速読解教育を軸に社会で活躍できる人づくりへの貢献をめざす
株式会社SRJは、『一隅を照らす』を企業理念に、社会で活躍できる人づくりに尽力しております。
具体的には、「速読解力講座」をはじめとした未就学~社会人向けの講座や英語学習プログラム「速読聴英語講座」、読解力育成を目指した「新国語講座」を提供しています。また探究学習型アクティブラーニング教材「FUTURE」も販売しています。これら次世代を担う人材に求められる能力と、その教育機会を全国各地に創出することで未来につながる次世代教育を推進しています。とくに速読解力講座は、全国の学習塾・スクール・学校を中心に広く導入されるなど、業界トップクラスのポジションを確立している教育関連会社です。
株式会社SRJは、従業員の健康を重要な経営課題であると捉え、2021年に「SRJ健康経営宣言」を行い、2022年から3年連続で「健康経営優良法人(中小規模法人部門)※2」に認定されています。今回は、株式会社SRJが健康経営に取り組んだ理由や成果、そして今後の課題などについて話を伺いました。
※1:2024年3月時点
人材採用の対策として取り組んだ健康経営優良法人認定
―――まず、御社の事業内容についてお聞かせください。
秋山:私ども株式会社SRJは、「社会で活躍できる人づくり」に教育事業で貢献するウィザスグループの一員という位置付になります。ウィザスグループは関西を中心に学習塾「第一ゼミナール」の経営をはじめ、全国的には「第一高等学院」という通信制の学校も運営しています。また、社会人を対象にした自己成長や自己実現を見据えた、さまざまなサービスも展開しています。
SRJとしては速く正確に文章を読み解く能力を鍛える「速読解力講座」などの能力開発を中心に事業を展開しており、全国累計5500教室で様々な講座・サービスをおこなっています。
―――全国で5500教室! なるほど速読が重要視されている証ですね。
秋山:そうですね。たとえば現在の学校の教科書の文章量はとても多くなっています。また中・高・大の受験でも、限られた時間の中でかなりの文章を読み、理解しなければならないんです。センター試験と比較すると約2倍の文章量です。大量の文章・情報を速く読み、適切に取捨選択し、正確に判断するという能力も求められているんです。
―――今回インタビューに参加していただく、秋山さん、石川さん、寺井さんの御社での役割を教えていただけますか。
秋山:私は元々新規・既存の法人営業で入社しました。現在は執行役員としてコンテンツの企画開発に携っています。健康経営の視点からも、10数年にわたってこの会社と職場を見てきた経験があるので、内外の仕事環境の変化なども含めて伝えています。
石川:私は営業部で既存の先生方のサポートとカスタマーサポートを担当しておりました。現在はセミナーの開催などを通じて、学習塾など会員の皆様にさまざまな事例をお届けして、事業や組織の活性化を図る営業企画を担当しています。
寺井:私は新規事業開発室という部署で、新規事業の立ち上げを行っています。元々、塾などの学校経営に提供しているものをオンラインで直接ユーザーさんに対して提供しようという新規事業や、オウンドメディアの立ち上げにも関わっておりまして、コンテンツの企画、編集、撮影などマーケティングを担当しています。
―――「健康経営優良法人」の認定取得に動いた理由をお聞かせください。
秋山:まずは、「従業員が幸せに働ける環境づくり」を大切にするという、当時の弊社代表の思いがありました。幸せの基盤となるのは、物心両面の幸福であることです。経済的な安定や豊かさに加え、心身の健康が仕事の楽しさや、やりがい、成果につながり、組織も活性化していくという経営陣の考えに認証取得の意味が合致していました。
もうひとつ重要だったのは、新たな人材の採用が難しくなってきたことへの対策でもありました。
弊社は新卒採用をしておりませんので、全員が前の職場を経験しているキャリア採用なわけです。私は前職が学習塾勤務だったんですが、そこと比べても弊社は働きやすいと感じていました。女性の割合が約7~8割と多く、女性にとっても働きやすい職場という印象でした。ところが、その感覚とは裏腹に採用応募数が伸び悩むなど、採用活動の悩みが出てきました。
―――良い職場環境という、御社の強みが伝えられていないと。
秋山:当時から弊社は、従業員にも外の方々からもホワイト企業と見られていたと思うんです。これを採用面も含めて対外的にアピールするには、どうしたらいいかを模索しました。その結果、当時の担当者から「健康経営優良法人」の認定を取得することが有効ではないかという提案があったのがきっかけです。
そこから取得に向けて動き、2022年から3年連続で「健康経営優良法人」の認定を受けています。元々ホワイト企業であると自負していたのですが、認定を受ける上ではさらに労働時間のことなどいくつもの課題に取り組み、改善を図っていきました。
残業時間の削減と効率化がもたらす仕事の質の向上
株式会社SRJ 東京本部 執行役員 秋山和沙さん
―――具体的にはどんなことを変えていったのでしょうか。
秋山:まずは残業時間の削減ですね。取り組み以前は営業部のみなし残業が20時間ありました。しかし、コロナ禍でオンライン商談が増えたこともあって働き方がかなり変わりました。また不利益変更等にならないように、段階的な給与水準と規約の改定をおこないました。結果として全従業員の平均残業時間が4時間ぐらいにおさまるようになったんです。そんな成果もあり、さらに残業時間をひと月で1時間に減らすことにしました。
―――ひと月で1時間! 1日ではなく?
秋山:ひと月1時間です。もちろん超えてしまった場合にもペナルティはありませんが、業務の効率化を図ることで残業時間を短くすることにしました。
―――それだけ残業時間をなくすこということは、かなりの効率化が必要かと思います。それについてどんな対策や支援を行ったんでしょうか。
秋山:まず、紙を減らすことから始まりました。社内手続きのフローをすべて整備して、書面を減らすことと属人化が解消されました。また、マネジメントに関して、各部署のメンバーが、どの業務にどのくらい時間かかっているのか工数を分解してもらうということも取り組みました。いざ分解してみると惰性でやっていることもかなりあって、それらをすべて整理することができました。当初はそんなことが可能なのか?とも思ったんですけどね。
―――こういった変革に際しては、経営層と現場スタッフとの間でギャップが生まれがちだと思うんですが、取り組みを進める中でのハレーションはなかったのでしょうか。
秋山:経営層と現場に挟まれている身としてお話します(笑)。まずは経営会議内で方針が出されて、経営層も「やるべき」という合意のもとにこの取り組みは始まりました。一方、現場ですが、やはり最初は抵抗感がありましたね。
私自身も取り組みにあたっては、各リーダー・メンバーと面談の機会を設け、説明していくと共に、一緒になって業務分解をしました。プラスマイナスさまざまな気持ちはあるものの、所属メンバーになんとか納得してもらったという感じでした。
ところが、実際に取り組みが進んでいくと、効率化によって新しいコンテンツやサービスを考えたり、作ったりする時間の割合が増えていったんです。そういうプラスの変化を実感できたことで姿勢や雰囲気が変わってきました。これがやがて仕事の質の向上につながっていくと考えています。
変わる働き方を現場の隅々にまで浸透させるために
株式会社SRJ 東京本部 営業本部 営業企画 石川幸代さん
―――実際に現場で取り組まれている皆さんはどうですか。
石川:私個人としては業務の効率化に対応するのが大変でしたね。でも経理の方が寄り添って、ていねいに研修してくださったので助かりました。まだ戸惑いの声などもありますが、時間の経過とともに徐々に解消されてきていると思います。
―――広く現場に浸透させるために意識したことや工夫していることはありますか。
秋山:まずは、全体周知する際に発信内容に解釈の齟齬が出ないように言い回しを分かりやすくする工夫をしています。
次に、従業員間での情報格差を徹底してなくすため、社内アンケートで上がった質問をスプレッドシート上でQ&Aに一覧化して、誰でも見られるようにしました。
さらに、1on1のためのコミュニケーションツールを入れて、心の状態やストレスチェックの可視化によるマネジメント支援ができるようになりました。心の変化や負荷状況を把握し、マネージャーとの面談につなげています。この2年でストレスケアの仕組みも整ってきました。
健康経営優良法人の取得後、応募数がなんと10倍に増加
―――一連の取り組みの結果、どんな成果が得られましたか。
秋山:まずは先ほどの残業時間数の削減。その他で大きなところは求人に対する応募数の大幅増ですね!この取り組みを始める前は年間50~80人程度でしたが、昨年は700人にまで増加したんです。
寺井:教育業界というのは先生方の労働環境が厳しいので、学校の先生中心に募集をかける際に、健康経営優良法人であることが大きな要因になっているんだと改めて実感しました。
株式会社SRJ 東京本部 新規事業開発室 寺井隆雅さん
―――それは素晴らしい成果ですね。採用告知などでは具体的にはどのような表現をされているんですか。
秋山:ホームページや採用ページで健康経営優良法人認定を取得していると明記するくらいで特別ことはしていません。福利厚生面については、1次面接の際にていねいに説明しています。
―――なにかアピールしておきたい福利厚生がありますか。
秋山:たとえば「何でも手当」という制度があって、1人当たり年間の上限があるのですが、スーツ代や保育料、家賃、ネイル、フィットネス、習い事など、とにかく何でも申請できます。上限までの金額の枠内ならOKです。
石川:他には「どこでも勤務連携出張」があります。弊社には東京・大阪・福岡に拠点がありますが、その拠点間を行き来する出張業務のついでに、ちょっとリフレッシュもできるよう交通費・宿泊費を決まった金額支給するというものです。たとえば、金曜日は福岡で仕事して土日に旅行して帰るというふうに余暇も楽しめます。
―――それはうれしいですね!
秋山:当時の弊社代表は常々「社員は宝」であると言っていました。私どもの事業は人に支えられて成り立っていますから、人を大切にする、お互いの信頼関係を大切にするという姿勢が浸透しているんです。
―――最後に御社の将来に向けたアクションがありますか。
秋山:私どもSRJの母体であるウィザスグループは、来期で50周年を迎えます。この節目を契機に、未就学からシニアの方々まで、個々人のたゆまぬ学びと成長をサポートすることで「社会で活躍できる人づくり」にこれまで以上に貢献していけるよう、グループのあり方や連携面などを進化させていきます。
―――皆様お忙しい中、本日はありがとうございました。
<プロフィール>
株式会社SRJ https://speedreading.co.jp/
執行役員 秋山和沙 営業本部 営業企画 石川幸代 新規事業開発室 寺井隆雅