みんなのウェルビーイング向上を目指すには?より良い組織づくりの具体策

株式会社UPDATER(旧社名 みんな電力株式会社)のエアテック事業「みんなエアー」は、株式会社アックスコンサルティングの「MotifyHR」と共同で、2022年2月8日に「みんなエアー×MotifyHR エンゲージメント向上施策セミナー」を開催しました。

このセミナーでは、株式会社アックスコンサルティングの野地圭太さんと、株式会社UPDATERの山下麻美と石原奈々子が登壇。ウェルビーイングやエンゲージメントなどの向上につながる働き方について、職場環境改善などの具体的な施策や取り組み事例を取り上げました。

 

この記事では、エンゲージメントの定義やエンゲージメント向上のための仕組みのほか、ウェルビーイングと空気環境の関係性、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性など、セミナーで取り上げられたテーマについて紹介します。

 

 

組織のウェルビーイング、エンゲージメントを高めたいHR担当者必見!

 

ウェルビーイングやエンゲージメントなど、昨今では働きやすさや働きがいの両面からより良い組織づくりを進めている企業が増えています。しかし実際には、「具体的な施策につなげられていない」「まだまだ成功にはほど遠い」と、悩まれている企業の人事、HR担当者も多いのではないでしょうか。

 

みんなエアーが人事担当者に「ウェルビーイング(Well-being)」への取り組みに関する実態調査を実施したところ、約7割の企業がウェルビーイングの重要性を実感しながらも、約4割は「自社に合う取り組みがわからない」と考えており、具体策には取り組めていないという実態が明らかになりました。

具体的な施策を行って成功に導くためには、組織の状態を適切に把握し、自社に合った施策を選定することが重要です。また、選定するだけでなく、運用を軌道に乗せて現場レベルでの改善行動につなげられるかどうかもポイントになります。

 

今回のセミナーでは、MotifyHRやみんなエアーのサービス活用を通じた、働きやすさと働きがいの両立の実現を目指す具体的な施策として、より良い組織づくりのためにできることと、職場環境改善などの取り組み事例を取り上げました。

エンゲージメントを3つのベクトルから観測する

 

まずは、株式会社アックスコンサルティングの野地圭太さんから、エンゲージメントの定義について話がありました。

 

エンゲージメントとは、組織に対する「愛着心」や「思い入れ」の意味合いで使われることが多く、「つながり」を意味しています。従業員一人ひとりが企業や組織のビジョンに共感したり、みずから成長に向けて意欲的に取り組んだりするなど、双方の成長に貢献し合うような関係づくりが重要で、そこで築かれる信頼関係こそがエンゲージメントです。

MotifyHRでは、エンゲージメントエンジン理論を提唱しており、「会社」「仕事」「個人」という3つのベクトルからエンゲージメントを観測していくことが大切であると考えています。

 

 

エンゲージメント向上を目指すには、これら3つのベクトルから多角的に、ヒアリングやサーベイ(調査)などを行うことが大切です。また、継続的に定点観測して、組織の課題や状態の洗い出し、支援順位を考えて真摯に取り組んでいくことが、ハイパフォーマンスを実現している組織になるための重要な要素です。

 

 

エンゲージメント向上のための仕組みづくり

 

では、エンゲージメント向上にはどのような仕組みが必要なのでしょうか。この点について野地さんは、環境という土台づくりを行った上で、価値観を共有していくことが必要だと述べています。

 

 

エンゲージメントの向上には土台が必要

 

エンゲージメント向上には、まず環境という土台が必要です。例えば、従業員が働きやすい環境を整えられているか、制度の見直しは定期的に行えているかということを見直さなければなりません。働く環境や制度の整備は、エンゲージメント向上のベースとして、企業がまず整えるべき課題です。

具体的には、働きやすさとクリーンなオフィス環境を整えるために、下記のような対応が挙げられます。

 

<働きやすさとクリーンなオフィス環境を整えるための対応>

・フリーアドレスの採用

・会議スペースの確保

・コロナ禍や冬場の感染症対策、空気環境対策

・建物の老朽化などへの対応

 

また、人事評価制度や働き方の変化に応じた対応は、下記のとおりです。

 

<人事評価制度や働き方の変化に応じた対応>

・評価制度の可視化や満足度の確認

・従業員が求めているものが何かを把握した施策の選定

 

 

1on1ミーティングで定期的な価値観の共有

 

エンゲージメント向上のためは、環境づくりを行ったら、次に価値観の共有というステップが必要です。その共有方法としては、1on1ミーティングをおすすめしています。

1on1ミーティングでは、どんな人なのか、なぜここで働いているのか、目標は何かといったことなど、パーソナルな内容を含めて定期的なコミュニケーションをとります。それによって、組織と個人の方向性をすり合わせ、その上で、目標の進捗確認やパフォーマンスを上げるためのサポートをしっかり行うことが重要です。

 

これらの積み重ねの上に、組織や企業のミッションやビジョンへのより深い理解や共感を得ることで、エンゲージメントの向上はもちろん、組織の強化、企業の成長、みんなのウェルビーイングの実現が目指せるでしょう。

 

 

実態調査や実証から見るウェルビーイングと空気環境の関係性

 

続いては、株式会社UPDATERの山下麻美が、ウェルビーイングと空気環境の関係性について取り上げました。株式会社UPDATERのみんなエアーは、「みんなの力で世界の空気をアップデート」をテーマに、「空気」を切り口として、さまざまな社会課題を解決する事業です。

現在は、働きやすい環境を全国に100万スポット創出することを目標に、職場のストレス計測や空気質モニタリングによる「人」と「環境」に合わせた空気づくりのサポートや、空気とWell-beingの専門メディア「AIR Lab.JOURNAL」を通して情報発信をしています。

 

AIR Lab.JOURNALでは、空気にまつわるさまざまな疑問の解決や、エビデンスにもとづく情報のほか、企業や店舗での取り組み事例、みんなエアーが行った実態調査なども公開しています。

このセミナーでは、AIR Lab.JOURNALでどのような記事を掲載しているのか紹介しました。

 

 

さまざまな業種にアンケートしたコロナ対策実態調査

 

AIR Lab.JOURNALでは、「コロナ対策を実態調査!!」と題して、コールセンターや幼保施設、飲食店など、複数の業種約600名に対して行った調査の結果をもとにした記事を掲載しています。

 

この調査によって、どの業種でも、手指消毒用のアルコール設置や従業員のフェイスシールド、マスク着用、フィジカルディスタンス(ソーシャルディスタンス)確保のための施策など、基本的な感染症の対策を実施していることがわかりました。

一方で、従業員の約87%が「勤務中の感染リスクに不安」を抱えており、さらに約78%が、「空気の見える化」(空気質の数値化)によって安心できる空気環境づくりに期待するという声が明らかになっています。

 

「データで見る」カテゴリの記事はこちら

データで見る 記事一覧 | 空気とWell-beingのAIR Lab.JOURNAL

 

 

ウェルビーイングのリーディングカンパニーに聞く空気環境対策

 

みんなエアーでは、エッセンシャルワーカーであるコールセンターの方々にとって、より良い職場環境づくりの拡大・推進を目指し、企業インタビューとさらなる実証実験を行いました。

企業インタビューでは、ウェルビーイングのリーディングカンパニーである株式会社エポスカードのコールセンターでの取り組みについてお話を聞き、その内容をAIR Lab.JOURNALに掲載しています。

 

株式会社エポスカードのコールセンターでは、空気環境対策として「エアロシールド」という紫外線照射装置を導入しており、社員にとってその存在は心強いものだったといいます。エアロシールド設置後のアンケート結果でも、回答者の6割はエアロシールドの効果が出ていると回答していました。

また、株式会社エポスカードでは、空気環境対策を含めたウェルビーイングの取り組みとして、カスタマーセンターのビルを改装するプロジェクトが進行しています。働く環境が良くなれば、働く意欲や生産性が高まることも期待でき、これもウェルビーイング推進の取り組みだといえるでしょう。

それによって、会社と社員の関係もより良好になり、さらに、働く環境を整えることができれば、採用にも良い影響が出るのではないかと期待されています。

 

インタビュー記事全文はこちら

ウェルビーイングのリーディングカンパニーに聞く空気環境対策

 

 

コールセンターでのストレス検証の事例

 

AIR Lab.JOURNALでは、空気環境の可視化が心理的安全性に与える影響についてパーソル プロセス&テクノロジー株式会社のコールセンターで実証実験を行い、その結果についても記事にしています。

 

実証実験では、ストレス検証のエキスパートである順天堂大学大学院医学研究科研究員の千葉吉史氏監修のもと、採取した唾液のアミラーゼやコルチゾールなどの数値について機器を用いて測定しました。

この測定では、急速なストレス・緊張の変化(短期的ストレス値)および長期的なストレス値の状態が把握でき、空気環境の可視化が心理的安全性に与える影響について確認することができます。

 

 

この実証実験の結果として、下記のような点が確認されました。

 

 

 

<空気環境の可視化を行った実証実験の結果>

・アミラーゼ値による計測で、若干のストレス因子低減が確認された

・コルチゾール値においては明確な数値低減があり、ストレス状態が改善されている

・免疫グロブリンAの数値が減少し、より安定値となった傾向があり、免疫状態が若干の改善を見せている

 

これらの結果から、空気環境の改善および「空気の見える化」によって、職場環境の安心感を形成する可能性が示唆されました。

 

実証実験の結果記事全文はこちら

空気の見える化が職場環境の安心感「ウェルビーイング」を醸成

 

 

職場におけるメンタルヘルス対策の重要性

 

続いて山下より、職場におけるメンタルヘルス対策の重要性についての発表を行いました。

 

メンタルヘルス対策の取り組みが企業の業績向上につながるという点については、すでにさまざまな先行研究が行われています。研究では、メンタルヘルス休職者比率の上昇が中期的に売上高利益率を低下させる可能性が示されたものもあり、メンタルヘルス対策が企業経営にとって無視できないものとなっているといえます。

具体的に、メンタルヘルス不調などの理由で休職者が出た場合の損失額を見ていきましょう。

 

内閣府男女共同参画局が発表した「企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット」(2008年4月)では、従業員数100~999人規模の企業で、従業員がメンタルヘルス上の問題などの理由によって6ヵ月休職して復職した場合、休職者1人あたり422万円の損失が出るとしています。この損失には、休職中の6ヵ月と休職前後の3ヵ月に、同僚が業務を補う費用などが挙げられています。

 

出典:内閣府男女共同参画局「企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット」(2008年4月)

 

売上の損失ということだけではなく、働く環境を整えて従業員の健康を守ることは、企業にとって基本的な取り組みといえるでしょう。

 

みんなエアーでは、ウェルビーイングやSDGsに具体的に取り組む第一歩として最適な、置くだけで「安心な職場環境」を可視化できるソリューション「MADO」を提供しています。より良い職場環境や仕事の生産性向上も目指した、企業成長に貢献するご提案が可能です。

 

 

UPDATERでも活用しているMotifyのエンゲージメントサーベイ

 

株式会社UPDATERでは、MotifyHRの「エンゲージメントサーベイ」のデータ分析を活用しています。エンゲージメントサーベイとは、従業員の働きがいやエンゲージメントを社内、部署、個人単位で可視化したものです。これによって、退職リスクの高い従業員を早期発見したり、退職防止につなげたりすることが可能です。

 

株式会社UPDATERでは、この結果をもとにテーマを決めて、月に1度、各チームの部長に共有する時間を取っています。加えて、従業員の満足度などを調査する「パルスサーベイ」を定点観測としても活用しており、昨年との数値比較や、項目ごとの差などに注目し、各部長との共有や個別のヒアリングなどに活用しています。

パルスサーベイで評価する項目は、下記のとおりです。

 

■パルスサーベイでの評価項目(8項目5段階評価)

・心理的安全性

・会社への誇り

・社内環境の透明性

・職場環境・福利厚生

・本人の成長意欲

・キャリアアップできる環境

・新しい発想が生まれやすい環境

・仕事への意欲

 

 

株式会社UPDATERのデータ分析からわかること

 

株式会社UPDATERの実際のデータを分析してみると、全体数値として「キャリアアップできる環境」と「本人の成長意欲」という項目のポイントに少し開きのある結果が出た月がありました。そこで、人事が新入社員やそのほかのメンバーにヒアリングを行ったところ、若手や新入社員に伝えたいことが伝わっていなかったという実態が判明しました。

 

これは、株式会社UPDATERの原則である「おもしろくて、儲かる」にもとづいた、自由なキャリアアップや人事制度の評価基準が、社員の増加に伴って伝わりづらくなっていたことが原因だと考えられます。そのため、一人ひとりにヒアリングしながらフォローしていった結果、新しいチャレンジに進むきっかけとなったり、「キャリアアップできる環境」のポイントも改善されたりするなどの成果につながりました。

 

また、MotifyHRを活用する上で、どんなことでも自由にコメントを書いてもらうようにしています。社内環境改善の要望などで共有できるような事項は、全社のミーティングでフィードバックを行うようにしたり、人事として個別にサポートできることを丁寧に対応したりするようにしています。

 

 

オンボーディングのフォローにも活用

 

株式会社UPDATERでは、新入社員には人事での入社フォロー面談に加えて、MotifyHRの「オンボーディング」も導入しています。オンボーディングは、タスクやコンテンツを適切なタイミングで新入社員に届けることができ、管理者は状況を数値化して一元管理できる機能です。これによって、新入社員本人と上長への質問項目の回答にギャップが出ていないかなどのフォローにも活用できています。

現在は、リモートで仕事をする従業員も多くなっていますが、オフィスは交流の場です。空気環境も含めて安心して働ける職場環境を整えながら、人事側でのさまざまな施策と併せて、早期に戦力となってもらうことが企業成長にもつながると考えています。

 

 

ウェルビーイング経営で人も会社も幸せになる

 

最近では、ウェルビーイング経営に取り組んでいる企業は着実に増えています。経営のビジョン、チームや上司との関係性、人事評価、オフィス環境など、あらゆるものの透明性(可視化)が従業員の心理的安全性確保につながるでしょう。

従業員が身体的、精神的、社会的に良好な状態になれば、快適な働き方ができるようになり、社内コミュニケーションの活発化や仕事と生活の調和(ワークライフバランス)も実現します。

ウェルビーイングは、労働者の利便性を図るためだけの考え方ではなく、実際には組織力強化や生産性向上に大きな効果をもたらすフレームワークでもあるのです。今後、ウェルビーイングが、職場の環境づくりのスタンダードになっていくでしょう。

 

株式会社UPDATER(旧社名 みんな電力株式会社)のエアテック事業「みんなエアー」では、ウェルビーイングやSDGsに具体的に取り組む第一歩として最適な「置くだけで‟安心な職場環境“」を可視化できるソリューション「MADO」を提供しています。

 

「空気の見える化」による適切な空気質の管理は、健康維持のみならず、各人のパフォーマンス向上、集中力、意思決定力にも有効であり、企業や従業員のウェルビーイングにもつながっていく有益な要素となります。

ウェルビーイング経営のひとつの手段として、ぜひご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

置くだけでウェルビーイングがはじまる 「MADO(マド)」

 

<登壇者プロフィール>

野地圭太

株式会社アックスコンサルティング   HRコンサルティング事業部 ソリューションセールス

約400社に導入されるMotifyHRのソリューションセールスを担当。定期的に開催されるウェビナーにも登壇し、テレワークやコミュニケーション、エンゲージメントなどについての講演を精力的に実施している。2020年4月からは新入社員の育成担当として、社内のオンボーディング活動にも尽力している。

 

 

山下麻美

株式会社UPDATER 新事業推進部 チームリーダー

立命館大学卒業後、人材系ベンチャー企業でのインターンを経験、同社へ新卒で入社。その後、起業を経て、2019年にみんな電力株式会社(現社名 株式会社UPDATER)へ転職し、法人営業部でグローバル企業から個人商店まで幅広く再生可能エネルギー導入の支援を行う。2021年11月より新事業推進部へ異動し、営業全般を管轄。

 

 

石原奈々子

株式会社UPDATER 社長室

慶應義塾大学卒業後、ヤマハ発動機株式会社に入社し、新卒採用を担当。その後、ソニー株式会社に転職し、事業部人事担当および子会社の新卒採用も行う。2019年にみんな電力株式会社(現社名 株式会社UPDATER)に入社。勤怠システム導入・運用、新卒採用・中途採用、研修など、幅広く担当している。

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