安全で働きやすい環境を!LIXIL石下工場のウェルビーイングに対する取り組みとは

住宅・オフィスなどの窓やドア、多岐にわたる建材をはじめ、トイレやお風呂、キッチンなどの水まわり設備機器で知られる株式会社LIXIL。2011年に国内の主要メーカー5社が統合して誕生し、さらに世界的ブランドを傘下に収め、今や世界150カ国以上に展開するグローバル企業となりました。

LIXILは、デジタル化を通じて従業員の新しい働き方やコラボレーションの活性化を図り、顧客と従業員双方の体験を変革することを目指し、オンラインショールームや社内アプリの構築など、積極的にDX化を推進。2022年には「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2022」に選定されました。

(参考:https://newsroom.lixil.com/ja/20220608_dx

 

今回は、株式会社LIXILの LIXIL Housing Technology  サッシ・ドア事業部内で、茨城県常総市にある石下工場の総務課課長の小泉琢さんと製造課/工機課課長の畠中良介さん、環境担当の工機課福原崚汰さんに、工場や全社での働き方改革、ウェルビーイングの取り組みについて話を伺いました。

 

 

圧倒的な技術力で10億人に愛用されるLIXILブランド

 

 

ーー株式会社LIXILの事業内容と石下工場についてお聞かせください。

 

LIXILは、世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいを実現するために、大きく2種類の製品を提供しています。1つめは窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品、2つめがトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品です。

世界10市場、79の工場で働く従業員が連携し、日本のものづくりの伝統を礎に、世界中に最高品質の製品を提供しています。そのなかで石下工場は玄関ドアの基幹工場です。新築戸建用はもちろん、リフォーム用やアパート用も生産しています。なお、工場は築20年ほど、従業員数は約650名です。

 

 

ーー具体的にはどういった玄関ドアを扱っていらっしゃるのでしょうか?

 

洗練された美しいデザインと、自動開閉などの最先端の機能を併せ持つことで、これまでにない上質な佇まいを演出するフラグシップモデル「玄関ドアXE」や日本トップクラスの断熱性能を誇る「グランデル2」などの新築戸建用製品に加え、カバー工法により壁を壊さず1 日で玄関リフォームができる「リシェント玄関ドア3」など、さまざまな商品を扱っています。特に最近では、前述の商品にも展開されている「FamiLock(ファミロック)」というスマートロックシステムがご好評いただいております。スマートフォン、リモコン、カードキー、タグキーなど多彩なカギの中から、家族一人ひとりの使いやすさに合わせて自由にセレクトできるだけでなく、両手が塞がってしまうような時、カギをポケットインで素早く解錠できることが特徴です。

 

 

 

 

MADOの導入で空気環境を見える化、安心して働ける工場に

 

 

ーーLIXILの社内では、新型コロナウイルス感染症流行の前後で変わったと感じるところはありますか?

 

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、全社的に在宅勤務が導入されました。しかし現場での対応が必要とされる工場・生産現場は在宅勤務が難しいのが実態です。当初は、工場で働く従業員のなかでも不安が広がっていました。そこで従業員の健康と安全を最優先に、対応方針・人事施策の策定を行うほか、対策チームを設置して全社的に取り組みを開始しました。

 

 

ーー工場ではどのような対策をされているのですか?

 

わたしたちの工場では従業員の不安を軽減するために、二酸化炭素濃度などの状況を把握したいということをきっかけに、空気のデジタルトランスフォーメーション(DX)サービス「MADO」を導入しました。厚生労働省の報告から、施設内での感染症拡大防止のために、換気の指標として空気中の二酸化炭素濃度管理が有効であると知ったためです。空気質をモニタリングする「MADO」は、空気質センサー機器で空気環境を計測するだけではなく、Wi-Fi環境を通してクラウドにデータ連携しサイネージ表示ができるので、常時空気質の数値が従業員に見えるように、工場内に等間隔でディスプレイを配置しています。これにより、客観的な数字をもとに適切な換気を行えるようになりました。

社内では、「お客さまに安心をお届けするためにも、より安心して働けるような職場環境に変えていこう!」といった従業員エンゲージメント向上の動きはもともとありました。新型コロナウイルス感染症の拡大に後押しされるかたちで、より本質的な個別最適化にたどり着いたと考えています。

 

 

ーー空気環境対策としてMADOを導入されてみて、効果や周囲の反応はいかがですか?

 

導入前は空気の状態を知ることはもちろん、それをどのように従業員へ周知するかが課題でした。また、毎日計測をしてそのデータを分析できるように管理するとなると、時間も手間もかかります。そこでデータアクセスのしやすさという点も重視しました。MADOの導入に際して、厚生労働省の基準値である二酸化炭素濃度1,000ppm以下を安全基準として社内に説明しました。サイネージ画面で空気の状態が見られるため、従業員からも「数値が見えるのは良いね」という声をもらっています。また、アラート機能を用いることで、換気の実施タイミングをルール化し、管理者へ周知しました。

導入してからは事務所で勤務する従業員が工場に行くと「空気がきれいになりましたね」と言われます。なんとなくわかるんですよね。空気環境を可視化したことでわたしたち管理側も安心できるようになり、自然とそれが波及して従業員も安心してくれているかなという印象です。

 

 

ーー工場周辺の環境対策についてはいかがでしょうか?

 

石下工場では、排出する水については専門の業者にも協力を依頼して管理しています。常総市の管理基準値に入っているかはもちろん徹底しており、現状は基準値の100分の1もない程度です。また、この工場ではPM2.5などの粉塵は出ませんが、リスクのある一部の工場では徹底して管理をしています。

近隣の住民からの声にはすぐに対応できるような体制を整えているほか、過去には意見交換会を定期的に開催するなど、皆さんが不安にならないよう配慮しています。

 

 

ーー地域とのつながりも大事になさっているんですね。

 

はい、地域のラーメン屋さんのキッチンカーを呼んでみんなでご飯を食べたり、地域のお弁当屋さんからお弁当を頼んでチーム単位でコミュニケーションをとったりもしています。また、石下工場では外国籍の従業員も多く在籍しています。その方々へ地域を知ってもらう活動として、先日みんなで山登りイベントを開催しました。すれ違う地域の人々と挨拶をしながら交流を深められ、良い活動になったと感じます。

 

 

 

 

会社の原動力である従業員を第一にしたLIXILのウェルビーイングな取り組み

 

 

ーーウェルビーイングに関するLIXILの考え方についてお聞かせください。

 

LIXILでは、会社の成長の原動力となる従業員のワークライフバランスを第一に考えています。誰もが働きやすく、個々の能力を最大限に発揮できるような職場づくりには、ウェルビーイングが欠かせません。2020年よりCEOの瀬戸による「健康経営宣言」のもと、環境の変化にかかわらず従業員が心身共に健康で活躍できる環境構築を推進していますが、新型コロナウイルス感染症拡大により、あらためてウェルビーイングの重要性が再認識されています。

 

 

ーーウェルビーイングへの具体的な取り組みはありますか?

 

LIXILでは健康経営推進の取り組みとして、全従業員を対象にした毎年の定期健康診断を実施するほか、社内保健師による、こころとからだに関する相談窓口や健康教育プログラムなどを導入しています。また、従業員を対象にヘルスケア研修をeラーニングで実施したり、健康推進イベントも開催しています。定期的なストレスチェックによるメンタルヘルス対策も欠かせません。
昨年12月から毎月14日をLIXILのウェルビーイングデーに設定し、役立つ情報を発信するなど、日頃から従業員が自身のウェルビーイングについて考える機会を提供しています。さらに全社の従業員に向けた意識調査アンケートでは、KPIのひとつに「ウェルビーイング」が含まれています。アンケートを通じて現状を理解し、ウェルビーイングにつながるような施策の実施・検討を継続的に行っています。

石下工場でも新型コロナウイルス感染症拡大の際には、従業員が積極的にウェルビーイングについて考え、製品の材料であるアルミ形材を活用したパーテーションを作成し食堂に設置するなどしました。

 

 

ーー実際に働いていて感じる、働きやすさなどについてはいかがでしょうか。

 

まず、工場単位で決裁権を与えられている点があげられます。もちろん責任は伴いますが、現場サイドでの判断が早くできるようになりました。MADOの導入についても快諾をもらいましたし、会社全体がウェルビーイングの取り組みや職場環境の改善に積極的であることをとても感じています。

新型コロナウイルス感染症が流行りだしたときにマスクが手に入らない時期もありましたよね。在宅できない工場勤務者の不安を取り除くため、会社がマスクを確保して従業員に支給してくれました。また、従業員のお子さんが通っている保育園などが休園になってしまった場合は、すべて勤務したものとして取り扱って会社を休んでくださいなど、従業員の心理的安全性を担保してくれました。

劣悪な環境下で作られた製品より、みんなが笑顔で楽しく作った製品のほうが少し高くても買いたくなるように、環境活動を社内外に示していくことはコストではなく投資だと考えています。会社の方針として、私たち従業員の安心のための環境づくりを積極的にサポートしてくれているとともに、誰でもチャレンジできる意識を尊重してくれる社風であると感じています。

 

 

<プロフィール>

株式会社LIXIL

LIXIL Housing Technology  サッシ・ドア事業部 ドアSBU 石下工場

総務課 課長  小泉琢

製造課/工機課 課長  畠中良介

工機課      福原崚汰

https://www.lixil.com/jp/

 

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