2030年 日本で最も社員の健康を大切にする企業へ! ANAグループ初の「ブライト500」~ANA総研の健康経営~

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株式会社ANA総合研究所とは、ANAグループの航空企業経営に関する調査研究機関として2006年に設立され、航空と関連する新たなビジネスの提案、地域活性化や観光振興、人財育成等に取り組んでいます。ANAグループで培ったノウハウを集結し、必要に応じ、社外の知見を掛け合わせて新たな価値を創り出し、持続可能な社会の実現に向けて更なる進化を目指しています。

ANAグループは、2016年4月に「ANAグループ健康宣言」を行い、「社員の安全と健康の確保、快適な職場環境づくりは企業活動の基盤である」という考えのもと制定した「ANAグループ労働安全衛生方針」に則り、ANAグループ全社員および、ともに業務にあたっていただく委託先や協力先の方々が一体となって健康経営を推進していくことに加え、ANA グループ健康経営の最高責任者であるCWO(Chief Wellness Officer)の指揮の下、個社WO(Wellness Officer)、WL(Wellness Leader)を選出し、社員の健康にかかわる状況を正確に把握した上で、各種健康増進の施策を進めてきました。

こうしたこれまでの取り組みが評価され、ANA総合研究所は今年度、ANAグループで初めての「健康経営優良法人2024 ブライト500 」に選ばれました。                                  参照:健康経営優良法人認定制度|経済産業省

一人ひとり全ての社員が常に心身共に健康で毎日笑顔で働き、そして長く活躍し続けることを目指した健康経営を実践していくANA総合研究所の取り組みを、業務部の健康経営担当の小島さん、中村さん、執行役員 業務部長の八島さんに話を伺いました。

 

 

社員の平均年齢は57歳のエキスパート集団!
ANA総研の使命とは

 

 

ーーー株式会社ANA総合研究所の事業内容についてお聞かせください。

小島:まず、弊社では「持続可能な社会の実現に向けて新たな価値を創造し続けるシンクタンクを目指す」というビジョンの元に各事業を展開しております。

主となる事業は3本柱で、航空事業に関する幅広い横断的な戦略を調査研究するとともに、航空と関連する新たなビジネスの提案、航空ホスピタリティ産業の人財育成分野での産学連携や、これまで培った日本各地の知見や海外機構との関係を生かして地域活性化や観光振興に力を入れています。

在籍している社員は30代から雇用延長者含む60代で、平均年齢は57歳。ANAグループ内で長年にわり多種多様な職種で経験を積んできたメンバーが揃っている「エキスパート集団」と自負しております。

具体的には、客室乗務員や空港スタッフ、整備、営業など、各職種の人財が、豊富な知識やスキルを持って、組織の枠を超えて融合することで、価値共創サイクルを効率的に回すことで新たな価値を創造し続けることを目指している会社です。

また、『ていくおふ』という季刊誌も発行しております。航空や交通、世界の時事情報をはじめとする、時代にマッチしたテーマを抽出することを心がけており、ていくおふの(2024年Summer発行)誌面では、ボトムアップウェルビーイングをテーマに、【特集:労働力不足の時代】を組み、上智大学経済学部の森永雄太教授に~人口減少時代に求められるマネジメント・シフト~を執筆いただきました。

 

ーーー社員の方は何名くらいいらっしゃるんですか。

小島:組織体制としては約80名程度です。外部からの採用活動は行っておらず、全てANAグループ社からの出向で知識と経験豊かな人財です。一部人事交流の中で、東京都や東京都教育庁などからも毎年研修生を受け入れています。

 

 

ANAグループの「健康宣言」 、
ANA総合研究所としての「健康宣言」

 

ーーー御社の『健康経営』の取り組みについて教えてください。

小島:弊社はANAホールディングスの子会社で、全社ですと約4万人が働いているんですけども、健康経営の推進体制としてはANAホールディングスのグループ労政部が舵取りをしています。したがって、基本はそのグループ労政部から各社に、ANAグループとしての健康経営方針が共有され、それをベースとして、プラスアルファで自社の組織体制に合わせた施策を検討し、進めていくことができます。

 

ーーーANAグループ全体で健康経営方針を出されているとのことですが、「健康経営優良法人認定 ブライト500 」はANA総合研究所が初!ということですよね。

小島:そうですね。健康経営優良法人認定は他でもありますし、グループとして「ホワイト500」にはこれまでも選出がありましたが、「ブライト500」に選んでいただけたのは今のところは弊社だけです。会社としての規模感が、グループ内ではやや小さめというのもあって、結果を出しやすかったということもあるかもしれません。

取り組みについてですが、先述のとおり、まずはANAグループ全体として2016年4月に「健康経営宣言」をしています。大前提として、社員の安全と健康の確保、それから快適な職場環境づくりは企業活動の基礎であるという考えです。

また、2024年2月に、日本の航空会社で初となる「ANAグループ健康白書2023年度」を発行しました。2023年度から2029年度のANAグループの中期健康経営計画を掲げ、各施策と取り組みの進捗状況を積極的に社内外に発信していくというものです。2030年に目指す姿としまして、日本で最も社員の健康を大切にする企業になるという目標を掲げております。

ANAグループにおいては、健康経営は、人財戦略の中の「働く基盤」として位置付けており、経営の根幹を形成していると考えられています。健康経営の推進を通じて、経営戦略の実現と同時に、社員とその家族や関わる人々の幸せと豊かな人生を実現していきたいという思いも含めています。つまり、ANAグループが大きく掲げている経営ビジョン「ワクワクで満たされた世界を」も実現できるという考えが、ANAグループ全社での統一した健康経営の指針なのです。

私どもANA総研としても、経営TOPがあらためて健康宣言をしています。社員の平均年齢が57歳ですから、 健康寿命を伸ばし、長く活躍し続けてもらうことも弊社の目標です。一人ひとり全ての社員が常に心身共に健康で毎日笑顔で働き、これまで様々な経験を積んできた社員が、その経験とスキルをベースにしながら、いくつになっても明るく元気に、やりがいを感じながら働くことが企業価値向上につながると考えております。

 

 

ワースト1からの
「健康経営優良法人認定 ブライト500」選出へ!

 

 

ーーー「健康経営優良法人認定」に挑戦された理由を教えてください。

小島:実は…、2018年度の健康診断の要管理率が、なんと!ANAグループの同事業所地区のなかでワースト1に。

他のグループ各社と比べると18%もの格差が出てしまい、かなりの危機的状況でした。

また、 ちょうどその2018年度の途中に社員50名以上の事業所になったという経緯もあり、このタイミングで衛生委員会を設置して、産業医も専任にし、試行錯誤を始めました。2023年度ですね、ようやく健康経営優良法人認定にチャレンジをしまして、その年に健康経営優良法人認定を受けることができました。

実際、認定制度にエントリーしたのは2023年度なんですが、前年の2022年度の時点で健康診断などの管理率が改善してきていたので、もしかすると健康経営の取り組み効果が出てきているのではないかと。そこから健康保険組合連合会東京連合会の「健康優良企業 銀の認定」と「健康経営優良法人認定」の2つをベンチマークし、実際の申請書等を見て意識し始めていました。

 

ーーー申請書のチェック項目を見て、意識的に取り組んだことはありますか。

小島:そうですね。チェック項目の中に、「従業員の日頃の飲み物に気を付けていますか」というのがありまして。あらためてオフィスを見回してみると、かなり糖分多めのものを接種する社員の姿を見かけるんですよね。

こういった普段見落としがちなところですが、衛生委員会の中で保健師や産業医の先生方に相談して、肥満率や体重増加に照らし合わせた対策が必要かなと思い、ちょっと酷かもしれないんですけど、「このドリンクは糖分どれぐらいです」というポスターを自動販売機に貼るなどして、すこし健康を意識した飲みものを選んでいただけるように仕向けていくことにしました。

 

 

 

 

健康診断結果の分析とボトムアップの取り組み

 

 

 

 

ーーー細かく分析をされていらっしゃる中で、セグメントごとの特徴的な課題はどのようなものがありますか。

小島:健康診断の結果があまり思わしくないのは、きっと50-60代なんだろうと勝手に思い込んで、内容をチェックしていたのですが、定点観測で世代別や男女別等、細かく分析していったところ、50代はかなり改善していたんです。一方で、60代の方が抱えている問題は脂質異常や肥満というところが1番多くなっていました。また、年齢層が低くなると、特に女性の低体重は課題です。

 

ーーー健康診断の課題には、どのような働きかけをしていらっしゃるんでしょうか。

小島:衛生委員会を通じて毎月さまざまな情報配信をしているので、例えば、‟朝食を抜いてしまうことのデメリットについて”や‟ 食生活の改善方法”などをニュース配信してみたり。あとは、保健師の方と一対一での面談をしながら、一人ひとりの課題にあったコンサルティングを行って、食生活や運動をアドバイスしています。

 

ーーー健康にまつわる具体的な施策を教えてください。

小島:私どもは健康経営推進のため、4項目を重点的に取り組み、PDCAを循環させています。

  1. 健康管理の取り組み 2. 疾病予防にかかわる取り組み 3. メンタルヘルスにかかわる取り組み 4. 安全衛生活動にかかわる取り組み の4つです。

具体的な取り組みの一例としては…、

運動する機会を増やしたい、増やそう!ということで、ロコモティブ診断”*という筋力の測定を行っています。これにより転倒や骨折をなくして、寝たきりになることも未然に防止していくことが狙いです。厚生労働省でもスマート・ライフ・プロジェクトの一環として、自分の足で一生歩ける体に!をコンセプトに若い頃から生活習慣や適切な運動によって、ロコモを予防することが大切と推奨しているため、ANAグループ内でも積極的に取り組んでいます。 *「ロコモ」とはロコモティブシンドロームの略で、立ったり歩いたりする身体能力が低下した状態のことを言います。

 

 

八島:ウォーキングイベントなんかも開催していますね。年に2回やるんですけど、頑張る方は1日2万歩も歩いていたり、みんなが朝の挨拶代わりに、「今日、〇万歩も歩いて来たよ」みたいなコミュニケーションになっていたり。歩いた歩数に応じて、ポイントが付与され、健康グッズなどに交換できるような仕組みも設けています。健康診断結果にも一定の効果が表れているので、やはり継続する重要性を感じています。

小島:その他では、コミュニケーション促進に向けた取り組みのひとつとして、 弊社でも業務連絡を含んだANAグループ全体での横串を通すためチャットを活用しています。チャット「スペース」を導入したことによって、チームコミュニケーションが円滑になったり、共同作業の場として活用できたりすることで、組織を超えた連携を可能にし、メンタルヘルスの予防にもつながっています。

中村:また、ツールを活用して、役員を含めた従業員が健康に関する話題をリレー形式で発信する‟健康術事例リレー”も行っています。個人の健康宣言やご自身の健康増進に関わる活動を紹介してもらっていて、みんなで楽しみながら、良い意識づけになっているのではないかと思っています。

 

 

一人ひとりの心身の健康と笑顔、長く活躍し続けるために!

 

 

 

ーーー「健康経営」や「人的資本」が大事とは分かりつつも、まだまだコストと捉えざるを得ない…という声も聞きます。御社のお考えを教えていただけますか。

八島:「健康経営優良法人認定」を取得してから、社員から次への期待や安心感の声があがっています。これからも、数値分析をしながら、しっかり予算も確保し、優先順位を上げて取り組んでいきます。それらの取り組みが、最終的には従業員へのメッセージとして、また会社の本気度として伝わればいいなと思っています。

弊社は、人財が資産の全て、健康は活躍の大前提と考えております。

健康と向き合う世代が多い弊社だからこそ、社員が健康寿命を伸ばし、心身共に健康で生産性が向上し、笑顔で安心して長く活躍し続けるため、数字に基づく詳細な分析の元、楽しみながら参加できるイベント・講話等の啓蒙活動と共に、確実な施策を講じて、ANAグループの健康経営モデル職場となれるよう、弊社からの発信・提案を継続し健康経営をリードし続けたいと考えております。

また、社員一人ひとりを大切にし、専門性を活かしながら社内の知見を掛け合わせ、新たな価値を創り出し、持続可能な社会の実現に向けて更なる進化、新たな価値を創造し続ける「価値共創シンクタンク」を目指し、研究成果を発信していくことで、社会発展に貢献して参ります。

 

 

<プロフィール>                                                         

株式会社ANA総合研究所 https://www.anahd.co.jp/group/ari/

執行役員 業務部長 八島 聡  業務部 小島 朋恵  業務部 中村 奈央                                     

 

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