エアラボ通信

2020年12月10日

冬に新型コロナウイルス感染リスクが高まるというのは本当ですか?

みんなエアー|2020年12月10日

呉 博士(みんな電力顧問)

冬を迎え、日本でも第3波と言われる新型コロナウイルス感染再拡大期を迎えています。Go To施策やウイルス自体の変異の可能性が議論されていますが、冬特有の気象条件も感染リスクを高める要因となっています。その理由について、ウイルスと人の両面から見てまいります。

 

まず、「ウイルス」の側から見ていきましょう。

4月に発表された香港大学の研究によりますと、溶液中の新型コロナウイルスは37℃では2日間で感染力を失いますが、22℃では14日目まで生き延び、4では14日後でもほとんど感染力が下がらない事が示されています<引用1)>。つまり、今回の新型コロナウイルスは低温にめっぽう強いわけです。

 

さらに、湿度の影響もあります。空気中のインフルエンザウイルスの場合、湿度50%(2024℃)では、30分で感染力が半減しますが、湿度21%では、6時間経っても60%以上の感染力が維持されます<引用2)>。一方、エアロゾル化した新型コロナウイルスの場合、湿度40%(2223℃)で、感染力が半減するまでに平均1.1時間、感染力が無くなるまでに約3時間を要することが分かっています<引用3)>。新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスと同様の性質を持つとすると、低湿度では、さらに数時間は感染力を維持し、空気感染を引き起こすリスクが続くと考えられます。

 

次に「人」の側から見てまいります。

昨年、エール大学のマウスを用いた研究において、呼吸で侵入するウイルスやバクテリアに対する生体防御メカニズムの一端が明らかにされました<引用4)>。この研究では、湿度50%では、気管の粘膜繊維が活発に運動することにより侵入物が排除されるが、湿度10%では、乾燥した空気が粘液と毛様体周囲の層を脱水し、粘膜繊維の運動を著しく低下させるため、結果として侵入物の排除が困難になることが明瞭にビジュアル化されました。そして、室内湿度を4060%に維持することの必要性が指摘されました。

こちらのサイトの動画2本をぜひご覧ください。https://togetter.com/li/1613721

 

以上から明確なように、冬場の「低温・低湿」は新型コロナウイルスには好都合ですが、人には不利に働きます。さらに、寒さ対策で換気頻度が下がることを考えると、冬場こそ感染リスクが最も高い季節と言えます。そのことを良く認識して、日ごろの感染対策を見直し、この冬を乗り越えなくてはなりません。

 

次回は、空気感染対策の基本である「換気」について考えます。

 

<引用>

1) Alex W. H. Chin et al., https://doi.org/10.1016/S2666-5247(20)30003-3

2) G. J. Harper, J. Hyg., Camb. 59, 479-486 (1961)

3) van Doremalen N et al., N. Engl. J. Med., 382, 1564-1567 (2020)

4) Eriko Kudo et al., https://www.pnas.org/content/116/22/10905

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