幼い子供は、大人に比べて病気に対する抵抗力が弱いため、さまざまな感染症にかかります。
しかし、時には重篤な症状が出ることもあるので、できる限り早期に適切な対処をすることや、日頃からの感染症の予防が大切です。
ここでは、子供の感染症の主要な病原体のひとつであるロタウイルスについて、感染した場合の症状や治療法と予防法を解説します。
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ロタウイルスとは?
ロタウイルスは、乳幼児に多い急性重症胃腸炎の主な原因となっている病原体です。感染力は非常に強く、衛生環境の整った国でも5歳までにほぼ100%の子供が感染するといわれています。
日本でのロタウイルス胃腸炎による年間の患者数は約80万人で、そのうち入院者数は7万~8万人との推計があり、5歳までの急性重症胃腸炎での入院患者のうち、40~50%はロタウイルスが原因だといわれています。
ロタウイルスの種類
ロタウイルスはA~G群まで7種類に分類されていますが、流行するのはほとんどがA群です。ただ、少ないながらC群の流行もあります。
ロタウイルスの特徴
ロタウイルスは、直径約100nm(ナノメートル:1mの10億分の1)の大きさです。感染者の便に含まれるウイルス量が多いことで知られ、感染者の下痢1g中に1,000億~1兆個、ノロウイルスと比較して約100万倍のウイルスが含まれているといわれています。
アルコール消毒剤や高温に対する抵抗力があり、便を処理した後に十分手を洗っても、手や爪にはまだ数億個のウイルスが残っていることもあるのです。感染力は非常に高く、主な感染経路は経口感染で、10~100個くらいのウイルスが口から入ることで感染が起こります。
なお一度の感染では不完全な免疫しか獲得できず、何度か感染することはありますが、通常、2度目以降の感染は重症化することはないとされています。
ロタウイルスによる急性重症胃腸炎の症状と流行期
ロタウイルスに感染すると、2~4日の潜伏期間を経て、激しい下痢や嘔吐、39℃以上の発熱、腹痛といった症状が出ます。水のような大量の下痢が出たり、便の色が白色になったりするのが特徴です。重い脱水症状が数日続くこともあります。
時間の経過と共に自然に回復するケースが多いですが、脱水症状がひどいと、点滴や入院が必要になる場合も。また、まれにけいれんや肝機能障害、急性腎不全、脳症、心筋炎などの合併症を起こすこともあるので注意が必要です。
例年、日本でのロタウイルスの流行のピークは2~5月頃で、ノロウイルスより少し遅れて現れる傾向があります。
ロタウイルスに感染したらどうする?
下痢や嘔吐、腹痛、発熱といった胃腸炎の症状が現れた場合、ロタウイルスが原因かどうかは、多くの場合は便の色や水のような下痢といった、特徴的な症状から診断が可能です。症状がひどい場合や、吐き気が強くて水分が取れない場合などは、迷わず病院を受診しましょう。
ここでは、ロタウイルスに感染した場合の治療法や注意点などを紹介します。
治療薬はないので安静が第一
ロタウイルスには、残念ながら治療薬はありません。脱水を防ぐための水分補給と体力の減少を防ぐための栄養補給をしながら、体を休めて回復を待つ対症療法が基本です。下痢止めの使用はウイルスの排出を遅らせ、症状を長引かせてしまうため、使用しないことが望ましいとされています。
水分補給は、症状が落ち着いたときに少しずつ行うのが基本です。嘔吐がひどい場合は、吐いたものが気管をふさいでいないかも注意します。
脱水症状がひどく、自宅での安静が難しい場合は、点滴や入院が必要となる場合もあります。
療養中は感染を広げないように注意する
子供がロタウイルスに感染した場合、家族内などで感染を広げないために、オムツは適切に処理し、手洗いを徹底することが大切です。
オムツの交換時は使い捨てのゴム手袋を使い、オムツを捨てる際はポリ袋などに入れて密封します。手を洗う際は指輪や時計は外し、石鹸で30秒以上もみ洗いしましょう。子供の便や吐しゃ物で服が汚れた場合は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)でつけ置き消毒した後、ほかの衣類とは別に洗濯します。
ロタウイルスはアルコールに強いため、必ず次亜塩素酸ナトリウムを用意しておくことが大切です。
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ロタウイルスの感染予防にはワクチン接種という方法もある
ロタウイルスは非常に感染力が強いので、感染を完全に予防することは難しい感染症です。そのため、感染しても症状を重症化させない方法としては、任意で受けられるロタウイルスのワクチン接種があります。
ワクチンには、1種類のウイルスが入っている1価の「ロタリックス」と、5種類のウイルスが入っている5価の「ロタテック」があります。共に乳幼児が対象で、接種回数はロタリックスが2回、ロタテックは3回です。接種期間としては、共に生後6週~14週6日までに初回接種を済ませることが推奨されており、ロタリックスは生後24週まで、ロタテックは生後32週までが接種完了期間とされています。
なお、どちらのワクチンを選んでも予防効果に大きな差はなく、接種回数の違いが最も大きいといえます。
ロタウイルスは大人も注意!
ロタウイルスは、大人に感染しても症状は出ないか、出てもごく軽症で済む場合がほとんどです。ただし、自覚症状はなくても、感染していればウイルスは便と共に排出されるため、知らず知らずのうちに子供にうつしてしまうこともあります。
感染を広げないためには、具体的に次のような対策が有効です。
しっかり手を洗う
ロタウイルスの主な感染経路は経口感染なので、手を清潔にしておくことは非常に重要です。食事や料理の前、排便の後は、石鹸を使い30秒以上かけて丁寧にもみ洗いしましょう。
感染者がいる場合はドアノブなどを消毒する
家庭内に感染者がいる場合は、便座やドアノブ、手すりなど、共同でふれる部分は、塩素系漂白剤を水で希釈して、約0.05%に薄めた次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使って消毒するようにします。タオルの共用なども避けましょう。
服が汚れた場合は乾燥に注意
感染している子供の便や吐しゃ物が服についた場合、すぐに洗えない場合は、ビニール袋などに入れておきます。そのままにしておくと乾燥し、中に含まれているウイルスがほこりなどと共に空気中に舞い上がって拡散してしまうからです。
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冬はロタウイルスの感染症対策が大切
冬場は低温・低湿度を好むウイルスが活動しやすい環境になり、感染症が流行する時期です。ロタウイルス感染症は、5歳までにほぼ全員が罹患するといわれていますが、重症化や集団感染を防ぐためにも、しっかりと感染症対策を行うことが大切です。
とはいえ、感染症対策として何をどれぐらいやればいいのかは、わかりにくいものです。家庭内はもちろん、幼稚園や保育園といった、子供たちが集団生活をする場では、感染症対策として「空気の見える化」が重要になります。
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