ウェルビーイングな職場を全国へ。 WELL認証取得支援を通じて パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社の果たす役割とは

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昨今、「健康経営」、「人的資本投資」、「ESG経営」といったトピックの影響を受けて、多くの企業では、働きやすさや従業員の心身の健康といった側面からの「職場環境づくり」が求められるようになり、従業員の満足度やパフォーマンス向上の施策としても注目されています。

 

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社では、法人向けにWELL認証取得支援というサービスをすすめています。WELL認証とは、2014年に米国のDelos社が開発した建築物の空間評価システムのことであり、今では世界97か国、23,000以上のプロジェクト登録があり、働きやすい職場環境のグローバル基準となっています。日本でもウェルビーイング経営を目指す感度の高い企業を中心に認証の取得が広まっています。

今回は、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社の皆さんに、WELL認証取得支援の概要や、ウェルビーイングへの取り組みについて話を伺いました。

 

 

WELL認証取得支援サービスを立ち上げたきっかけ

 

 

 

―――WELL認証サービスを立ち上げたきっかけは何ですか?

 

弊社は一般の消費者様によく知られているのが家電製品かと思いますが、BtoBでは、主に建設業界のお客様向けに照明器具・配線器具などの電設資材を取り扱っており、実は配線器具のシェアは8割を占めています。そのほか、エネルギー事業として、今は「脱炭素」というキーワードでいうと太陽光や蓄電池、V2H、HEMSなど、省エネ・蓄エネ対策になる設備やソリューションも展開しています。

WELL認証取得支援サービスを立ち上げたきっかけは、WELL認証を開発した米国Delos社が運営する研究所「WELL Living Lab」に設立メンバーとして2017年から参画していたことです。

元々、わたしたちパナソニックとしても「人と建物の快適性」について研究し、健康につなげることを目指していました。しかし、快適というだけでは漠然としたものなので、自分たちでなにか指標を作るのか、健康に良いことを証明できるエビデンスはないかと模索していたところで、Delos社との協業の成果を新たな事業として取り組み始めたという経緯があります。

 

 

 

オフィスにウェルビーイングが必要な理由

 

―――現在WELL認証を検討されているのは、どのようなお客様ですか?

 

いわゆる各業界のリーディングカンパニーに強い関心をもっていただいている印象です。ご担当者様の属性としては経営者や総務の方、サステナビリティ推進部の方が多いです。従業員の満足度や勤務環境を向上・改善したいというニーズはもちろんのこと、ESG投資の評価に対する有効性のひとつとして、検討される企業様もおられます。

WELL認証は比較的新しい国際認証であることと、認証取得までに期間も費用も要するため、まだ敷居が高いと感じている企業様も多いかもしれません。日本では建築基準法や各社の人事制度も整備されていることが多いため、建物の大きな修繕や会社の制度改定までは必要なく、設備や運用管理の改善で十分に認証を取得できるという事例が多いです。

 

 

―――WELL認証を取得するということは企業にとってどのような意味合いになるのでしょうか。

 

昨今「ウェルビーイング経営」というものの重要性が多く語られるようになっていますが、個人がより尊重され、さまざまな働き方が選べる時代である今、働く人に選ばれる企業になっていかなければなりません。企業としてウェルビーイングを実現する取り組みというのは、優秀な人材確保に貢献すると思っています。

日本ではでウェルビーイングについて触れている企業は約300社ほどです。今の流れでは、これも数年後には何倍にも増えてくることが予想されます。 ウェルビーイングや健康経営といった取り組みにも注力していかないと、企業としてそもそも成り立たない時代が来る可能性があるのではないでしょうか。その点においても、企業としてウェルビーイングの実現に向けてオリジナリティをもった取り組みが必要であり、WELL認証をモノサシにすることがひとつの選択肢になり得ると思います。

 

 

 

これからのオフィスに求められるもの

 

 

 

ーーー オフィス環境における課題点には、どのようなものがありますか?

 

大きく3点ほどあげられます。

まずは音環境です。新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにWeb会議の機会が急増し、「Web会議の声が他の会議にも漏れ聞こえてしまう」「まわりに会議の内容を聞かれたくないが、Web会議に最適な場所がない」などの問題が出てきました。

WEB会議用に個室ブースを設置するには部屋を区切ることや新たなスペースが必要ですが急には増やせませんし、また防音室などがある場合にも、防音性が高い部屋は空気がこもってしまい空気の淀みや匂いが気になるという声を聞くことも多くあります。

室内全体の課題を総合的に解決することが重要だと思っています。

 

次に、オフィスの柔軟性です。

新型コロナウイルスの流行は、どの企業もオフィスの在り方・働き方を見直すきっかけになったと思います。しかし、感染症対策でリモートワークに対応しオフィスの縮小などを実施したものの、感染症が少し落ち着きはじめるとオフィス回帰が起き、先述のようにWeb会議用の個室が複数必要になるなど、結果として今はまた新しい課題が出てきている状態です。つまり、柔軟に対応できるオフィス空間と運用がまだまだ整っていないことが露呈されたと思います。

 

また、「地域格差」も課題に感じます。どの企業も新しい取り組みは本社から始めるというケースが多いと思いますので、やはり東京などの首都圏に偏ってしまいますよね。大阪でさえすこし遅れ、その他の地方都市圏は5年遅れ、地方各地へとなるとと10年遅れるなどと言われたりもしますが、それも一概に間違っていないなと感じてしまうほど、その環境に差があるのが現状です。同じ企業に勤めていても、本社と地方営業所では、働く環境に大きな差がありすぎるとなると、やはり離職率につながることも多いそうです。

働く環境の利便さや快適性が、やはりまだ東京・首都圏に集約されているというのはひとつ大きな課題であると思います。

 

 

 

WELL認証の具体的な内容と効果

 

ーーー WELL認証とは具体的にはどのような内容なのでしょうか。

 

WELL認証は、より良い建物を通じて人の健康をサポートし、向上させるための10個のコンセプトとイノベーションから構成されます。WELL認証は設備が50%、運用管理が20%、さらに人事総務制度など会社の仕組みの部分30%の割合で、さまざまな観点での対応がポイントになります。

コンセプトの中には「空気」や「音」、「光」などがあるのですが、弊社では照明・音響・空気・温熱など設備メーカーとしての知見を活かし、具体的な診断・アドバイスが可能です。総合的にいろいろな施策に取り組むことによって、それぞれの波及効果がうまれ、着実に職場における生産性の向上をもたらすことができると感じています。

 

 

ーーー 実際にWELL認証取得支援をされたお客さまの声はいかがですか?

 

WELL認証取得までの一つひとつの課題をクリアしていくことで、会社全体が良い方向に変わっていくことを肌で感じ、取り組んで良かったというお声も多くいただき、達成感を感じていただいています。

実際にWELL認証はどの項目も科学的・医学的なエビデンスを基に設計されており、数値目標や基準が明確に示されています。WELL認証の項目に真摯に取り組むほど、効果も目に見えて感じられると考えているので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

私たちは、より良い空間の創造を目指して、WELL認証の取得をサポートします。

 

 

 

社会へウェルビーイングを浸透させるためのエレクトリックワークス社の大きな役割

 

 

ーーー これまで節々に「ウェルビーイング」という言葉が使われていましたが、さまざまある社会課題のなかで「ウェルビーイング」に注目されたきっかけは何ですか?

 

ちょうど10年前くらいに「快適とエコのトレードオン」の点に着目していました。照明や空調の省エネなどがわかりやすい例ですが、快適性と環境配慮というのは真逆の関係なんですよね。エネルギーは削減したいけれど、人の快適性は損ないたくない。これらを両立させることを目指すのが我が社の「ウェルビーイング」であり、製品づくりだけでなく、WELL認証のようなコンサルティング事業に発展していったという感じですね。

 

 

ーーー 御社がウェルビーイングを提供することの社会的な意義や役割とは何でしょうか。

 

WHOでは「人の心身の健康と社会的に満たされた状態」と定義されていますが、私たちがパナソニックの事業として取り組む意義というのは、まずは企業を通して広くたくさんの人々に快適性、つまりウェルビーイングな空間を届けていくところにあると思っています。

品質の高いものを全国に普及できるようにするには、やはり大きな工場やその数が必要になりますし、認知されているブランドの商品であれば信頼性も高く、手に取っていただけると思います。そこが大手メーカーである私たちの強みであり使命だと考えています。

 

 

<プロフィール>

パナソニック株式会社

エレクトリックワークス社 ソリューションエンジニアリング本部

ソリューション事業統括部アーキテクチャ Well-Beingカテゴリー

マーケティング推進部 兼 Wellコンサル・カスタマーサービス推進部

兼 ソリューション企画室 新ソリューション企画開発部

豊澄 幸太郎

 

パナソニック株式会社

エレクトリックワークス社 ソリューションエンジニアリング本部

ソリューション事業統括部 アーキテクチャ Well-Being カテゴリー

Wellマーケティング・営業推進部
兼 Wellコンサル・カスタマーサービス推進部

小林 史子

 

パナソニック株式会社

エレクトリックワークス社 ソリューションエンジニアリング本部

ソリューション事業統括部 アーキテクチャ Well-Being カテゴリー

Wellマーケティング・営業推進部
富永範子

 

 

パナソニックのワークプレイス向けソリューション | パナソニックの空間ソリューション | Panasonic

 

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