幼稚園や保育園で流行する感染症とは?予防方法や対処法も解説

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幼稚園や保育園では、病気に対する抵抗力や免疫が未発達である幼い子どもたちが集団生活を送るため、さまざまな感染症への罹患や感染拡大のリスクが高まりやすくなります。保育施設内では、感染者の発生や感染症流行時にかかわらず、日常的な感染対策が重要となるでしょう。

この記事では、幼稚園や保育園などの保育施設における感染症対策の必要性と、具体的な取り組みについて解説します。

 

感染症が起こる要因

感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入し、増殖することで起こる病気のことです。感染症の発生には、病原体を排出する「感染源」、その病原体が宿主に伝播するための「感染経路」、そして病原体の伝播を受けた「宿主に感受性が存在する(予防するための免疫が弱く、感染した場合に発症する)こと」の3つの条件が関係し、「感染源」、「感染経路」及び「感受性が存在する宿主」の3つを感染症成立の三大要因といいます。

・感染源(病原体)

感染源とは、病原体に感染した人や動物のほか、病気を媒介する蚊やダニ、病原体で汚染された物や食品のことです。感染源となる病原体には、一定の環境下において自身で増殖が可能な細菌類や、人などの生きた細胞のなかでのみ増殖するウイルスがあります。

また、症状が出ない(不顕性感染)、もしくは軽症で本人や周囲が気付かずに感染している人も知らない間に感染源となっていることがあります。ウイルスによっては潜伏期間にも感染力をもつため、注意が必要です。

 

・感染経路

感染経路とは、感染源である病原体が体内に侵入する経路のことです。主な感染経路は次のとおりです。

●接触感染
…握手や抱っこなどの感染者に触れることで起きる「直接接触感染」と、ドアノブや遊具などの汚染物を介した「関節接触感染」がある。

●飛沫感染
…くしゃみや咳、会話の際にウイルスや菌を含む飛沫を吸い込んだり、花や目などの粘膜に付着したりすることにより感染する。飛沫は1~2m程度飛び散るので注意。

●空気感染
…ウイルスや菌を含む飛沫核や塵埃を吸い込み、直接気管支内に感染する。飛沫に含まれた病原体がエアロゾル化し空気中を漂って拡散するため、飛沫感染よりもさらに広い範囲で感染する。

●経口感染(糞口感染)
…ウイルスや細菌に汚染された食べ物を、生または十分に加熱しないで食べた場合や、感染者から調理中に手指等を介して食品や水を汚染し、その汚染食品を飲食することで感染。おむつ替え時など糞便が手指を介して経口接種される場合を糞口感染という。

●血液感染
…針刺し切創や傷のある皮膚や粘膜へ血液体液が接触することにより感染する。

 

・感受性宿主

感受性宿主とは、病原体への免疫や抵抗力が低く、感染しやすい人のことです。感染症は誰もがかかる可能性がありますが、かかりやすさや症状の度合いには個人差があります。例えば、かかりやすい人として、乳幼児のほか、高齢者や基礎疾患のある人などが該当します。

 

参考:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」※2023(令和5)年5月一部改訂

 

 

 

乳幼児は感染症にかかりやすい

 

幼稚園や保育園での感染症対策を考える上でまず前提となるのは、幼い子供は病気に対する抵抗力である免疫が未発達だということです。そのため、感染症にかかりやすく、また一度かかると、感染症によっては重症化しやすいという特徴があります。加えて、子供は大人に比べて体重に対して必要とする水分量が多いため脱水症状を起こしやすく、呼吸困難を起こしやすいという特徴もあります。

保育施設にいる子供たちがお互いに接触するのを止めるのは、非常に難しいものがあります。乳児の場合は、床をはったり、手にふれた物をなめたりするのも止めることはできません。幼い子供には正しいマスクの着用や手洗いを徹底することも厳しく、幼稚園や保育園は感染症が流行しやすい環境だといえます。

 

 

保育園や幼稚園で流行する感染症とは

 

保育園や幼稚園で流行しやすい感染症の種類を季節ごとに分けて紹介します。

新型コロナウイルス感染症をはじめ、季節を問わず通年のものや、RSウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎などのように、近年は流行季節に変化が出てきているものもありますが、感染予防や症状の早期発見により、重症化を防ぐためにも参考にしてください。

 

・春に流行しやすい感染症

溶連菌感染症・はしか(麻しん)・風しん・水ぼうそう・流行性耳下腺炎(おたふく風邪)・ヒトメタニューモウイルス感染症など

・夏に流行しやすい感染症

ヘルパンギーナ・プール熱(咽頭結膜熱)・手足口病・流行性角結膜炎(はやり目)・伝染性膿痂疹(とびひ)・腸管出血性大腸菌感染症(O157など)・無菌性髄膜炎など

・秋から冬にかけて流行しやすい感染症

インフルエンザ・RSウイルス感染症・感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)・マイコプラズマ肺炎・パラインフルエンザウイルス感染症など

 

参考:日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 (2023 年 5 月改訂版)

 

保育園や幼稚園でできる感染症対策

幼い子供たちの感染症対策として安全で確実性の高い方法に、ワクチンの接種が推奨されています。ワクチンで病気に抵抗する免疫を作ることで、たとえ感染症にかかっても重症化を防ぐことが可能です。

しかし、すべての感染症に対してワクチンが用意されているわけではありません。ワクチンで対応しきれない感染症を防ぐためにも、やはり幼稚園や保育園での感染症対策が大切になります。

「保育所における感染症ガイドライン」をもとに、幼稚園や保育園でできる感染症対策を紹介します。

 

発症者や疑いのある子供の隔離

どれだけ対策を積み重ねても、幼稚園・保育園に入ってきた病原菌をすべて遮断するのは不可能です。そのため、幼稚園・保育園での感染症対策は感染症の予防と同時に、感染症が発生した場合に流行規模を最小限に抑えることを目的とします。それには発症者や疑いのある子供の隔離が有効です。

具体的には、はっきりした感染症の症状が見られる子供には登園を控えてもらい、保育施設内で急に発熱などの症状が表れた場合は医務室などの別室に隔離し、ほかの子供たちと接触しないようにします。

 

部屋の換気

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の感染経路は、接触感染と飛沫感染が中心ですが、麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)などは接触感染、飛沫感染のほか、空気によっても感染します。感染者と同じ部屋にいただけでも感染リスクは高まるので、発症者の隔離と部屋の換気が重要になります。

新型コロナウイルス感染症の対策には、窓を幅10~20㎝程開けておく常時換気が基本ですが、難しければ30分に1度、数分程度の換気が推奨されています。窓やドアを2ヵ所以上、できれば対角線上の窓やドアを開けることで換気効率を高めることができます。

 

正しい手洗いやうがいの指導

接触感染対策で大切なのは、子供の手指を清潔に保つことです。まずは、教職員が正しい手洗いやうがいの方法を身につけ、実践するとともに、子供の年齢に応じて手洗いの介助を行い、適切な手洗いやうがいの方法を指導していくことが求められます。

 

消毒や石鹸の設置

手洗いや消毒には、適切な物品を使うことも大切です。固形石鹸は保管時に不潔になりやすいので、可能であれば液体石鹸を設置しましょう。教職員が子供の嘔吐物や下痢、感染者の血液などが付着している場所・物を掃除する際には、それらを丁寧に取り除いた上で、しっかり消毒することが大切です。

 

こまめな清掃と消毒

乳児は手でふれた物を口に持っていくことが多いので、施設内の床や園庭の遊具、おもちゃなどの洗浄・消毒も感染症対策に有効です。また、感染症の一種である食中毒対策としては、調理器具の洗浄や消毒も重要になります。

 

職員の健康管理

職員が感染し、知らないうちに感染源となってしまう場合もあります。そのため、職員の体調管理にも気を配る必要があるでしょう。

 

予防接種の奨励

ワクチンで重症化が防げる感染症については、ワクチンの接種が最も確実性の高い感染症対策になります。予防接種の案内は、行政や医療機関から保護者に通知されるものですが、時には保育施設側からも保護者に摂取の意義やメリットを伝えることも必要でしょう。

 

空気清浄機などの設置

飛沫感染や空気感染による感染予防対策としては、空気中の汚れをキャッチして除去することで室内の空気をきれいにしてくれる、空気清浄機の導入もおすすめです。その性能は各機が搭載するフィルターにもよりますが、空気中を漂うウイルスの除去に役立つ物もあります。

 

 

子供の集まる施設が行っているみんなエアー導入の実例

株式会社UPDATERのWell-being tech事業「みんなエアー」では、安全・快適で過ごしやすい環境づくりをサポートしています。「なんとなくほこりっぽい」「湿気っぽくてカビくさい」「眠くなる」「人が多いと息苦しく感じる」ということはありませんか?それらのお困り事は「空気」の改善で解決できるかもしれません。

実際に、子どもの多く集まる保育施設等にも感染症予防の一環として、空気質モニタリングを行うクラウドサービスや空気環境対策機器などを提供しています。

 

感染症の媒介リスクを抑えるために~アース・キッズ株式会社(スタジオそら原宿)~

アース・キッズ株式会は、発達に支援を必要としている子供たちへの障害児通所支援事業所「スタジオそら」を、東京、横浜、川崎を中心に15拠点(28事業所)で運営しています。

スタジオそら原宿では、登録する子供が約70名、スタッフが9名おり、1日に20名以上の子供と保護者の出入りがあります。子供やそのご家族だけでなく、スタッフにも感染症の媒介リスクを抑えることが適切な事業所の運営につながると思い、訓練室に「エアロシールド」*1を、事務室に「MADO」*2を導入しました。

通所する子供の中には空気清浄機などのちょっとした生活雑音が気になってしまう聴覚過敏の子もいますが、エアロシールドは無音なので気になりません。また、支援中は転落の危険があり窓を開けての換気ができないため、室内の自然対流で菌やウイルスの減少効果があるエアロシールドは、安心して利用ができます。

MADOは、数字で空気環境を可視化できるため、夕方時など業務が煩雑になり、換気への意識が甘くなってしまいがちな時間帯でも、密や換気への注意喚起につながっています。

導入サービス:

「MADO」 空気質モニタリングのクラウドサービス 

 

感染症対策は、できていると思っても、意外と穴があったりしがちです。特に、乳幼児は感染症にかかりやすく、感染症が広がりやすい環境である保育施設では、さまざまな角度からしっかりとした対策を行う必要があります。

空気環境が気になる方は、ぜひご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

空気のデジタルトランスフォーメーション(DX)サービス「MADO(マド)」

 

 

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