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RSウイルス感染症とは、RSウイルスに感染することで起こる呼吸器の感染症です。
およそ2~8日、大多数は4~6日の潜伏期間を経て発症し、数日間発熱や咳、鼻水などの症状が続いた後、徐々に回復していきます。風邪のような症状のほか、肺炎や気管支炎を引き起こすこともあり、低出生体重児や心臓・肺に基礎疾患のある場合は重症化のリスクが高まります。
感染力が強いのが特徴で、 発症中だけでなく潜伏期間中や、回復後1~3週間は周りの人にうつしてしまう可能性があるため注意が必要です。
RSウイルス感染症は2歳頃まで ほぼすべての子供が1 度はかかる
RSウイルス感染症は、1歳までに半数以上、2歳頃までにほぼすべての子供が一度は感染を経験するといわれています。さらに、繰り返し感染する可能性があるウイルスなので、成長した子供や大人が感染しないわけではありません。初感染の乳幼児は重症化しやすく、大人や再感染の場合は比較的に症状が軽く、風邪と症状の見分けがつきにくいのも特徴のひとつです。そのため、RSウイルスに感染したことに気付かず、大人から乳幼児にうつしてしまうことも少なくありません。
RSウイルス感染症の状況
RSウイルス感染症は、日本ではこれまで秋の始め頃から徐々に流行が拡大し、春先になって収束する傾向にありました。しかし近年では、夏頃から流行して秋にピークを迎えることが多くなっています。
2021年は5月頃から流行が拡大し、7月半ばに患者報告数のピークを迎えました。定点医療機関あたり患者報告数は過去最高を示し、警戒態勢が強まった年でもありました。2022年は患者報告数が減ったものの、9月をピークに6月~10月までと長期間流行が続きました。また、2023年は再び5月頃から流行がはじまり、7月をピークに、9月ごろまで流行しました。
参考:RSウイルス感染症の流行状況 | 東京都感染症情報センター
子供がRSウイルス感染症にかかった場合の対処法
RSウイルス感染症の多くは風邪のような症状ですが、乳幼児が重症化して細気管支炎や肺炎の症状が出るのは全体の30~40%、中でも入院が必要となるのは全体の1~3%程と、重症化の可能性もゼロではありません。
続いては、もしもの時に知っておきたい、医療機関を受診するタイミングや検査方法のほか、子供がRSウイルス感染症になった場合のホームケアについてご紹介します。
受診のタイミング
咳や熱、鼻水といった症状は、RSウイルス感染症でなくても出るものなので、初期段階でRSウイルス感染症なのかそうでないのかを見分けるのは困難です。
しかし、早い段階で医療機関を受診すれば、重症化を防げる可能性は高まります。次のような症状があれば、できる限り早めにかかりつけ医に相談し、身近にRSウイルスの流行がある場合は、その旨を伝えましょう。
<RSウイルス感染症チェックポイント>
・熱が3、4日続く
・呼吸が苦しそう、肩や全身を使って呼吸している
・呼吸が速い(目安は新生児で1分間に60回以上、乳児で40回以上)
・顔色が悪い
・嘔吐がある
・水分摂取ができない
・寝ない、眠れない
・機嫌が悪く、泣き叫ぶ
RSウイルス感染症の検査方法
診療の結果、RSウイルス感染症の疑いがあると判断された場合、RSウイルス感染症かどうかを判別する検査が行われます。この検査は、鼻に綿棒を挿入して鼻の中の組織を採取し、検査キットで確認するもので、結果は10分程でわかります。
RSウイルスの検査は、基本的に実費負担です。しかし、下記の条件に1つでもあてはまり、RSウイルス感染が疑われる場合は保険が適用されます。
・入院中
・1歳未満
・パリビズマブ製剤(シナジス)を使用している乳幼児
1歳以上のお子さんに関しては重症化のリスクは低く、特別の治療法もないことから、治療方針を決定する上で、RSウイルス迅速検査で感染を特定する必要性はほとんどありません。
お子さんの病態を冷静に把握し、かかりつけ医へ相談しましょう。
治療方法とホームケアのポイント
RSウイルス感染症に治療薬はないため、対症療法が基本的な治療方法です。症状によっては医師から気管支拡張剤などが処方される場合もあります。しっかり服用して体を休め、安静にしながら回復を待ちましょう。
入院の必要はなく、自宅でケアをする場合のポイントは下記のとおりです。
・処方された薬はしっかり服用する
RSウイルス感染症の症状をやわらげるためのものなので、処方された薬は正しく服用しましょう。
・こまめに水分を補給する
発熱すると汗をかきやすいため、脱水状態にならないようにこまめに水分補給を行います。
・喉を乾燥させない
喉が乾燥すると咳が出やすくなります。加湿器などを使って空気の乾燥を防ぎ、部屋の湿度を保つようにします。特に冬場は注意しましょう。
・安静にする
横になって体を休めることが大切です。ただし、横になることで咳が出て苦しい場合は、クッションや丸めた毛布を置き、もたれかかるようにすると楽になります。
なお、RSウイルス感染症は、学校保健安全法で登校禁止期間が決まっているインフルエンザとは異なり、登園や登校見合わせ、および出席再開などに明確な基準はありません。しかし、地域や園によっては、登園(登校)許可証が必要な場合もあります。基本的には、かかりつけ医から「大丈夫」とお墨つきが出れば、出席は可能です。
RSウイルス感染症の予防方法は?
RSウイルス感染症は、主に「飛沫感染」と「接触感染」の2つの方法で感染します。
飛沫感染を防ぐには、日常的に子供と接する機会の多い大人の場合、咳や発熱など症状の疑いがあるときに子供との接触を避けたり、マスクを装着したりすることが有効です。
一方、接触感染を防ぐには、こまめな手洗いと手指の消毒、子供がさわる可能性の高いおもちゃやドアノブなどのアルコール消毒が役立ちます。
基本的な感染症対策でRSウイルス感染症から子供を守ろう
RSウイルス感染症は、2歳頃までにほぼすべての子供がかかるともいわれる病気です。避けて通ることは難しい感染症ですが、早い段階で受診すれば重症化の可能性は低くなるので、いつもの風邪や発熱と違う症状が見られたときは、早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。
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