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空気は目に見えないものの、汚れていると人体にさまざまな悪影響を及ぼします。そのため、一定規模以上の不特定多数の人が出入りする施設では、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル衛生管理法)によって、建物内の空気環境測定が義務づけられています。
ここでは、空気環境測定の概要と、室内の空気環境を良好な状態に保つ方法について解説します。
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空気環境と空気調和
空気環境とは、空気の状態のことです。そして、人や物にとって最適に整えることを空気調和といいます。空気調和では、下記の4つの要素を目的に合わせて調整し、快適な空気環境を作っていきます。
■空気調和の4要素
・温度
室内を暖めたり冷やしたりすることで、適切な温度に調整します。
・湿度
除湿、加湿を行うことで、適切な湿度に調整します。
・気流
部屋の温度のムラなどを解消するため、空気の流れを作ったり風速を変えたりすることで、気流を調整します。
・清浄度
空気中を漂う粉塵やほこり、細菌、ウイルスなどの有害物質、臭気などを取り除いたり、空気中の二酸化炭素濃度や一酸化炭素濃度を下げたりすることで、清浄度を保ちます。
空気環境測定とは?
空気環境測定が義務づけられるのは、建築物における衛生的環境の確保に関する法律における「特定建築物」にあたる施設です。特定建築物の条件は、延べ床面積3,000平方メートル以上(学校教育法第1条に規定する学校については8,000平方メートル以上)で、主に事務所、百貨店、店舗、ホテルや旅館、学校などに利用されている建物が対象となります。
空気環境測定では、建物内の「浮遊粉塵の量」「一酸化炭素の含有量」「炭酸ガスの含有量」「温度」「相対湿度」「気流」の6項目が検査されます。空気調和設備のある居室の場合は、さらにホルムアルデヒドの測定が加わります。
測定は、ビル管理者として選任されている建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)が、専門の資格を有する空気環境測定実施者に依頼して行います。測定の頻度、測定時刻および1日のうちでの測定頻度、測定点、測定点の高さ、測定機材についても定めがあるので、ルールを遵守して測定を行わなければなりません。なお、測定の頻度は、1年を通して2ヵ月以内ごとに1回です。
一般的な事務所は作業環境測定が義務づけられている
特定建築物以外の一般の事務所は、空気環境測定の対象にはなりませんが、労働安全衛生法にもとづく「事務所衛生基準規則」により、空気調和設備などの調整と作業環境の測定は義務づけられています。
測定項目は、「一酸化炭素および二酸化炭素の含有率」「室温および外気温」「相対湿度」の3項目です。測定頻度はこちらも2ヵ月ごとに1回が基本ですが、一定の条件を満たす場合は、春または秋、夏、冬の年3回の測定とすることができます。
事務所衛生基準規則には、空気中の浮遊粉塵量、一酸化炭素および二酸化炭素の含有率、ホルムアルデヒド量などの基準も定められており、事業者はこの基準を満たすように作業環境を調整することが求められています。
空気環境測定が必要な理由
空気環境測定が義務づけられているのは、一定規模以上の建築物だけで、小規模な建築物には測定の義務はありません。その理由は、空調システムの違いにあります。
小規模な建築物の多くは、開閉できる窓の数も多く、入居者が自身の判断で換気などを自由に行うことが可能です。しかし、大規模な建築物では開閉できる窓も少なく、空調システムは管理室の一元管理で、建物内の空気を循環させているケースが大半です。このようなシステム下で空調設備に問題が起これば、汚れた空気がビル全体に溜まることになり、一酸化炭素中毒やカビの蔓延による呼吸器系の疾患などの健康被害につながってしまいます。
そのような事態を防ぐために、法律により定期的な空気環境測定が義務づけられ、厳格な空気環境の点検と整備が求められているのです。
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室内の空気環境を良好に保つには?
空気は目に見えないため、室内の空気がきれいなのか、汚れているのかは、測定してみるまでわかりません。だからこそ、室内の空気環境を良好に保つには、まず室内の空気を計測して「見える化」し、課題の有無を把握することが大切です。
空気のDXサービス「MADO」を活用して課題の発見・改善を行う
みんな電力株式会社では、室内空気の計測、データのクラウド上での管理、結果の分析・通知と課題解決をセットで提案する、「MADO」を提供しています。
「MADO」は、2021年4月より、みんな電力株式会社の空気環境対策事業「みんなエアー」で新しく始まったサービスです。計測センサーを搭載したモニターをオフィスや店舗に設置し、空気中の温度や湿度、二酸化炭素濃度、総揮発性有機化合物(TVOC)濃度、PM2.5濃度などのデータを収集。クラウドにデータを送信し、15分ごとに送信されたデータをモニターに表示します。
計測する二酸化炭素濃度やTVOC濃度がしきい値を超えた場合は、換気など最適なアクションをお知らせするほか、空気清浄機のメンテナンス時期などもお知らせします。
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空気清浄機などの機器を利用する
窓が少ない場合や換気設備が不十分な場合は、窓の開放や換気設備の運転だけでは十分な空気の入れ換えを行えない場合もあります。そんなときは、換気扇やサーキュレーター、空気清浄機などの機器を導入するのがおすすめです。
窓のない個室の空気を入れ換えたい場合、部屋のドアを開けた上でキッチンの換気扇を回したり、サーキュレーターを使って排気口への風の流れを作ったりすると、空気が入れ換わりやすくなります。
なお、空気中の菌やウイルスを減少させるのに効果的な機器は、ほかにも下記のような物があります。
・エアロシールド
「エアロシールド」は、浮遊菌・ウイルスの高い減少効果を持つ紫外線「UV-C」を利用した紫外線照射装置です。床上2.1m以上の高所に紫外線の層を作り、自然対流によってそこを通過する空気中の細菌やウイルスを減少させます。
・イオンクラスター
除菌脱臭システムの「イオンクラスター」は、医療用に開発された高濃度イオン発生技術を応用して作られた機器です。大量のイオンを長時間室内の空気中にとどまらせることで、高い浄化作用を発揮します。
・KOROSUKE
「KOROSUKE」は、光によって化学反応を促進する物質「光触媒」と紫外線を使った空気清浄機です。酸化チタンに紫外線を照射した際に起こる酸化分解反応によって、においのほか細菌、ウイルスなどの有害物質を減少させます。コンパクトなので設置しやすく、ランニングコストも抑えられる省エネ設計です。
空気環境を把握することから始めよう
室内の空気環境を快適に保ち、働きやすいオフィスや過ごしやすい空間を作っていくためには、法定の基準をクリアした環境を整えることが大切です。空気の状態を「見える化」し、現状と課題を把握することは、環境整備のための第一歩になります。
株式会社UPDATER ( 旧 みんな電力株式会社 )では、空気環境を可視化し、データの分析・通知・アフターサポートまで行うクラウドサービス「MADO」を提供しています。「MADO」は、オフィスや店舗の空気中に含まれる二酸化炭素やPM2.5、揮発性のガスといった物質を計測し、クラウドに送信。事業者のコンピューターやタブレットなどのデバイスに表示し、その空間の空気がどのような状態なのかを可視化できるため、換気やその他状況に応じた対策を行うことが可能です。