次亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸水の違いとは?

呉 博士(株式会社UPDATER顧問) 2021.8月執筆

 

次亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸水は兄弟のような塩素系化学物質で、違いは1点だけです。次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、製法由来の苛性ソーダが残るため強いアルカリ性であるのに対し、次亜塩素酸水は酸性から弱酸性であるという違いです。どちらも強力な殺菌力とウイルス不活化力を持ち、新型コロナウイルスに対する有効性も、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によって実証されています。

ここでは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸水の違いと安全性について解説します。

 

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次亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸水の効果と使用方法

 

次亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸水の違いは、アルカリ性か酸性かという違いです。ここでは、それぞれの効果と使用方法について紹介します。

 

 

医療機器用消毒剤としても使われている次亜塩素酸ナトリウム水溶液

 

次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、病院内での感染を防ぐための院内環境や医療機器用の消毒剤として、エタノールと並んで古くから十分な実績があります。しかし、家庭向けの消毒液としては市販されておらず、台所用漂白剤を100倍に希釈して作らなくてはなりません。

また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の一番の問題は、強アルカリ性だということです。皮膚への刺激が強く、素手での使用は厳禁です。また、目には絶対に入れないよう、注意する必要があります。

 

 

食品衛生分野での殺菌料として使われている次亜塩素酸水

 

次亜塩素酸水は、食品衛生分野での加工食品や機器の殺菌料として十分な実績があります。「最終食品の完成前に除去しなければならない」との条件つきですが、食品添加物として認可されています。また、法規上の制約によって手指の消毒には推奨できませんが、皮膚への作用も穏やかです。

したがって、次亜塩素酸水はとても扱いやすいといえますが、最大の問題は、次亜塩素酸水そのものが不安定で、製造直後から時間とともに分解し、活性が失われることです。そのため、製造日を確認してフレッシュな製品を購入し、開封後は速やかに使うことが必要です。

なお、みんなエアーでは、人への安全性の観点から次亜塩素酸水の使用をおすすめします。ただし、手指ではなく、物品の消毒用に使いましょう。

次亜塩素酸水の噴霧は安全なのか?

 

物品の消毒用として優れている次亜塩素酸水ですが、空間への噴霧は安全なのでしょうか。

実は、国内においても、10年程前から医療機関や福祉施設を中心に屋内での次亜塩素酸水の噴霧が行われています。これまでは、感染予防やインフルエンザ対策として噴霧していましたが、コロナ渦を契機に、さらに多くの施設が導入を検討するようになり、有効性や安全性に関する懸念も広がりました。

それを受けて厚生労働省が一定の見解を表明しましたが、業界、研究者、医療従事者を巻き込んだ推進派と反対派の論争が2021年現在も続いています。

 

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次亜塩素酸水噴霧に対する厚生労働省の見解

 

厚生労働省は次亜塩素酸水噴霧について、付着ウイルスや空気中の浮遊ウイルスを除去できるかどうかは、メーカーなどが工夫を凝らして試験をしていますが、国際的に評価方法は確立していないという見解です。

また、安全面に関しては、メーカーにおいて一定の動物実験などが行われていますが、消毒効果を有する濃度の次亜塩素酸水を吸い込むことは推奨できず、空間噴霧は無人の時間帯に行うなど、人が吸入しないような注意が必要だとしています。

 

 

次亜塩素酸水噴霧に対する推進派と反対派の見解

 

次亜塩素酸水噴霧推進派の代表は、次亜塩素酸水業界と三重大学、北海道大学、東京工業大学の教授グループが連携して設立した一般社団法人次亜塩素酸水溶液普及促進会議です。次亜塩素酸水の化学的性質と長年の使用実績を根拠として、噴霧使用の有効性と安全性を精力的に啓発しています。

 

反対派は、研究者や医師らが個人として発信しています。主に安全面についての懸念があり、目や鼻、口から肺まで続く上気道、下気道は、化学的、物理的な刺激に対して耐えられるようにはなっていないため、化学物質がふれることはできるだけ避けなければならないと主張しています。

 

 

次亜塩素酸水の使用は人への安全性が最重要

 

みんなエアーでは、次亜塩素酸水の使用について、人への安全が最重要であると考えます。ですから、現状では厚生労働省の見解に従い、次亜塩素酸水の噴霧は「人のいない空間」に限るべきだと考えます。

同時に、この方法の有用性も理解しており、「人のいる空間」での安全性を保障するための継続的な検証研究の推進を、次亜塩素酸水業界と研究機関に強く期待しています。

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