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急性胃腸炎は、突然の嘔吐や下痢、腹痛などの症状に見舞われるつらい病気です。その多くは、細菌やウイルスなどの病原体による、胃腸への感染が原因の感染性胃腸炎です。
ここでは、感染性胃腸炎にはどのようなものがあるのか、その種類をご紹介します。また、感染性胃腸炎の治療法と予防法についても見ていきましょう。
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感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が原因となって起こる胃腸炎の総称です。症状は、原因であるウイルスや細菌によって多少異なりますが、吐き気や下痢、腹痛、嘔吐、発熱などが挙げられます。
主な感染経路は、病原体を含んだ食品や水、病原体が漂っている空気が口に入る「経口感染」と、病原体にふれた手で目、鼻、口などにふれることによって感染する「接触感染」が中心で、ウイルスが胃腸に感染することで発症します。
夏季にはいわゆる食中毒として知られる細菌性の急性胃腸炎ですが、冬場はウイルスによる感染性胃腸炎が多いのが特徴です。
感染性胃腸炎の種類
感染性胃腸炎には、大きく分けて「細菌性」のものと「ウイルス性」のものがあり、さらに原因となる病原体によってそれぞれ細かく種類が分かれています。
主要な感染性胃腸炎について、原因となる病原体や潜伏期間、特筆すべき症状、主な感染原因などをご紹介します。
■感染性胃腸炎の種類と特徴
病原体 | 潜伏期間 | 感染原因 | 特筆すべき症状 | その他の特徴 | |
---|---|---|---|---|---|
細菌性 | 腸管出血性大腸菌 | 3~8日 | 生肉や加熱不十分な肉 | 血液が混ざった赤い下痢 | O157が有名。小腸に感染して腸炎などを起こす |
腸管病原性大腸菌 | 12~24時間 | 原因の特定は困難
|
下痢をはじめ、腹痛や嘔吐、軽度の発熱、倦怠感などの症状 | 2歳以下、特に出生から6ヵ月以下の子供に感染者が多い | |
腸管組織侵入性大腸菌 | 1~5日
多くは3日以内 |
食品または水。時には人から人への感染もある | 大腸や直腸の潰瘍性の炎症、血液・粘液やうみを交えた下痢、けいれんの症状が表れることも | 赤痢菌に似ている | |
腸管毒素原性大腸菌 | 12~72時間 | 水を介しての感染が多い
|
水様性の下痢、ひどい場合は米のとぎ汁のような下痢になり、脱水症状になる。発熱は少なめ | コレラのような激しい下痢 | |
腸管凝集接着性大腸菌 | 7時間~2日 | 病原因子などは不明な点が多い | 粘液を含んだ水様性の下痢。時に血液が混ざったり緑色になったりする | 病原大腸菌の中で、最も新しい | |
サルモネラ菌 | 5~72時間 | 卵、卵製品、洋菓子類、加熱不十分な食肉 | cc | 多くの患者は治療を必要とせずに回復する | |
ウェルシュ菌 | 6~18時間 | 汚染された肉や魚を使った煮込み料理など | 水様性の下痢、軽い腹痛 | 空気がないところでも増殖し、100℃で6時間の過熱にも耐える | |
ブドウ球菌 | 30分~6時間
|
病原体に汚染された魚など | 高熱が出ることは少ない | 死亡することはほとんどない | |
腸炎ビブリオ | 8~24時間 | 魚介類の刺身、まな板や調理器具を介した2次感染も | 激しい腹痛があり、水様性や粘液性の下痢 | 沿岸の海水中や海泥中におり、水温が15℃以上になると活発に行動する | |
カンピロバクター | 1~7日 | 殺菌が不十分な井戸水、湧き水、簡易水道水、生の状態や加熱不足の鶏肉、鶏レバー | 下痢(血性となることもある)、腹痛、発熱、頭痛、嘔気、嘔吐 | 近年日本で発生している食中毒の中で、最も発生件数が多い。年間患者数は約2,000人 | |
ウイルス性 | ノロウイルス | 24~48時間 | 汚染された二枚貝、汚染された井戸水や消毒不十分な簡易水道 | 発熱は軽度 | ウイルス性食中毒とウイルス性胃腸炎両方の原因になる |
ロタウイルス | 2~4日 | 手についたロタウイルスが口から入る、乾燥して空気中に舞ったロタウイルスを吸い込む | 水のような下痢、白い便。脱水症状が出ることもある。稀に、けいれんや肝機能障害、急性腎不全なども | 0~6歳の乳幼児期にかかりやすく、5歳までにほぼすべての子供がかかる。再感染はするが、2度目以降の症状は軽い |
感染性胃腸炎の治療方法
感染性胃腸炎の症状は風邪と似ている場合も多いので、最初は様子を見るという人が多いようです。実際に、家で安静にしていれば、数日で治癒する人が多数です。
病院などを受診した場合、症状と主たる感染性胃腸炎の原因との接触の有無、接触からどれくらいで症状が出ているかなどが総合的に診断され、感染性胃腸炎かどうか、またどの種類の感染性胃腸炎でどう治療を進めるかが判断されます。
細菌性胃腸炎が原因と推定され、必要がある場合は、抗生物質が投与されることはありますが、治療の基本は水分補給と体力を落とさないための栄養補給です。吐き気が強くて十分な水分を摂取できない場合は、点滴や入院治療が行われます。また、下痢がひどい場合は整腸剤が処方される場合もあります。一方、下痢止めはかえって症状を悪化させ、長引かせる場合がありますので、基本的には処方されません。
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感染性胃腸炎を予防するには?家庭での注意点
感染性胃腸炎を予防するには、まず病原菌に汚染された食べ物や水にはふれないことです。厚生労働省は、食中毒予防の3原則として「食中毒菌をつけない、増やさない、やっつける」を、家庭でできる食中毒予防のポイントを紹介しています。家庭内での主な注意点は、下記のとおりです。
食品購入時の注意点
肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入し、消費期限のある食品は、期限を確認した上で購入します。購入した肉や魚など温度管理の必要な食品は、常温で持ち歩く時間を極力少なくします。
家庭で保存する際の注意点
温度管理が必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫に入れます。肉や魚、卵などを扱うときは、取り扱いの前後に石鹸を使って手を洗いましょう。
調理の下準備時の注意点
肉や魚を切った後の包丁やまな板は、一度洗ってから熱湯をかけておきます。包丁や食器、まな板、ふきん、スポンジなどは、使ったらすぐに洗剤と流水でよく洗います。
調理時の注意点
加熱して調理する食品は、中心部の温度が75℃で1分間以上を目安に、十分加熱することが重要です。料理を中断するときは、そのまま室温で放置すると細菌がついたり増えたりするので、食材は冷蔵庫で保管します。
食事時の注意点
食卓につく前には手を洗い、清潔な食器や器具を使って盛りつけます。調理前の食品や調理後の食品を、室温で長く放置することは避けましょう。
残った食品を保存する際の注意点
残った食品を扱う前も、手を洗います。小分けにして保存し、温め直すときは75℃以上を目安に十分加熱を。時間が経ちすぎた、あやしいと思ったら、思いきって食べずに捨てることが大切です。
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感染性胃腸炎の予防には、汚物の適切な処理や消毒も大事
ウイルス性胃腸炎の予防には、手を介した経口感染や接触感染のほか、乾燥して空気中を漂うウイルスからの感染を防ぐことも重要です。具体的には下記のような点に注意しましょう。
汚物は適切に処理する
ノロウイルスやロタウイルスの感染を広げないためには、乳幼児のオムツを交換する際や、便、吐しゃ物などの汚物を処理する際に、ゴム手袋を使います。捨てるときはポリ袋などに入れて、手にウイルスがつくのを防ぎます。
丁寧に手洗いをする
ロタウイルスは感染力が高いので、手洗いは指輪とアクセサリーを外した上で石鹸を使って30秒以上もみ洗いし、その後、流水で洗い流すようにします。
ロタウイルスはアルコールに強いので、ドアノブや手すりなどの共用部分を消毒する場合は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を使いましょう。
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空気環境にも気を配り、感染性胃腸炎の予防を
感染性胃腸炎の主な原因は食べ物ですが、冬場に多いウイルス性胃腸炎は、ウイルスにふれた手を介した経口感染や接触感染のほか、乾燥した患者の便や吐しゃ物に含まれるウイルスがほこりと共に空気中に舞い上がり、吸引することで感染の原因になります。
感染性胃腸炎の予防には、食材にしっかり火を通したり、こまめな手洗いや消毒を行ったりすると同時に、空気環境に気を配ることも大切です。
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