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11月から翌年の3月頃は、毎年ノロウイルスが流行する時期です。ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎に対する対策はしっかりしておきたいと考える人も多いのではないでしょうか。
ここでは、ノロウイルスやノロウイルス感染症とはどんなものなのか、また冬の時期にノロウイルスが流行する理由についてご説明します。
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ノロウイルスとは?
ウイルスは細菌とは異なり、細胞膜を持たないため、人間の細胞に寄生して、人間の細胞の中に入って自分のコピーを作らせることで増殖します。体内に入ったノロウイルスは、小腸粘膜の細胞に入り込んで増殖していきます。まずは、ノロウイルスの主な特徴について見ていきましょう。
感染力が高い
ノロウイルスは、100個以下というごく少量のウイルスが体内に入っただけでも感染する、感染力の高いウイルスです。
アルコール耐性が高い
ノロウイルスはアルコール耐性が高いので、消毒や殺菌をする場合は次亜塩素酸ナトリウムを使う必要があります。
さまざまな遺伝子型がある
ノロウイルスにはさまざまな遺伝子型があり、変異により新しい型が生まれることもあります。流行株が置き換わることから、毎年流行が起こるのです。
主な感染経路は経口感染
ノロウイルスへの感染は、ノロウイルスに汚染された食べ物・飲み物をとる、感染者がさわったドアノブなどをさわった手で口をふれる、感染者の吐しゃ物の拭き残しなどが乾燥し、塵やほこりになって空気中を舞っているのを吸引するといった、経口感染が基本です。
食品を媒介して感染した場合は「ノロウイルス食中毒」、感染者がさわった物との接触や飛沫・塵埃を吸い込んだことで感染した場合は「ノロウイルス感染症」と呼ばれます。
吐き気や嘔吐、下痢などの症状が出る
ノロウイルスに感染すると1~2日の潜伏期間を経て、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱といった症状が表れることが一般的です。症状は多くの場合1~2日で治まり、感染しても症状が出ない場合や、軽い風邪のような症状にとどまる場合もあります。
シーズンごとのノロウイルス感染の発生状況
ノロウイルスへの感染は一年を通じて見られますが、日本では毎年11月頃から増加し始め、12月~翌年1月頃にピークを迎える傾向があります。
例外は、2020~2021年シーズンで、この年は例年に比べて全体的な感染者数が少なく、はっきりとしたピークも表れませんでした。その理由は、多くの人が新型コロナウイルス感染症対策に取り組んだためだと推測されています。
■ノロウイルス食中毒の月別発生件数
出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
なぜノロウイルスへの感染は冬の時期に多い?
ノロウイルスへの感染が冬場に多くなる理由は、気温が下がること、そして空気が乾燥するからです。低温・低湿度の環境下では、下記のようなことが起こります。
ウイルスの感染力が高まる
ウイルスは、低温・低湿度の環境では生存期間が長くなり、感染力が増すといわれています。
ウイルスの生存期間と部屋の温度・湿度の関係については、1961年にG.J.ハーパーが行った実験があります。実験装置にインフルエンザウイルスを浮遊させ、温度や湿度を変えてウイルスの生存率の変化を記録したもので、室温が7~8℃で湿度が20~25%の環境ではウイルスの生存率は60~70%ですが、室温が20.5~24℃で湿度が49~51%になると、生存率が0~10%にまで下がるとの結果でした。
このことからも、低温・低湿度の環境がウイルスにとって好ましいものであることがわかります。
喉が乾燥することで免疫機能が落ちる
口から入ったノロウイルスは、喉を通って体内へと入り込んでいきますが、喉には粘膜免疫という異物を排除する機能が備わっているため、簡単には侵入を許しません。しかし、この粘膜免疫は、喉が乾燥していると働きが低下してしまいます。冬場は喉が乾燥しやすいため免疫の働きは落ちがちで、ウイルスが侵入しやすくなってしまうのです。
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空気の乾燥によって、ウイルスが空気中に浮遊しやすくなる
ウイルスを含んだ飛沫を吸い込む、もしくは患者の吐しゃ物や下痢便の拭き残しなどが乾燥して空気中に塵やほこりとなって舞い上がったものを吸い込むことによる感染は、ノロウイルスの主たる感染経路のひとつです。
空気が乾燥していると、飛沫や吐しゃ物などに含まれる水分が蒸発するスピードが速くなり、ウイルスが空気中に漂いやすくなります。その分、体内に入りやすくなるため、感染が起こる可能性が高まるのです。
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牡蠣のおいしい時期になる
低温・低湿度ほど影響は大きくありませんが、食べ物に関わる理由もあります。汚染された食べ物・飲み物をとることは、ノロウイルスの感染経路のひとつです。ノロウイルスは、培養した細胞内や実験動物の細胞内で増やすことができず、食品中に含まれるウイルスを検出することが困難なため、どの食品によってノロウイルス食中毒が起きたのかはなかなか特定できません。しかし、ノロウイルスに汚染された二枚貝を生や加熱不足のまま食べることで、ノロウイルス食中毒が発生することはわかっています。
対象となる貝には牡蠣、大アサリ、ハマグリ、シジミなどがありますが、中でも牡蠣は生食することも多く、鍋の具材やフライなどで、あまり火を通さずに食べることも少なくありません。冬場は真牡蠣のおいしい季節なので、牡蠣によるノロウイルス食中毒も起こりやすいことが推測されます。
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ノロウイルス食中毒やノロウイルス感染症が治まるまでの期間は?
ノロウイルスに感染すると、1~2日の潜伏期間を経て症状が表れるのが一般的です。主な症状には吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、軽い発熱があり、症状の重さには個人差があります。格段に悪化することはあまりなく、通常であれば症状は1~2日で治まりますが、乳幼児や高齢者、体力が落ちている人などは脱水症状になることもあるので、注意が必要です。
ノロウイルスには抗ウイルス薬がないため、水分と栄養を補給しながら安静に過ごす対症療法が治療の基本になります。下痢止めを服用するとかえってウイルスを体外に排出しづらくなり、治りが遅くなるので避けたほうが無難です。
なお、ノロウイルス食中毒とノロウイルス感染症は、症状が消えてからも1週間から1ヵ月は排便時にウイルスが出てくる場合があるとされているため、感染を広げないための配慮が必要です。トイレの後はしっかり手を洗うのはもちろん、症状が消えていたとしても可能な限り調理など、食品を扱う作業は避けるといった工夫をしましょう。
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冬が来る前にノロウイルス感染症対策の見直しを
ノロウイルス予防の対策を講じることは、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症といった、ほかの感染症の予防にもつながります。
株式会社UPDATER ( 旧 みんな電力株式会社 )では、空気環境を可視化し、データの分析・通知・アフターサポートまで行うクラウドサービス「MADO」を提供しています。「MADO」は、オフィスや店舗の空気中に含まれる二酸化炭素やPM2.5、揮発性のガスといった物質を計測し、クラウドに送信。事業者のコンピューターやタブレットなどのデバイスに表示し、その空間の空気がどのような状態なのかを可視化できるため、換気やその他状況に応じた対策を行うことが可能です。
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