エアラボ通信

2021年4月21日

オゾンガスは、新型コロナウイルス対策として有効ですか?

みんなエアー|2021年4月21日

呉 博士(みんな電力顧問)

オゾンは酸素原子が3つ結合した物質で、強い酸化力をもつことから、殺菌やウイルスの不活化、脱臭・脱色、有機物の除去などの用途で用いられてきました。近年では水道水の消毒にも用いられています<引用 1)>。こうした実績から、新型コロナウイルスへの不活化効果も期待され、いくつかの研究機関で検証実験が行われてきました。

 

例えば、奈良県立医科大学は、オゾンガス濃度が1~6ppmに調整されたチャンバー内のプレートに新型コロナウイルスを塗布し、その生存量を調べました<引用 2)>。その結果、オゾン濃度6ppmでは55分で99.999.99%、オゾン濃度1ppmでは60分で9099%の新型コロナウイルスが不活化されることが実証されました。ただし、濃度1~6ppmのオゾンガスは人体には有害であるため、人の居ない環境下での使用に限定されます。

 

人へのオゾンガスの許容濃度は、日本産業衛生学会が「労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度」という条件下で、0.1ppmという上限値を定めています<引用 3)>。また、日本空気清浄協会は、「オゾンを発生する器具による室内ガスの許容濃度」として、平均0.05ppm、最高0.1ppmを定めています<引用 3)>。

 

そこで、藤田医科大学は、人に安全とされる低濃度オゾンガス(0.050.1ppm)の、新型コロナウイルスに対する有効性を調べました。そして、「低濃度オゾンガスで新型コロナウイルスを不活化できる事実を世界で初めて発見」というプレスリリースを発出しました<引用 4)>。こちらは、様々なメディアに取り上げられましたので、ご存じの方も多いと思います。

 

藤田医科大学のデータを検証してみましょう<引用 4)>。グラフ横軸がCT値という専門用語で示されていますが、この値を6で割ると時間に変換できます。そうすると、オゾン濃度0.1ppm、湿度80%では、新型コロナウイルスは4時間後に73%、7時間後に87%、10時間後に95.4%が不活化されます。また、湿度55%では4時間後に47%、7時間後に54%、10時間後に68%が不活化されます。この結果から「一定の」効果が有ると言えます。

 

しかし、数時間経っても数十%のウイルスが感染力を維持し続けている事を考えると、低濃度オゾンガスは新型コロナウイルスに対し「十分な」不活化効果を有するとは言えない、というのが正しい見方だと思います。

 

まとめると、高濃度オゾンガス(1~6ppm)は新型コロナウイルス不活化に有効だが、低濃度オゾンガス(0.1ppm以下)の効果は限定的である、と結論づけられます。

 

従って、オゾンガスを新型コロナウイルス対策に用いる際には、室内オゾンガス濃度を1ppm以上に維持できる機器を選ぶのが良いでしょう。そして、人の居ない時間帯に限って運転するなど、人への暴露を避ける注意が不可欠です。

 

 

<引用>

1)https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/13.html

2)press_2.pdf (naramed-u.ac.jp)

3)家庭用オゾン発生器の安全性 (matsumoto-musen.co.jp)

4)https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007394.html

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