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近年、「ホワイト企業」や「ブラック企業」という言葉が一般的に使われるようになり、対外的にホワイト企業であると認められることは、企業イメージの向上や採用力強化にもつながります。
ホワイト企業として公的に認定される制度としては、厚生労働省のホワイトマークがありますが、ホワイトマーク認定されるには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
この記事では、ホワイトマーク認定されるために満たすべき項目や、認定までの具体的な流れについて解説します。
ホワイトマークとは?
ホワイトマークとは、厚生労働省の「安全衛生優良企業公表制度」のことです。労働安全衛生に関して積極的な取り組みを行っている企業を認定・公表し、社会的な認知を高める制度です。いわば、ホワイトマークとは「ホワイト企業」であるという公的な証明であり、ホワイトマーク認定された企業は、自社製品やウェブサイト、求人広告などに認定マークを使用できるようになります。
ホワイトマーク認定に必要な項目
ホワイトマーク認定には、過去3年間の労働安全衛生関連の重大な法違反がないなどの基本事項に加え、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理など、幅広い分野において積極的な取り組みを行っていることが必要です。
具体的な項目は大きく3つに分けられ、それぞれさらに細かい評価項目が設定されています。
<ホワイトマーク認定に必要な項目>
・第1 企業の状況として満たしていることが必要な項目:計15項目
・第2 企業の取組として満たしていることが必要な項目:計10項目
・第3 企業の積極的な取組を評価する項目:計44項目
ホワイトマークの認定を受けるには、企業全体でそれぞれの項目について定められた基準を満たさなければなりません。それぞれの項目について、満たすべき水準を解説していきます。
(1)企業の状況として満たしていることが必要な項目
「企業の状況として満たしていることが必要な項目」としては、15の評価項目が設定されています。
内訳は、「過去3年以内に労働基準関係法令の違反で送検されていないこと」といった労働安全衛生法などに違反していないかという状況確認の7項目と、「過去3年以内に法令違反による死亡災害または障害等級7級以上に相当する重篤な労働災害を2件以上発生させていないこと」といった労働災害発生状況を確認する5項目。さらには、「過去3年間の企業活動において、「安全衛生に関する優良企業」としてふさわしくない問題を生じさせていないこと」といった、優良企業として満たすべき3項目です。
ホワイトマーク認定されるには、このすべての項目を満たす必要があります。
(2)企業の取組として満たしていることが必要な項目
「企業の取組として満たしていることが必要な項目」としては、10の評価項目が設定されています。
「各事業場(10人以上の事業場)に従業員の健康や安全を担当する組織があるか、または担当者を置いているか、また、企業本社には、全社的な健康や安全を担当する組織又は担当者を置いていること」など、安全衛生の実施体制の取り組みを確認する3項目と、「企業のトップが従業員の健康や安全の確保を重視する方針を明文化していること」といった、安全衛生全般の取り組みを確認する7項目です。
こちらも、すべての項目を満たす必要があります。
(3)企業の積極的な取組を評価する項目
「企業の積極的な取組を評価する項目」としては、44の項目が設定されています。
具体的には、「主要な事業場ごとに安全衛生に関して従業員が主体となって行う取組を支援しているか」「企業全体としての従業員の健康の保持・増進に関する計画(年間スケジュール表を含む)を策定し、着実に実施しているか」といった44項目です。安全衛生活動の推進や健康管理、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策といった各分野で、項目ごとに点数が設定されています。
下記の表の評価点のうち、各分野別の点数が総計の6割以上、全評価項目の総合点が総計の8割以上を満たすことが必要です。
■第3の項目の評価点
分野 | 取組評価点 | 実績評価点 | 合計 | |
1 安全衛生活動を推進するための取組状況 | 5点 | - | 5点
(項目別基準:設けない) |
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2-1 健康管理の取組状況 | 10点 | 2点 | 12点
(項目別基準:8点) |
|
2-2 メンタルヘルス対策への取組状況 | 10点 | - | 10点
(項目別基準:6点) |
|
2-3 過重労働防止対策の取組状況 | 10点 | 3点 | 13点
(項目別基準:8点) |
|
2-4 受動喫煙防止対策の実施状況 | - | 2点 | 2点
(項目別基準:設けない) |
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3 安全でリスクの少ない職場環境の整備の取組状況(製造業等) | 10点 | 3点 | 13点
(項目別基準:8点) |
|
合計 | 製造業等 | 45点 | 10点 | 55点
(総合点基準:44点) |
製造業等以外 | 35点 | 7点 | 42点
(総合点基準:34点) |
出典:厚生労働省「安全衛生優良企業認定基準」
ホワイトマーク認定の流れ
続いては、ホワイトマークの認定を受けるまでの具体的な流れについて見ていきましょう。認定されるには、下記の流れのとおり正しく申請・実施をする必要があります。
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厚生労働省のウェブサイトで自己診断を行う
ホワイトマークの申請を希望する場合は、まず厚生労働省の「職場のあんぜんサイト:安全衛生優良企業公表制度」で、自社の安全衛生の取り組みレベルを自己診断します。基準を満たしているかを判断する際には、同ウェブサイト内の事例や安全衛生優良企業公表制度認定基準解説書を参照してください。
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自己診断で基準を満たしたら申請書類を作成
自己診断の結果、安全衛生優良企業の基準を満たしている場合には、各項目を満たしていることを示すことができる書類を作成します。申請書類は、「職場のあんぜんサイト:安全衛生優良企業公表制度」からダウンロード可能です。
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都道府県労働局に申請
申請書類を作成したら、本社を管轄する都道府県労働局の窓口で申請します。申請書類の提出は郵送でも可能ですが、その場合は申請する労働局への事前相談が必要です。
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労働局による書類審査とヒアリングの実施
申請した書類にもとづいて、労働局による書類審査やヒアリング調査が行われます。その結果をもとに認定の可否が審査されます。
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認定されたら厚生労働省のウェブサイトで企業名公表
審査の結果、ホワイトマーク認定されると厚生労働省のウェブサイトで企業名が公表されます。なお、ホワイトマーク認定の有効期間は3年間です。3年経過した時点で引き続き認定を希望する場合には、再度申請が必要になるので注意しましょう。
安全衛生とともに健康への意識も大切
ホワイトマークの認定を受けるには数多くの項目を満たす必要がありますが、その分、社会的な信頼度も高い制度だといえます。企業イメージの向上や優秀な人材の確保を目指す上でも、ホワイトマーク認定は大きな効果を発揮するはずです。
また、ホワイト企業を目指すには、従業員が安心して気持ち良く働ける職場環境を作る必要があります。そのためには、安全衛生とともに普段からの健康への意識付けが大切です。
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