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ノロウイルスは、毎年冬に流行し、子供から高齢者まで多くの人が感染する感染症です。ほとんどが軽症で済みますが、体力が落ちている人や子供、高齢者は重症化する場合もあります。また、病院や施設、学校で集団感染が発生することもあるので、もし感染してしまったら、感染を広げないために適切に対処することが大切です。
ここでは、ノロウイルスに感染した場合の正しい対処法と、感染予防対策について解説します。
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ノロウイルスの概要
ノロウイルスは、人の小腸の粘膜で増殖するウイルスです。直径は約30nm(1nm=0.000001mm)とウイルスの中でも小さく、ほかのウイルスと同様に低温、低湿度の環境下で活性化します。感染力は非常に強く、10~100個と少量のウイルスが体内に入るだけで感染につながります。
ノロウイルスの感染経路は基本的に、汚染された食べ物や飲み物の摂取や、ウイルスが付着した指や器物が口にふれたことなどから体内にウイルスが侵入する「経口感染」です。さらに、体内にどのようにして入るかによって、主な感染経路は、「食品媒介感染」「接触感染」「飛沫感染・塵埃感染」の3つに分けられます。
食品媒介感染は、ウイルスに汚染された食べ物を生または十分に加熱しない状態で食べたり、汚染された飲み物を飲んだりすることで起こるものです。
接触感染は、手指に残ったノロウイルスが、手で口をさわったことなどで体内に入ってしまうことで、飛沫感染・塵埃感染は、ノロウイルス患者の下痢便や嘔吐物からノロウイルスを含んだ小さな飛沫が飛び散り、その飛沫が口から入ってしまうことを指します。
ノロウイルス食中毒・ノロウイルス感染症は一年を通じて見られますが、約7割が11~2月に発生しています。感染した場合、約24~48時間の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱といった症状が出てきます。症状は1~2日で収まり、後遺症もありませんが、体力が落ちている人や子供、高齢者は重症化することもあるのです。
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ノロウイルスに感染したらどうする?
ノロウイルスには有効な抗ウイルス薬がないため、治療は対症療法になります。症状に応じて整腸剤や解熱剤などを服用しながら、水分と栄養の補給を適切に行い、自宅療養するのが基本です。しかし、嘔吐や下痢が続くなどで脱水症状がひどい場合は、入院しての点滴治療が必要になることもあります。
なお、下痢の症状がひどい場合に医療機関で下痢止めを処方されることはありますが、下痢を止めることでウイルスが体内で増え続け、症状が悪化する場合もありますので、医師以外の判断で下痢止めを服用することはやめましょう。
感染を広げないために接触感染に注意する
ノロウイルス感染者の便や嘔吐物にはノロウイルスがたくさん含まれており、そこから2次感染が起こりやすいため、身近な人への感染拡大を防止するためには、感染者の便や嘔吐物を適切に処理することが大切です。
感染者自身の症状が収まっても、3~4週間は便の中にウイルスが排出されている可能性があるので注意が必要です。
嘔吐してしまった場合の対処法を知っておく
ノロウイルス感染者による嘔吐物は、扱いを間違えると処理者が感染してしまうので、処理の際は下記のポイントを押さえておくことが重要です。
・適切に防護する
床に飛び散った嘔吐物を処理する際は、使い捨てのガウンやエプロン、手袋を用意し、飛沫やウイルスが乾燥して空気中に舞い上がる粉塵の吸い込み予防に、マスクも装着します。その上で、まずはペーパータオルなどで嘔吐物を静かに拭き取りましょう。使用済みのペーパータオルはポリ袋に密閉し、できれば消毒液を入れて廃棄します。
・自分自身の予防を心掛ける
嘔吐物を処理する際は、手袋をしていても、着脱時などに手にノロウイルスがついてしまうことは十分ありえます。そのまま、何気なく口をさわったりすると接触感染につながってしまいますので、嘔吐物を処理した後は必ず手洗いをしましょう。石鹸を使って指の股や指と爪のあいだまで丁寧に洗った後、流水で洗い流し、ペーパータオルで拭くようにします。
・接触面を消毒する
嘔吐物との接触面など、嘔吐物がふれた場所は必ず消毒します。消毒液(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)は、次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤を薄めて作ることができます。作り方は次のとおりです。
<消毒液の作り方>
- 500mlペットボトルを用意する
- ペットボトルのキャップ2杯分(約10ml)の家庭用漂白剤を入れ、ボトルがいっぱいになるまで水を入れる
※上記は嘔吐物が直接ふれた場所やものを消毒する際に使う、高濃度の消毒液の作り方です。感染者がふれたドアノブや手すりなどを消毒するのに使う場合は、家庭用漂白剤の分量はペットボトルのキャップ0.5杯弱(約2ml)に対して水500mlの濃度にしてください。なお、塩素系漂白剤の濃度はメーカーによって異なります。
消毒液を使って浸すように床を拭き取った後、水拭きをします。ここでしっかり拭き取ることで、嘔吐物が乾いてノロウイルスを含んだ粉塵となって空気中に舞い上がり、空気感染につながるのを防ぐことができます。処理作業後は、使用したガウンやエプロン、手袋は、忘れずに処分しましょう。
なお、衣服や絨毯の上に嘔吐物が飛び散った場合は、家庭用漂白剤を使った消毒液を使って消毒すると、その部分だけ色落ちする可能性もあります。その場合は、次のように高温でウイルスを死活化する方法がおすすめです。
<色落ちの心配がある衣服や絨毯の消毒法>
- 嘔吐物を丁寧に取り除いた後、飛び散らないように気をつけながら水洗いし、ある程度の汚れを落とす
- あて布をして、スチームアイロンを2分以上あてる
ノロウイルスによる食中毒の感染予防対策
ノロウイルス食中毒の感染予防対策には、さまざまな方法があります。有効とされる対策には、下記の4つが挙げられます。
食品はしっかり加熱する
ノロウイルス食中毒の原因となる食べ物としては二枚貝が知られていますが、ほかの魚介類などでも感染した例はあります。ノロウイルスは高温で加熱することで死活化するので、二枚貝などのノロウイルスの汚染が疑われる食品を食べるときには、85~90℃で90秒以上加熱してから食べるのがおすすめです。
こまめな手洗いを行う
調理をする際、手にノロウイルスが付着していると食材が汚染され、食中毒につながります。手についたウイルスを落とすには、手洗いが最も効果的です。調理の前や食事の前、トイレの後、感染者の嘔吐物を片づけた後などは、必ず手を念入りに洗いましょう。指輪や腕時計は外した上で、石鹸を泡立てて指と爪のあいだまで丁寧に洗い、流水で洗い流した後、ペーパータオルで拭くようにします。
調理器具や調理台を殺菌する
調理器具や調理台がノロウイルスに汚染された可能性がある場合は、前述した消毒液や、85℃以上の熱湯で1分以上加熱する方法で殺菌します。
ノロウイルスに感染している可能性がある人は調理をしない
ノロウイルスに感染している可能性がある期間は調理を控えます。症状が収まっても、3~4週間は便の中にノロウイルスを排出している可能性があるので、この期間も注意が必要です。
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感染力の高いノロウイルスの感染を防ぐには、適切な対処と予防がカギとなります。日頃から意識をしておくことで、2次感染を防ぐことにもつながるのです。
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