おうち時間の充実に!家事の時短を叶える「フィルたん」の誕生秘話

この記事は、 8 分で読めます。

おうちの通気口やトイレ・脱衣所の換気扇のホコリとりフィルター、レンジフード用フィルターなどを製造・販売している東洋アルミエコープロダクツ株式会社。空気をきれいにするこれらの製品は、普段の生活に欠かせない物になってきています。

アルミホイルやお弁当グッズなどでも知られる同社ですが、なぜホコリとりフィルターなどの空気環境を改善する製品を扱うようになったのでしょうか。同社のコンシューマービジネスユニット マーケティングチーム担当マネージャーである山岸拓人さんに、ホコリとりフィルターを製品化した経緯や空気環境に対する思いについて伺いました。

 

【みんなエアー】空気が見えたら大変! あなたの居る場所大丈夫?

 

 

マンションの換気システムはまるで掃除機!?課題解決への挑戦

 

 

 

――まずは事業内容について教えてください。

 

山岸:弊社の事業は、大きく分けると2つになります。ひとつは、業務用事業です。アルミや紙などの食品容器を製造・販売しており、主に食品会社様にご利用いただいています。

もうひとつはコンシューマー事業です。アルミホイルやお弁当グッズ、キッチンの汚れ防止商品、空調機器用のフィルターなどがあり、一般の生活者の方にご利用いただいています。これらは、スーパーやホームセンター、ドラッグスアなどで購入いただけます。

 

――フィルター商品は、かわいらしいキャラクターの「フィルたん」がデザインされていますが、いつからフィルター関連の事業を始められたのでしょうか?

 

山岸:2011年くらいからですね。関連商品はあったのですが、本格的に取り組み始めたのは、屋外用のホコリとりフィルターの開発からです。そのきっかけは、2003年の建築基準法改正です。この改正で、換気設備の設置が義務づけられるようになりました。特にマンションは気密性が高く、24時間換気システムが設置されるようになったのです。

 

――マンションには必ず通気口が取りつけられていますね。

 

山岸:気密性の高いマンションに24時間換気システムを取りつけた結果、何が起きたかというと、マンションの各部屋がまるで掃除機のように外気を強制的に吸い続けるようになってしまったんです。もちろん、通気口にはフィルターが設置されていますが、そのフィルターだけでは取り除けない花粉やPM2.5などは、マンション内に24時間吸い込まれ続けています。

 

――特に都市部は、必ずしも外の空気がきれいとはいえないですし、気になりますね。

 

山岸:マンションが街の掃除機となって空気を吸い続け、私たちはその中で生活しているのです。しかし、それでも換気は必要ですから、通気口をふさいではいけません。でも、汚い空気はシャットアウトしたい。そんな課題を弊社のフィルターで解決できないかと、屋外側の通気口にホコリとりフィルターを貼ってみたんです。すると、すぐに汚れて真っ黒になってしまいました。

 

【みんなエアー】 仕事も生産性もアガル!空気のきれいな安心できる職場で

 

 

 

 

――そんな空気環境の中で生活していたとは驚きです。

 

山岸:その結果を見て、この問題を私たちの技術で解決できないだろうかと考え、主力商品であったレンジフード用フィルターの独自技術を活用し、商品化することができました。しかし、事業を始めた当初は苦戦しました。なかなか商品の良さが伝わらず、新規で購入されるお客様が増えなかったのです。

そこで、2016年にフィルたんという親しみやすいキャラクターで、弊社のフィルター製品を知ってもらおうという展開を始めました。私は、フィルたんのブランドマネージャーも務めているんですが、一つひとつのフィルターを単品でアピールするのではなく、フィルたんというシリーズで覚えていただこうと考えたのです。

 

――フィルター製品について、こだわりや他社との差別化ポイントはありますか?

 

山岸:こだわっていることは2つあります。ひとつは、取りつけが簡単であること。レンジフードもそうですが通気口やトイレ・脱衣所の換気扇も高い位置にあることが多いので、フィルターの取りつけは大変です。なので、取りつけやすさについては深く追求し続けています。例えば、フィルターに粘着性を持たせることによって、シールのように貼ることができ、誰でも簡単に使える「パッと貼るだけフィルター」などが代表的な商品です。

 

――確かに、通気口は高いところにあるので掃除が大変です。シールのように貼るだけで、掃除も貼り替えるだけであれば掃除が楽になりますね。

 

山岸:もうひとつのこだわりは、安心・安全に使えるということです。安心・安全というのは、外から入ってくる空気の汚れを防ぎながらも、しっかり換気できる仕様にするということですね。とにかく汚れをシャットアウトしたいというのであれば、フィルターをもっと厚くして密度を高めればいいのです。

しかし、フィルターを厚くして密度を高めすぎると、空気が通らなくなってしまいます。新鮮な空気を十分に取り込みつつ、できるだけ汚れをキャッチするという技術が必要なんですよ。

空気環境に関心を持つ人が増えてきている

 

 

――コロナ禍で一般消費者の空気環境への意識は高まってきたと思いますが、コロナ禍前と比べて御社のビジネスに変化はありましたか?

 

山岸:自宅にいる時間が増えて掃除をする機会が増えたのか、特に掃除に関連する商品はよく売れていますね。

こうした需要の高まりは、一定期間経つとある程度落ち着いてくるものなのですが、フィルたんシリーズは現在も売上が落ちていません。これは、市場そのものが拡大しているからだと考えています。

 

――新たにフィルたんシリーズを買うお客様が増えているということでしょうか。

 

山岸:そうですね。新規のお客様が増えているということは、データにも出ています。また弊社では、約30年前から、商品についている「おたのしみマーク」をはがきに貼って送ると、抽選で賞品がもらえる「おたのしみキャンペーン」を実施しています。

毎月数多くご応募いただくのですが、新規のお客様が明らかに増加しているのです。コロナ禍をきっかけに空気環境に関心を持ち、自宅で快適に過ごしたいというニーズが増しているということが、応募はがきのコメントからも読み取れます。

 

――自宅で過ごす時間が長くなると、より良い空気環境にしていきたいと思いますからね。

 

山岸:フィルたんシリーズの製品を使って、自宅の空気環境をより良い状態にしていただければと思っています。本来、自宅はリラックスして快適に過ごせる場所のはずです。それなのに、街の汚れた空気を掃除機のように吸い込んでしまっては困りますよね。そして、私たちは掃除を楽にしたいという思いもあります。

フィルたんシリーズの製品を使うことで掃除の時間を短くし、そこでできた時間を家族との団らんや趣味などに使って、有意義に過ごしてほしいと思っているのです。

 

【みんなエアー】 朗報!『あなたと職場』、感染症からまもる秘策教えます!

 

 

フィルターを使って空気を見える化

 

――世の中の空気環境に対する意識は高まってきていると思いますが、課題だと思っていることはありますか?

 

山岸:空気環境に対する課題はまだたくさんあると思っています。一番の課題は、汚れた空気が「目に見えない」というところです。世の中の空気環境に対する意識は高まってきていますが、汚れた空気は目に見えないので、空気環境を意識していない方もまだまだ多いと思います。

 

 

 

そこで、弊社ではフィルターで「汚れた空気を見える化」しています。例えば、フィルたんシリーズの「パッと貼るだけフィルター」は、粘着加工部分にほこりがつかないので、汚れてくると、粘着性のある部分が浮き上がって見えるようになります。その部分をキャラクターのフィルたんの絵柄にしてあり、フィルたんが浮かび上がってきたらフィルターの交換時期だということがわかるようにしているのです。

 

――みんなエアーでも空気の見える化に取り組んでいますが、それとはまた違った方法で空気の見える化を行っているんですね。

 

山岸:見えなかった空気の汚れがフィルたんを通して見えるようになると、驚かれる方も多いと思いますし、意識が変わられるかもしれません。皆様の気づきのきっかけになれたらうれしいですね。

弊社は、2019年11月に50周年を迎えました。「気がつけば暮らしのそばに」という企業理念通り、これからも徹底した顧客志向で皆様の暮らしに寄り添いたいと考えています。

しかし、弊社だけでできることは限られています。今後は、さまざまな企業様と協力していきたいですね。自宅などの身近な空気環境を改善することは大切ですが、究極的には世の中全体の空気環境を改善していかなければなりません。

例えば、先ほど都会のマンションは「掃除機」のようだと言いましたが、裏を返すと、フィルたんのフィルターを使えば、街の汚れた空気を吸い込んで、都市の空気をキレイにできるのでは…などと想像を膨らませてみることもあります。

そんな突拍子もないことを考えながら、一緒にアイディアを出し合えるパートナー企業様をさがしております。多くの企業様と協力することで、世の中の空気環境改善に貢献できればと考えています。

 

 

<プロフィール>

山岸拓人

 

東洋アルミエコープロダクツ株式会社

コンシューマービジネスユニット マーケティングチーム担当マネージャー

フィルたんのブランドマネージャーも兼務し、フィルたんシリーズ販売のトータルプロデュースを行っている。

関連記事

人気記事ランキング

この記事をシェアする

お役立ち記事

運営者情報