【保存版】 保育園での感染症対策を専門家が解説!② ~エアロゾル感染を防ぐ具体的な対策方法とは~

保育園や認定こども園、幼稚園などの保育施設では、子どもたちの免疫(病気に対する抵抗力)が未発達であることから感染症が流行りやすいといえます。その上、マスクの着用や子ども同士一定の距離を保つことの徹底も難しいため、対策に苦慮する保育関係者の方は多いのではないでしょうか。

 

実際に、東京都内の保育園を対象に電気通信大学が行った保育施設等でのクラスター発生のリスクを強く感じるという声が8割以上、一方でCO2センサーなどのツールは1割未満の普及であることが分かっています。

 

電気通信大学の石垣陽・特任教授の動画コンテンツをもとに、保育施設での感染症対策を解説した前編では、エアロゾル感染の特徴と感染リスクのセルフチェック項目についてまとめています。後編のこの記事では、エアロゾル感染の具体的な対策としての換気と空気清浄機の併用について解説します。

 

前半記事はこちら: https://minnaair.com/blog/5201/

【保存版】 保育園での感染症対策を専門家が解説!①

~エアロゾル感染の特徴と感染リスクのセルフチェック項目とは~

 

 

感染症対策における換気の必要性とその方法

 

子どもたちによる感染予防の徹底が難しい保育施設では、自然換気・機械換気・空気清浄の3つを複数組み合わせた多重防護の実現が重要とされています。令和4年7月に出された厚生労働省からの保育所における感染対策の徹底についての通達でも、エアロゾル感染と換気に関しての注意事項が多く含まれていました。

効果的な換気のポイントとして、必要な換気量の確保と空気の流れの配慮が必要であり、特に保育園などでの留意点は、「施設全体の換気能力を高めるとともに、幼児が集合する場所、大型の遊具内や風通しの悪い場所など の密集時の二酸化炭素濃度を測定し、換気の改善を実施。」と明確に記載があります。

新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策では、季節を問わず1時間に2回以上の窓全開による換気が推奨されていますが、必要な換気量を満たしているかを客観的に把握する手段として、CO2モニターによる二酸化炭素濃度測定を行い、空気環境を可視化するのもよいでしょう。

重ねて、ウイルス対策の強化には、空気清浄機の活用が有効です。特に、窓がない場所や常時適切な換気が出来ないような場合は、サーキュレーターや空気清浄機を用いた対策を検討しましょう。

 

 

換気方法の種類とおすすめの対策

 

1.自然換気

自然換気とは、室内外の温度差や風圧により室内の空気が自然に入れ替わることです。

CO2センサーの使用により換気改善が必要だと判明した場合、すぐに対応ができ、最も効果が早く現れるのは自然換気です。感染症対策としては、1時間に2回以上の窓全開による換気が推奨されています。

(自然換気の注意点)

  • 換気の際、窓は対角方向など複数の方角で2か所あけるとよい。
  • 常時、数cmの窓を開けておくだけでも効果的。
  • 換気扇・換気口の近くの窓は開けないほうが良い。ショートサーキットと呼ばれ、新鮮な空気がすぐに排出されてしまうため。

 

2.機械換気

機械換気とは、機械(換気扇やファン)により、強制的に換気を行うことです。

2003年7月以降に建築された施設には、シックハウス対策として機械換気設備の設置が義務付けられており、建物内で発生した汚れた空気を新鮮な外気と入れ替え、室内空気を清潔に保ちます。エアロゾル感染対策を考える場合、自然換気と機械換気の併用が有効です。

(機械換気の注意点)

  • 機械換気があまり認識されておらず、「電気と一緒にスイッチオフにしてしまっていた」「スイッチの場所がわからず使用されていなかった」などの事例があります。2003年7月以降に建築された施設では24時間換気が基本なので、不用意にスイッチを切らないようにしましょう。注意書きのシールなどを貼って、スイッチオンの状態をみんなにわかりやすくするのもよいでしょう。
  • 換気設備のスイッチに普通換気・ロスナイ換気(全熱交換)がある場合は「ロスナイ換気」の方がエアコンの効率が良く省エネ効果が見込めます。
  • リネン類、洋服のホコリ等が出やすい施設では、換気口の閉塞により換気量が落ちているケースがよく見られます。室内外にある換気口を1年以上清掃していない場合は、ほぼ目詰まりをしているので、すぐにでも一斉点検をおすすめします。外から見ると汚れがないように見えても、フィルターの裏側にホコリが詰まっているケースが多いので注意しましょう。

換気効率を上げるために、サーキュレーターや扇風機を使用しているケースも多いでしょう。しかし、保育施設での事例のように室内に一定の気流がつくられた場合、風上に感染症の陽性者がいると、風下側の空間が汚染されるという事態も起こりえます。サーキュレーターや扇風機、エアコンを使用する際は、スイングモード(首振り機能)を設定し、人に直接当たらないようランダムな気流を作ることで、室内空気を攪拌させるように心がけましょう。

 

参照動画はこちら➤保育園の換気対策!【2022保存版】

 

エアロゾル対策にはHEPAフィルター搭載の空気清浄機を

 

自然換気・機械換気を適切に実践することだけでも、エアロゾル感染拡大のリスクは大幅に低減されると考えられますが、より一層の感染症対策のためには、HEPAフィルター搭載の空気清浄機の導入がおすすめです。特に、建物の立地や構造上で、換気がうまくされない施設などにおいては、空気清浄機が必需品となるでしょう。

エアロゾル感染対策として、WHOや厚生労働省が推奨している空気清浄機は、HEPAフィルターを搭載した機種です。HEPAフィルターとは、花粉やほこりをはじめとする空気中のごく小さな粒子を捕集することができる「高性能な微粒子エアフィルター」のことであり、エアロゾル感染の原因となるウイルス飛沫核を99.97%除去できると実証されています。ただし、空気清浄機を運転してもCO2濃度が下がるわけではないということは理解をしておきましょう。

実際にどのくらいの風量のある空気清浄機を選べば良いかについては、カタログや仕様書に記載のある定格風量(㎥/分)の数値を目安に計算することができます。定格風量(㎥/分)の数値を2~3倍にした数値が1台の空気清浄機で浄化対応できる人数(成人)の目安になります。例えば、定格風量(㎥/分)が3.0の場合、その2~3倍で計算すると、常時6人~9人分の浄化能力があるということになります。乳幼児の場合は、さらにこの定員を2倍程度に設定することができます。定格風量を大きくするためには、自動運転ではなくフルパワーや強モードを選択することになりますが、その場合運転音も大きくなるので、乳幼児のお昼寝時などは運転音も考慮して調整しましょう。

 

こちらの記事もおすすめ

HEPAフィルターとは?性能と仕組み、交換時の注意点について解説

 

<空気清浄機を使用する際の注意点>

1.空気清浄機本体や周辺にアルコールをかけない

アルコールによりHEPAフィルターが劣化し、ウイルス飛沫核の集塵能力が半分以下になってしまうため、注意が必要です。掃除などのお手入れにはアルコールは使用せず、中性洗剤などを使用しましょう。

2.空気の取り入れ口を確認し、人がいる側に向けて置く

空気の取り入れ口が裏側にあるタイプの空気清浄機が多いので、よく確認して使用しましょう。壁側に設置してしまうことで、空気清浄機の機能を果たせていないケースがあります。空気清浄機の設置向きが重要なポイントです。

3.窓や換気口の近くには置かない

空気清浄機によって浄化された新鮮な空気が、窓や換気口からすぐに外に排出されてしまうため(ショートサーキット)、空気清浄機の設置位置にも気をつけましょう。

4.空気清浄機の製品選びに注意

空気清浄機にはさまざまな性能を持つ製品がありますが、感染症対策としてWHOや厚生労働省が推奨しているものはJIS規格(日本産業規格)のHEPAフィルターの搭載型です。

 

 

子どもたちの健康と共に、働くスタッフを感染症から守る

今回は、電気通信大学の石垣陽特任教授が発信している動画コンテンツ「保育園の換気対策!2022年度保存版」をもとに、保育園におけるエアロゾル感染対策と感染症対策の基本についてまとめました。厚生労働省の事務連絡文書「BA.5 系統への置き換わりを踏まえた保育所等における感染対策の徹底について」の内容に沿っています。保育施設の感染対策は難しい半面、感染が起きたときのリスクが大きいものです。ぜひ一度、保育施設内の感染対策について見直しをしてみてはいかがでしょうか。

 

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空気環境が気になる方は、ぜひご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

空気のデジタルトランスフォーメーション(DX)サービス「MADO(マド)」

 

 

国立大学法人 電気通信大学 石垣陽特任教授

 

YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/@safety-first

研究室サイト・人類のためのデザイン研究室

https://www.design4humanity.com/

 

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