株式会社イントロダクションは、ソフトウェア開発支援と総合人材サービス事業を中心とした東京都のIT企業です。4期連続で売上増を記録し、2024年には経済産業省の実施する健康経営優良法人認定制度の中小企業法人部門にて「ブライト500」に選出されました。
「ブライト500」とは、健康経営優良法人の中から「最も優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として、全国上位500社に選ばれたことを指します。
今回は、株式会社イントロダクションの健康経営やワーク・ライフ・バランスへの取り組み内容について、代表取締役の髙橋さんにお話を伺いました。
「日本で一番ホワイトな会社」を目指して。株式会社イントロダクションのこだわり
ーーー まずは株式会社イントロダクションの事業や起業された経緯についてお聞かせください。
髙橋:私どもはITの会社で、主にSES(システムエンジニアリングサービス)または派遣契約で、ITエンジニアをクライアント先のソフトウェア会社にお繋ぎするのがメイン事業です。創業は2019年で、5期目からは自社でソフトウェア開発も行っています。
私は以前、臨床検査技師として5年ほど働いていました。土日の勤務や夜勤もあり、当時一緒に働いていた50代くらいの大先輩が眠そうにしているのを見てちょっと考えさせられるところがあって。その後、最初は一般企業に転職をと考え、時給1,300円の事務職に就きました。でも、けっこうミスが多いタイプでよく怒られていましたし、就職活動中も「国家資格をもっているのになぜ一般企業で働きたいのですか?」とよく聞かれました。
ミスを減らすために業務にマクロを取り入れてみたところ、情報システムに近い部門のお手伝いをする機会があり、それをきっかけにフリーランスになりました。収入が増えたことで集まってきた周囲の人たちを手助けしているうちに、現在の起業に至りました。
エンジニアのみなさんの労働環境を少しでも改善したい。向上心のある優秀なエンジニアさんに、より多くのチャンスをつかんでいただきたい。そんな思いから立ち上げた会社です。ITエンジニアとクライアント、双方のベネフィットの最大化を支援いたします。
従業員は顧客先のプロジェクトについているので、今は受託開発を全て私がやっていますが、ベースができあがってきたら、社内SEの増員をしようと考えています。今後、SESと自社プロダクト開発のバランスが半々ぐらいの割合でできていくようになるといいなと思っています。始めたばかりなので、どこまで大きくなるかは未知数ではありますが。
健康経営で従業員の健康を守り、企業価値を高めたい
ーーー 健康経営優良法人認定の取得の経緯についてお聞かせください。
髙橋:協会けんぽ(全国健康保険協会)から毎月届くお便りで健康企業宣言の認定制度を知ったのがきっかけです。健康企業宣言については、取り組みをはじめた当初でも既に7~8割程度の基準は満たせているように感じました。その点ではあまり苦労することもなく「銀」の認定を受けられたかなと思っています。2023年には「金」の認定も取得しました。
さらに、健康経営については経済産業省が情報提供しているということもお便りに書かれていたので、Webサイトの情報に従って健康経営優良法人制度認定に向けての取り組みを深めていきました。認定取得を目指すことで社内環境整備の質を高めることができ、その先では企業情報の発信にも役立つし、一石二鳥の良いことずくめだなと。
私自身、前職では不規則な勤務体制だったこともあり、仕事においても「身体が資本」という考えが強くあります。まず、健康に仕事をしていくことが大事なのかなと。IT業界もパソコンを長時間見ているから目に負担がかかったり、さまざまな要因で鬱になったりすると聞くこともありますしね。まだストレスチェック義務化の対象ではありませんが、年2回実施しているというのもこういった背景からです。あとは健康経営の実施で企業価値を高めて採用に役立てたいという目的もありました。
健康経営に関する取り組みについては、経営層と現場の間でハレーションが生まれることも多いようですが、比較的まだそういったことはありませんね。リファラル採用が多いことも影響しているかと。今後、会社規模が大きくなってきたら難しいこともあるかもしれませんが、中小企業だからこその強みとも言えそうです。
ーーー 取得までに取り組みのなかで苦労した点はありますか。
髙橋:私自身が医療系の大学出身で、在学中に臨床検査技師だけではなく、第一種衛生管理者や食品衛生管理者の資格も取得していたということもあり、医療や食事、職場環境といった知識の面では殆ど苦労はありませんでした。ただ、有給取得率を上げることや喫煙率を下げることのようにたとえ会社が決めたからといって、すぐにコントロールできない点は、進めていくうえでの苦労はありました。
今は社内にも私を含めて3人ほど従業員がいるのですが、最初のうちはエンジニアがみんな現場に出ているものですがから、会社の事務作業は全て自分でやっていましたね。エンジニアとして常駐先に出ながら給与計算をしたり、有給の取得状況を確認したり、残業は超過していないかとか、土日なんてあってないようなものだったので、私だけはブラック勤務だったと言ってもいいかもしれません。
ーーー2024年、見事ブライト500に認定されましたが、どのような取り組みをなさったのですか。
髙橋:福利厚生の充実度は高いと思います。さらに追加した点は、社食サービス(食事手当)や健康系のアプリの導入ですね。食事手当の支援や研修(情報提供)については健康経営のチェック項目をもとに制度の導入を決めました。社食サービスについては自社製品(DX-Touch)で運用しており、利用している従業員が多いので喜んでもらえているかなという印象です。
髙橋:その他では、取り組みの初年度は有給消化率が上がらないという課題がありました。万が一に備えて残しておきたいという人や、休みをとったところでやることがないから積極的に取得しないという従業員もいたんです。そこで有給を使い切っても追加で有給があれば安心して休めるかなと考え、傷病特別休暇制度を導入し、その後、従業員の意見も取り入れて日数を3日間から5日間に増やしました。
国内の中小企業421万社ほどいる中で上位500社に選抜されたか否かというのは、全然違うと思うんですよ。
だから初年度から「ブライト500」の取得を目指しました。2023年に向けて取り組み始めたのですが、初年度はとどかなくて。「ブライト500」に選ばれた知り合いの会社さんにも話を聞くなどして、今の達成度と必要なタスクを可視化したうえで取り組みを強化しました。
ーーー 健康経営に関する施策を行うなかで、現場で実感する変化はありますか。
髙橋:従業員全体の健康意識は変わったと思います。毎月の目標管理の中にも健康管理の項目を入れているのですが、積極的に記入してくれています。意識改革ができたんじゃないかなと。リモートで出社せずに仕事をする従業員も多いので、意識して歩くようにしているという声は比較的多くみられます。
ユニークな福利厚生で他社との差別化を図る
ーーー 御社の福利厚生がユニークだと伺いましたが、具体的にはどのようなものがありますか。
髙橋:誕生日休暇やゲーム休暇、奨学金助成制度、健康管理アプリの支給など充実していると思います。また、フリーランスの方にも参加いただいて毎年社員旅行にも行っています。
髙橋:ある年は、千葉のテーマパークに行きました。健康経営の活動のひとつとして、歩くことも大切なんです。楽しくたくさん歩くにはみんなでテーマパークなどに行くと良い!という情報を得たので実施してみました。毎日8,000歩を目標にしていて社内ポスターを作ったりもしているので、こういった楽しいイベントとあわせて行ってみるのが良いかなと。従業員の満足度も高かったようです。
この成功をもとに、「ITD健康ウォークラリー」という制度を考え、四半期に一度実施しています。千葉のテーマパークでいっぱい歩いて健康増進をしちゃおう!という狙いです。皆さん1万歩以上は歩くので、社内ポスターの8000歩がどのくらいなのか、実体験をもとにイメージづけてもらえていれば嬉しいです。専用のアプリは自社で作りました!写真を撮ってアップロードしたり、いろいろなチェック機能があったり。福利厚生のために時間もしっかり作ってるんじゃないかなと思います。この制度は、開催期間中に1回、ご家族やお友達誰と行ったとしても従業員の入場料をサポートする(全額会社負担)というものなのでとても人気の福利厚生になりました。
ーーー 休暇を増やしたり福利厚生に費用をかけたりすることをコストと考える声もありますが、どのようにお考えですか。
髙橋:もちろんコストをかけすぎるのは難しいので、バランスを見ながらなるべくコストを抑えて取り組んでいます。例えば、福利厚生を提供できるアウトソーシングサービスなどを活用しています。給料の払い出しもしっかりさせてもらっているので、単純にプラス福利厚生だと大変なんですよね。
ーーー 今後どんなことに重点的に取り組んで行かれる予定でしょうか。
髙橋:有給取得率をさらに上げようという話をしています。外資系企業では100%超えている!?ところも多いですし、弊社ではまだ80%程度なので90%以上目指していきたいですね。新卒の方が重視する項目の一つでもありますし。
他は、ちょうど今年社内制度を変えたところだったのですが、育児・介護休業法の改正が行われたので、さらに変えていかないとと思っています。法改正やそれに伴う働き方はどんどん変わっていくものですから、しっかり捉えてワーク・ライフ・バランスを実現していきたいと思っています。
また最近では、喫煙者の採用はお断りしています。副流煙は吸った後1時間程度体に付着するという実験結果もあるようですし、喫煙者の方に禁煙をお願いするのは難しいので。ハローワークからはクレームがありますが(苦笑)、健康は大事ですので…。従来実施している安全衛生活動(定期健診・ストレスチェック・過重労働防止対策など)に加えて「従業員のその先にいる大切な家族」にも健やかな生活を送っていただけるよう、今後も、もう一歩踏み込んだ活動を展開していきたいですね。
<プロフィール>
株式会社イントロダクション https://www.introduction.tokyo/
代表取締役 髙橋 勇也