エアラボ通信

2020年11月20日

新型コロナウイルスの「空気感染」はどのように起こるのですか

みんなエアー|2020年11月20日

呉 博士(みんな電力顧問)

10月5日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナウイルスが「空気感染」で広がることがあり得るとし、感染経路に関する指針を改定しました。これによって「空気感染」は、「飛沫感染」、「接触感染」とともに、主要な感染経路として認識されるに至りました。

(本文の下にCDC発表の原文(抜粋)を転記しましたのでご参照ください)

 

では、新型コロナウイルスの「空気感染」はどのように起こるのでしょうか。

 

人の口から発せられた「飛沫」のうち、大きいものは近傍に落下しますが、小さいものは水分が蒸発した「飛沫核」となり、長時間にわたり空間を漂います。これをエアロゾルと言います。実は、エアロゾルに含まれる新型コロナウイルスが感染力を維持する証拠は、これまで得られていませんでした。しかし、最新のエアサンプリング技術を用いた実空間での研究によって、新型コロナウイルスの感染者がいる室内のエアロゾルには、感染力のある十分量のウイルスが含まれることが明らかとなりました<引用 1)>。これにより、エアロゾルに含まれるウイルスの吸引が感染の直接の原因となる事が確実となりました。

 

別の研究では、エアロゾルに含まれるウイルスは煙のように数秒から数時間にわたって空気中に浮遊し続け、感染者の近傍に居る人を容易に感染させるだけでなく、空間を移動し換気の悪い場所に蓄積され、感染の超拡散(super-spreading event)の原因となることも指摘されました<引用 2)>。

 

まとめますと、新型コロナウイルスの「空気感染」は感染者の咳や会話や呼気から生成したウイルスを含むエアロゾルを吸い込むことによって起こります。国内でもしばしば発生する「感染クラスター」は、換気の悪い場所に蓄積したウイルスを吸い込むことで起こる空気感染と密接に関連している可能性があるでしょう。

 

新型コロナウイルスで厄介なのは、症状がない感染者が多いため、それらの人たちの呼吸や会話の際に発せられる数千のウイルスを含んだエアロゾルの存在に<引用 3)>、全く気づかない事です。まさに「空気感染」は直ぐそばにあるリスクであるばかりでなく、自分自身がウイルス保持し、拡散源となる可能性があることをしっかりと自覚し、マスクの着用をはじめとした感染防止マナーを徹底することが大切です。

 

次回は、空気感染と温度や湿度などの季節因子との関係と、対策の基本となる「換気」について解説いたします。

 

 

<CDC発表原文からの抜粋(直訳)>

【どのようにCOVID-19は広がるか-米国CDC Updated Oct 5, 2020

本日CDCは,COVID-19の原因となるウイルスの空気を介した拡散(airborne spread of the virusの可能性について「How COVID-19 Spreads」のウェブサイトのガイダンスを更新する.

CDCは現在の科学に基づき,COVID-19患者との距離が長かろうが近かろうが感染する可能性があると考えている. 限られた,まれな状況においては,COVID-19感染者から6フィート以上離れた場所にいた人が感染する,あるいはCOVID-19陽性者がその場所を離れて間もなく感染したという報告があることを認識している.これらの事例では歌や運動のようにより大きい呼吸(heavier breathing)が生じる行為を伴う,換気の悪い閉鎖空間で感染が起こっていた.このような環境や行為は,ウイルスを運ぶ粒子の蓄積に寄与する可能性がある.(太字、下線は原文のまま)

 

 

<引用>

1) J. A. Lednicky et al., Int. J. Infect. Dis. S1201-9712(20)30739-6 (2020).

2) K. A. Prather et al., Science 370, 303-4, Oct 16 (2020)

3) K. A. Prather et al., Science 368, 1422-24, Jun 26 (2020).

 

お問い合わせお問い合わせ

お問い合わせは
こちらから