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ノロウイルスは、食中毒や感染性胃腸炎の原因となる病原体です。ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎は一年を通して発生しますが、主に冬季に流行し、嘔吐や下痢、腹痛、軽い発熱などの症状を引き起こします。
ここでは、ノロウイルスによる感染症の予防法と、感染した場合の対処法についてご紹介しましょう。
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ノロウイルスの感染経路とは?
ノロウイルスの主な感染経路は「経口感染」ですが、ほかにも「接触感染」や「飛沫感染」もあります。主に、次のような状況が考えられます。
<ノロウイルスの主な感染経路>
(1)ノロウイルス患者の便や吐しゃ物の処理を通じて、そこに含まれたノロウイルスが処理者の手に移り、そこから2次感染する
(2)家族や共同生活施設など、人と人とが接触する機会が多い場所で、飛沫などにより直接感染する
(3)食品の製造や調理に携わる人が感染しており、作られた食べ物や料理を介して感染する
(4)ノロウイルスに汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べる
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を、消毒不十分のまま飲む
(1)と(2)はノロウイルスによる急性胃腸炎、(3)~(5)はノロウイルスによる食中毒を引き起こす感染経路です。
ノロウイルスによる急性胃腸炎感染者の吐しゃ物や下痢には、多くのウイルスが含まれています。吐しゃ物や便で床などが汚れてしまったり、感染した乳幼児のオムツを交換したりしたときは、適切な方法で処理しないと感染拡大の原因となってしまうので注意が必要です。
ノロウイルスの予防法は?
ノロウイルスによる感染を予防するには、感染経路を遮断することが大切です。具体的には、次のような対策があります。
汚物を処理する場合は手袋などを着用する
2次感染対策で重要なのは、ウイルスが含まれる汚物を適切に処理することです。
床などに飛び散った汚物を処理する場合は、使い捨てのガウンまたはエプロンとマスク、手袋を着用し、汚物をペーパータオルで拭き取ります。その後は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(家庭用の塩素系漂白剤を、濃度0.05%を目安に水で希釈した物)で床を拭き取り、最後に水拭きをしましょう。この際、汚物が残っていると、後で乾燥して空気中に舞い上がり、吸引した人が感染する可能性がありますので、念入りに拭き取ることがポイントです。汚物を拭き取ったペーパータオルは、ビニール袋に入れて密閉状態にしてから廃棄します。感染した乳幼児のオムツを捨てる場合も同様です。
処理した後は、対角線上の窓を開けるか、サーキュレーターを使うなどで空気の流れを作り、しっかりと換気をしておきます。
なお、処理の際に汚物が服についてしまった場合は、そのまま洗濯してはいけません。まずはキッチンペーパーで汚物を拭き取った後、洗面器に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を入れ、服を30分程つけておきます。時間が経ったら洗濯機に入れ、通常どおり洗濯洗剤で洗います。
ノロウイルスを持ち込ませない
ノロウイルスを施設や家庭、工場などに持ち込ませないこともポイントです。特に、食品を扱う工場等では、従業員の健康状態を把握し、体調が悪ければ休ませること、従業員の感染症対策に対する意識を高めることなどが重要です。
ノロウイルスに感染した従業員を休ませるのはもちろんですが、ノロウイルスは、下痢などの症状がなくなっても通常で1週間、長ければ1ヵ月程ウイルスの排泄は続くことがあります。ノロウイルス感染症が確認された従業員は、回復後もしばらく直接食品を取り扱う以外のポジションに配置するなどの措置をとります。
食品を扱う業務ではノロウイルス検便を行う
ノロウイルスに感染しても、症状が出ない人もいます。そのため、食品業者などでは、いち早く従業員の感染を見つけ、適切な処置をとるために、定期的に検便検査を行うのも効果的です。
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、同一メニューを1回300食以上、または1日750食以上作る調理施設は、調理に従事する従業員に月1回以上のノロウイルス検便検査を受けさせることとしています。
手洗いを徹底する
手洗いの徹底は、施設、家庭、工場などを問わず、ノロウイルスの予防にとても有効です。指輪や時計などは外し、石鹸を十分に泡立てて、手のひらはもちろん、指先、手の甲、指と指のあいだ、爪先、手首まで時間をかけて洗い、温水による流水ですすぎましょう。最後に、清潔なタオルかペーパータオルで水を拭き取ります。石鹸そのものにはノロウイルスの活性を失わせる効果はありませんが、手についた汚れを落とすことで、ウイルスが手からはがれやすくなるのです。
調理の前、食事の前、トイレに行った後、感染者の汚物処理やオムツ交換をした後は、たとえ手袋を着用して作業した場合でも、手洗いは欠かさず行うことが重要です。
調理器具を消毒する
ノロウイルスに汚染された食材を扱ったと思われる場合は、調理道具を通常の洗剤で洗った上で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸すように拭くことで、ウイルスの活性を失わせることができます。まな板や包丁、ふきんなどは、できれば85℃以上の熱湯で、1分間加熱消毒しましょう。
食品を加熱する
ノロウイルスは、高温・高湿度の環境下では感染力が弱まり、多くの場合、加熱処理することで活性を失わせることが可能です。ノロウイルスの感染源のひとつである二枚貝は、85~90℃で90秒以上加熱してから食べます。
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ノロウイルスに感染してしまったら
ノロウイルスによる食中毒・急性胃腸炎の主な症状は、嘔吐や下痢、腹痛、軽い発熱などです。一般的には数日で回復しますが、体力が落ちている人や乳幼児、高齢者などでは、脱水症状を起こす場合もあります。ノロウイルスへの感染が疑われたら、まず病院で診察を受けましょう。
症状が出たときに気をつけること
ノロウイルスの特効薬はなく、脱水症状を起こしたり体力を消耗したりしないように、水分と栄養を補給しながら療養する対症療法となります。脱水症状がひどい場合は、点滴や入院しての治療が必要です。
症状が治まった後に気をつけること
ノロウイルスは、下痢などの症状が治まった後も、通常で1週間、長い人では1ヵ月程は便とともにウイルスの排出が続くことがあります。この期間は、他人にうつしたり、食品などを介して2次感染を広げたりしてしまう可能性がありますので、手洗いや消毒を徹底し、周りに感染させないための配慮が必要です。
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ノロウイルスの感染対策には環境の整備が大切
ノロウイルスは非常に感染力が高く、一人が感染すると爆発的に広まる可能性があります。自分自身を守るためにも、また感染者を広げないためにも、一人ひとりが感染対策に取り組むことが大切です。特に、食品を取り扱う業者では、会社として従業員の感染症予防意識を高めていくことと、従業員の健康状態の把握や、調理に携わる従業員への定期的な検便検査の実施など、組織としてノロウイルス対策を行うことの両方が求められます。
また、同時に空気環境に気を配ることも感染対策として重要です。
株式会社UPDATER(旧社名 みんな電力株式会社)のエアテック事業「みんなエアー」では、「空気の見える化」による空気環境対策を推進しています。
空気の見える化とは、空間・場所によっても異なりますが、空気中には浮遊菌やにおい、ウイルス、有害物質などさまざまなものも含まれており、それらを正しく調査・計測することで、その場所に必要な改善策やソリューションをご提案できると考えています。
みんなエアーが提供する空気のクラウドサービス「MADO」は、オフィスや店舗の空気中に含まれる二酸化炭素やPM2.5、揮発性のガスといった物質を計測し、クラウドに送信。事業者のコンピューターやタブレットなどのデバイスに表示し、その空間の空気がどのような状態なのかを可視化できるため、換気やその他状況に応じた対策を行うことが可能です。