株式会社NMR流通総研は大阪市淀川区にある経営コンサルティング会社です。1976年の創業以来、人材は「人財」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値やパフォーマンスの向上につながる支援を行っています。一企業として2020年に「健康宣言」を行い、健康経営への取り組みを表明。2021年度に健康経営優良法人の認定を受け、2022年度からは「ブライト500」に3年連続で選出されています。健康経営を通して、会社の事業・サービスのさらなる充実を図っていく取り組みに注目です。
大阪市淀川区にある株式会社NMR流通総研は、1976年の創業より培ってきたマーケティングやマネジメントのノウハウを活かし、企業活力向上をサポートする経営コンサルティング会社です。最も得意とするのが、人材を「人財」として捉え、その価値を最大限に引き出し、企業価値やパフォーマンスを向上させること。「人的資本経営」をベースに、多岐に渡る業界の組織活性化を支援してきました。
一企業としても近年は、福利厚生の充実に着目し、2020年の健康宣言で「健康経営®」への取り組みを表明したことを皮切りに、2021年度には健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を初めて取得。さらに、2022年度からは「ブライト500」*に3年連続で選出され、従業員一丸となって健康経営を積極的に推進しています。
今回は、株式会社NMR流通総研が健康経営にチャレンジした経緯や取り組みについて、代表取締役の中坊崇嗣さんにお話を伺いました。
※「ブライト500」とは、健康経営優良法人の中から「最も優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として、全国上位500社に選ばれたことを指します。
「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
人材育成から組織活性化と事業改善につなげる取り組み
ーーー まずは御社の事業内容についてお聞かせください。
中坊:弊社は人的資本経営による組織活性化をはじめ、経営やマーケティングなど企業全般のコンサルティングを行っています。強みとしているのが、「伴走型」のコンサルティングです。プロジェクトプランや改善プランの設計といった頭で考える支援だけではなく、実行段階まで踏み込み、クライアント様と一緒になって身体を動かし、新規事業の立ち上げや経営改善、人材育成などに取り組んでいます。
近年、企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、マーケットの動向を踏まえて事業の精度を高め、検証によるブラッシュアップを図る必要があります。そのため、そうした事業の運営を担っているヒト(従業員)や会社組織の活性化がとても重要になると考えています。
ーーー 「人的資本経営」の視点に着目して事業をされるようになったのは、どのようなことがきっかけだったのでしょうか。
中坊:弊社は1976年に創業しており、私は2代目で社長に就任しました。「人的資本経営」に着目したのは、先代社長の時からです。例えば、お客さまの会社、または小売店や飲食店などの経営改善を図ろうとする時、実際に取り組みを実行し、行動するのは従業員の皆さんです。まずは従業員の皆さんに、会社でどのような問題が起こっているのか、その改善に向けて何に取り組んでいくべきかを理解してもらい、納得した上で行動してもらう必要があります。
その改善策となるのが、人材育成です。モチベーションを高めること、スキルを身につけてもらうことは、会社の事業にとって効果的な行動へとつながり、その結果、売上の向上やお客さまの増加といった成果になります。弊社では50年ほど前からこうした事業を手掛けていますが、元々は「組織活性化コンサルティング」という名称でした。国が「人的資本経営」という言葉を使うようになり、そこに表現を合わせて当社の事業を展開しています。
“知らぬ間のストレス”をためず、心と体の健康を維持
ーーー 健康経営優良法人認定制度にチャレンジされたきっかけを教えてください。
中坊:弊社では、人的資本経営の支援を行う上での骨子として、「理念経営」、「人事制度の運用」、「福利厚生の充実」、「人材育成」を4本柱に定義づけています。弊社が行うマーケティングやコンサルティング、いずれのプロジェクトにも、この人的資本経営のエッセンスが、私たちが提供するコンサルティング活動すべてに含まれていることが、高いパフォーマンスにつながり、効果的なサービス提供つながっていると考えています。
4本柱のうち、「理念経営」、「人事制度の運用」、「人材育成」は弊社の得意分野でしたが、その一方で「福利厚生の充実」においては、コンテンツの充実度が足りないことが課題でした。そこで、健康経営優良法人認定制度に取り組み、まずは従業員の心と体の健康維持・増進を進めることにしました。同時に、もっと従業員が会社の取り組みへの関わりを深めるといった狙いもありました。こうして、弊社の従業員が元気になった実例をお客さまにお見せすることで、お客さまが健康経営優良法人認定を取得する支援サービスにつなげられます。また、お客さまに自信を持って認定制度をお勧めすることもできると考えたんです。
弊社の関係者には、鍼灸院を経営しながらK-1選手やオリンピックメダリストのパーソナルトレーナーやカウンセラーなどもいらっしゃいますので、そうした方々とチームを組んで心と体の健康維持に向けた取り組みを支援できるように体制を強化しているところです。
ーーー 健康経営優良法人認定制度の申請には、かなり多くのチェック項目があったと思います。すべての項目に回答した時の達成度はいかがでしたか。
中坊:健康維持のために取り組んでいる項目では、「喫煙者との分煙」や「定期健康診断の実施」といった項目が要件を満たすギリギリのラインだったことを除き、他の項目は特に問題なく回答できました。ただ、これらのチェック項目についても継続して取り組んでいるので、今では「当たり前のこと」になっていますね。
ーーー 継続的に取り組まれているとのことですが、取り組みをされる中で何か変化はありましたか。
中坊:カウンセラーとの面談や相談を開始するぞという当初、「ストレスを全く感じていない」という従業員がいたんです。ところが、一度面談を実施してみたところ、実は本人が知らず知らずのうちに抱えているストレスがあることが判明しました。そこで、カウンセラーの方から“気づかぬうちにストレスをためてしまわない方法”を教えてもらい、その後もカウンセリングを受け続けた従業員はこれまで以上に元気になることができました。これはとても良かったですね。
また、私自身も健康診断で年々、血糖値やコレステロール値が悪くなっていっているんです。そこで、産業医の方と面談をした時に予防対策についても相談したところ、私の日課である犬の散歩でも効果が出せる方法を教えてもらえました。健康経営に取り組むことで、1年に1度、心身の健康へのアドバイスをもらえることはありがたいです。
自社の成果で培ったノウハウをコンサルティングに活用
ーーー 2024年度には健康経営優良法人「ブライト500」に選出されています。中小企業法人部門には約1万6,700社を超える企業が認定されているので、まさにその中のトップクラスの取り組みということです。認定される上で良かった点は何だとお考えですか。
中坊:健康経営推進に向けた取り組みと申請の二つをきちんと実施できたことに尽きますね。真摯に取り組んでいけば、必ず成果に現れるということが示されたのだと思います。また、経営者の私自身もそうですが、従業員が健康経営の取り組みに対してメリットを感じている点が大きいですね。このことで、「継続して取り組んでいこう」という社内の気運につながっています。
ーーー 具体的に、従業員の方はどのような点が良くなったとおっしゃっていますか。
中坊:先ほどの話の通り、カウンセラーの方との面談の機会を設けたことで、一人ひとりの小さな課題を見つけることができ、気を付けられるようになったことです。素人ではなかなか分からないことへのアドバイスがいただけるので、心と体の両面での健康を保てるようになりました。また、個人への推奨ではなく、会社の施策としてやってくれているのが「ありがたい」、「助かっている」といった声もあります。
人的資本経営での支援には、どのような事業においても、会社が従業員のことを大切に思い、会社との信頼関係が構築されていることがベースにあります。当社の従業員も健康経営優良法人に認定されたことで、会社に勤める安心感をより体感できているんだと思います。経済産業省から認定を受けたことによる社会的信用の向上という面もありますが、単に口で話すだけではなく、弊社での実際の成果から培ったノウハウによるコンサルティングの提供が弊社の強みの一つになっていると思います。
会社の将来を見据えた「健康経営」の必要性
ーーー これから健康経営や人的資本経営に取り組まれようとしている企業さんの中には、将来の売上につながるのかが不安でなかなか投資に踏み切れないという事情もあるようです。
中坊:確かに、そうした壁があることはすごく感じます。私も実際、「健康経営や社員教育は、優先順位として今やるべきことではない」という中小企業の代表の方の声を多く聞きます。
大手企業であれば、健康経営に取り組むための専門の部署を設置するなど、具体的なアクションをすぐに起こされているところが多いですが、中小企業では、なかなか取り組むところまでに手が回らなかったり、資金を回そうにも他の事業を優先させたりといった事情もあります。こうした企業が取り組もうと思えるよう、国を挙げて、健康経営を進めていく風潮や文化を高めていく必要があると感じます。
今、前線で勤めている人たちが会社をブラッシュアップしていかないと、10年先、20年先、経営状態はますます厳しくなることが懸念されます。このような危機感に対して、各企業の担当者が意識を向けられるよう、弊社でもいろいろな啓蒙・普及活動に取り組んでいるところです。
会社の個性で魅力をつくり、社員の定着率向上へ
ーーー 今後、健康経営においてどのような取り組みを計画されていますか。
中坊:昨今、「ストレス社会」の風潮が強くなり、メンタル面の弱い方や打たれ弱い方が増えているように感じます。こうした世の中の流れに合わせ、働くみなさんが喜びを感じることによって、会社への定着率が向上し、パフォーマンスを高め続けていけるようなコンテンツの開発にも継続して取り組んでいきたいです。
ーーー 最後に、企業のコンサルティングをされているお立場から、中小企業さんへのエールをお願いします。
中坊:健康経営は、投資効果が見えにくいものです。ですが、人材を募集してもなかなか雇用できない原因の一つには、仕事のやりがい、処遇が挙げられます。そうした中、「うちの会社は社長から従業員まですごく良い関係で仕事ができている」という魅力は、それぞれの会社の個性でつくることができるものだと思います。
ただ、その個性づくりも、どのような成果が、いつ得られるのかがすごく分かりにくいものなんですよね。そのことを理解した上で、グッと堪えて会社の理想を大切にし、取り組み続けている会社には人が集まり、定着していくのだと実感しています。常に今後のこと、将来のことを考えることをぜひ大切にしていただきたいと思います。
そして、健康経営は、人的資本経営における人財の資産化の取り組みの中でも重要な取り組みのひとつです。
健康経営に取り組んで、会社全体のパフォーマンス向上を推進することで、売上向上、社員さんの定着向上、業務効率化など、会社の、さらなる成長、企業価値の向上を、是非、推進していただきたいです。
<プロフィール>
株式会社NMR流通総研 http://nmr-ltd.jp/
代表取締役 中坊崇嗣