ほどウイルスの生存率が高くなることが示されています。

 

■インフルエンザウイルス生存率

※出典:Harper.G.J.: Airborne micro-organisms: survival tests with four viruses  J Hyg Camb 59, 479-486, 1961

 

さらには、空気が乾燥しているとウイルスを含んだ飛沫の水分が蒸発して軽くなるため、湿度が高い状態に比べて長時間空気中を漂うことになり、それだけウイルスの拡散範囲が広がることもわかっています。

 

「低温・低湿度の環境ではウイルスの生存率が高くなる」「空気が乾いているとウイルスは長時間空気中にとどまり、遠くまで拡散する」という2つの理由から、低温・乾燥環境では空気中にウイルスが増加しやすくなるのです。

ウイルスの感染経路

 

ウイルスが人間の体内に入る主な経路としては、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」「経口感染」の4つがあります。

 

 

空気感染

 

空気感染は、くしゃみや咳などによって体外に飛び出し、空気の流れにのって拡散したウイルスをほかの人が吸い込むことによる感染です。

 

 

飛沫感染

 

飛沫感染は、ウイルスが咳やくしゃみの飛沫に包まれて空気中に飛び出し、近くにいる人がそれを吸い込むことによる感染です。1回のくしゃみや咳で排出されるウイルスがついた微小粒子の数は、インフルエンザウイルスの場合でくしゃみ1回につき約200万個、咳1回につき約10万個。飛沫の届く範囲は、1~2mといわれています。

 

 

接触感染

 

接触感染は、感染者の皮膚や粘膜にふれたり、ウイルスがついたものをさわった手で自分の鼻や口、目などにふれたりすることによる感染です。

 

 

経口感染

 

経口感染は、ウイルスに汚染された食べ物や飲み物を口にすることによる感染です。

 

主にどの感染経路をとるかは、感染症によって異なります。

インフルエンザウイルスは飛沫感染と接触感染が中心ですが、換気の悪い環境下では、飛沫の水分が蒸発し「飛沫核」となって空気中を漂っている微小粒子を吸い込むことでも感染するとされ、これをエアロゾル感染ともいいます。新型コロナウイルス感染症も、飛沫感染と接触感染が中心ですが、換気の悪い状況下ではエアロゾル感染が起こる可能性も指摘されています。

 

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ウイルスの侵入を防ぐ線毛とは?

 

ウイルスの多くは、人間の場合、喉を通って体内に侵入しますが、人体にもウイルスの侵入を防ぐ仕組みが備わっています。それが、喉の粘膜に生えている「線毛」です。線毛は普段から、「線毛運動」と呼ばれる波のような動きをしています。鼻や口から侵入したウイルスは線毛の表面にある粘液の層に付着し、線毛運動によって体外へと送り出される仕組みです。

 

しかし、体に水分が不足しているとこの線毛運動の機能は低下してしまいます。冬場はウイルスが増加しやすくなる低温・低湿度の環境に加え、汗をかかず皮膚や呼気からの水分がほとんど蒸発されるため、自覚のないままに体内の水分が不足しがちです。これらの条件が重なることで、冬場はインフルエンザをはじめとする感染症が流行しやすくなるのです。

 

なお、ウイルスの体内への侵入を防いだり、人に感染させたりするのを防ぐには、マスクの着用が有効です。

その効果はマスクの材質や形状によって変動しますが、厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染症の予防効果として、50cmの距離で双方がマスクを着用していた場合、ウイルスの吸い込みを7割以上抑えたとの研究結果があります。

 

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加湿器の効果を引き出す正しい使い方

 

部屋の乾燥を防ぎ、ウイルスを増加させない環境を作るのに有効なのが、加湿器を使って湿度をコントロールすることです。室内の湿度が高すぎてもカビや結露の発生につながるので、40~60%に調整することが最適とされています。

しかし、加湿器はなんとなくつけておくだけでは、効果が半減してしまいます。最大限の効果を引き出すためには、次のようなことに注意しましょう。

 

 

加湿器の置き場所は部屋の中央に

 

部屋全体をまんべんなく加湿するには、加湿器から出る水蒸気が室内に拡散する必要があります。出入口や窓、家具の側に置くのは避け、できる限り部屋の真ん中に置くことをおすすめします。

 

 

換気扇の真下に置くのはNG

 

換気扇の真下は、空気の入れ換わりの激しい所です。換気扇の真下に置くと、加湿器から出た水蒸気がすぐに外に出されてしまい、部屋の中に拡散されません。

 

 

水蒸気の吹き出し口は床から30cm以上の高さに

 

吹き出し口の高さにも注意が必要です。暖かい空気は上方に行き、冷たい空気は下方に流れる性質があるので、床付近には冷たい空気が溜まりがちです。ですから、加湿器の吹き出し口が床の近くにあると、冷たい空気の中に水蒸気を吹き出すことになり、床に結露ができてしまいます。さらに、部屋の上方には水蒸気が届きませんので効果的な対策のために、吹き出し口の高さを意識してみましょう。

 

 

夜寝る前には必ず消す

 

湿度は、空気が水蒸気を含む割合を表します。湿度を求める計算式は、「湿度(%)=(空気1立方メートル中に含まれている水蒸気量)÷(その気温における空気1立方メートル中の飽和水蒸気量)×100」です。飽和水蒸気量(1立方メートルの空気が含むことができる水蒸気の重さ)は、室内の温度が高いほど大きくなり、温度が低いほど少なくなります。

日中は温度が高かった室内も、夜になると徐々に温度は下がります。すると、空気中の飽和水蒸気量も少なくなり、湿度は高くなるのです。そのため、就寝時も加湿器をつけっぱなしにしていると、湿度が上がりすぎてしまう可能性があるので、就寝前には消すようにしましょう。

 

 

加湿器のタンクの水はこまめに換える

 

加湿器のタンクに水を入れっぱなしにしていると、内部でカビや雑菌が繁殖し、加湿器を通じてそれらを部屋中に拡散することになってしまいます。タンクの水は毎日入れ換え、交換の際にはきれいな水をタンクに少量入れて振り洗いするのがおすすめです。

 

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室内の空気環境を整えることが感染症の予防につながる

 

低温・乾燥した環境では、空気中のウイルスは増えやすくなります。感染症を予防するには、湿度をはじめとする空気環境をコントロールし、室内のウイルスを増殖させないことがおすすめです。

 

株式会社UPDATER ( 旧 みんな電力株式会社 ) のエアテック事業「みんなエアー」では、空気環境対策のソリューションとして、エアロシールド(エアロシールド株式会社製)を提供しています。エアロシールドは、紫外線の中でも最も除菌効果が高いとされているUV-Cを室内上部に水平照射することで、ウイルスや浮遊菌を減少させることができます。

ウイルスを含む空気環境の対策には、エアロシールドの導入をご検討ください。

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