空気質とは?室内空気質の基準と測定方法について解説

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人は、1日に500mlのペットボトル約2万本もの空気を体内に取り込んでいるといわれています。しかし、空気は目に見えないので、もし汚れていたり、有害物質が含まれていたりしても気がつくことができません。

そのため、多くの国では空気の質に関するガイドラインを作成して、室内の空気環境を整えるための基準を設けています。

ここでは、室内空気質の重要性のほか、日本の室内空気質の基準と空気環境の測定方法について解説します。

 

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室内空気質は建物内の空気中のガス成分量を表す

 

室内空気質とは「Indoor Air Quality」の訳語で、一般的に建物内の空気中のガス成分量を示したものを指します。英語表記の頭文字を取って、IAQと呼ばれています。

空気には窒素をはじめ、酸素、二酸化炭素といった気体のほかに、粉塵やホルムアルデヒドなどの人体に有害な物質も含まれています。これらが空気中にどれぐらい含まれているのかを計測し、数値化したものが室内空気質です。

 

■空気の主な成分

 

 

室内空気質はなぜ気にする必要がある?

 

空気の状態は、見た目で確認することはできません。しかし、室内の空気が汚れていたり温度や湿度が不適切であったりすると、健康に悪影響を及ぼすこともあるのです。

建材などから放出され空気中を漂う化学物質は、シックハウス症候群の原因になりますし、スギ花粉やダニ、ほこりなどは、アレルギーを引き起こす一因にもなっています。健康な生活を送るためには、毎日大量に吸い込んでいる空気の質にも気を配る必要があるのです。

 

 

室内空気質は世界基準がある

 

理想とする室内空気質の世界基準については、世界保健機関(WHO)欧州地域事務局の「WHO Guidelines for Indoor Air Quality(室内空気質ガイドライン)」や、2018年にWHO本部から出された「WHO Housing and health guidelines(住宅と健康のガイドライン)」などで、WHOの見解が示されています。

これらを参考にした上で、多くの国では風土や環境を考慮した独自の基準が設けられているのです。

日本の室内空気質の基準とは?

 

日本の室内空気質の基準となっているのは、建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)が規定する「建築物環境衛生管理基準」です。

特定建築物の要件を満たす「特定建築物」の所有者、占有者、その他維持管理権限を持つ者は、厚生労働大臣が定める「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従って、空気環境の調整を行うことが求められています。

なお、特定建築物以外でも、多数の人が利用する建物については、努力義務として基準を満たすことが要請されています。

 

 

特定建築物の室内空気質基準

 

「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」では、満たすべき室内空気質基準が、建築物に「空気調和設備」を設けている場合と、「機械換気設備」を設けている場合の2つに分けられています。

 

空気調和設備とは、空気の浄化、温度の調整、湿度の調整、気流の調整の4つの機能をすべて備えた空調設備のことです。また、機械換気システムのほかに、エアコン、加湿器、除湿器を用意し、上記4つの機能をそろえた場合も、空気調和設備が整っているとみなされます。

 

一方の機械換気設備とは、空気の浄化と気流の調整の2つの機能を備えた空調設備のことです。温度調節や湿度調節の機能はなく、吸気と換気を自動で行う、機械換気設備のみ備えているようなケースが該当します。

 

空気調和設備を設けている場合の特定建築物の室内空気質基準は、下記のとおりです。なお、機械換気設備のみ備えている場合は、温度と湿度の各項目が除外されます。

 

■空気調和設備を設けている場合の室内空気質基準

浮遊粉じんの量 0.15mg/m3以下
一酸化炭素の含有率 100万分の10以下(=10ppm以下)
※特例として外気が10ppm以上ある場合には20ppm以下
二酸化炭素の含有率 100万分の1000以下(=1000ppm以下)
温度 17℃以上28℃以下
※居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
相対湿度 40%以上70%以下
気流 0.5 m/秒以下
ホルムアルデヒドの量 0.1mg/m3以下(=0.08ppm以下)

出典:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」

 

 

空気環境の測定方法

 

空気環境の測定は、特定建築物内で活動しているあいだに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で、規定の測定器を用いて行います。浮遊粉塵量以外は、同等以上の性能を有する測定器で測定することも可能です。空気環境の測定に必要な機器と頻度については、下記のとおりです。

 

 

■空気環境の測定に必要な機器と頻度

 

項目 測定器 測定頻度
浮遊粉じんの量(※1) グラスフアイバー濾紙(0.3μmのステアリン酸粒子を99.9%以上捕集する性能を有するものに限る)を装着して、相対沈降径が概ね10μm以下の浮遊粉塵を重量法により測定する機器、または厚生労働大臣の登録を受けた者(公益財団法人日本建築衛生管理教育センター 三田分室)により当該機器を標準として較正された機器  

 

 

 

 

 

2ヵ月以内ごとに1回

一酸化炭素の含有率(※1) 検知管方式による一酸化炭素検定器
二酸化炭素の含有率(※1) 検知管方式による二酸化炭素検定器
温度 0.5℃目盛の温度計
相対湿度 0.5℃目盛の乾湿球湿度計
気流 0.2m毎秒以上の気流を測定することができる風速計
ホルムアルデヒドの量 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン捕集-高速液体クロマトグラフ法(※2)により測定する機器、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール(AHMT)法により測定する機器または厚生労働大臣が別に指定する測定器(※3) 新築、増築、大規模の修繕または大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までのあいだに1回

※1 浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率および二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値をもって基準と比較

※2 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン含浸シリカゲルを充填した捕集管にて吸引する方法

※3 厚生労働大臣が指定するホルムアルデヒドの測定器

出典:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」

 

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室内空気質を見える化するサービス「MADO」を活用しよう

 

室内空気質を意識するためには、空気環境をチェックして、見える化することが大切です。株式会社UPDATER ( 旧 みんな電力株式会社 ) のエアテック事業「みんなエアー」では、主要な空気質をセンサーデバイスにより可視化し、データの分析・通知・アフターサポートまで行うクラウドサービス「MADO」を展開しています。

 

「MADO」は、オフィスや店舗の空気中に含まれる二酸化炭素やPM2.5、揮発性のガスといった空気質を計測し、クラウドに送信。事業者のコンピューターやタブレットなどのデバイスに表示し、その空間の空気がどのような状態なのかを見ることができるため、状況に応じた対策を行うことができます。

室内の空気質が気になる方は、ぜひご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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