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二酸化炭素濃度とは、1㎥中の空気に含まれる二酸化炭素の 割合を示したもので、0.0001%を1ppmとして表します。室内環境の二酸化炭素濃度の目安は1,000ppm以下とされており、室内の空気環境を判断する指針の一つであり、新型コロナウイルスの換気基準として広く知られました。二酸化炭素濃度が一定の基準値を超えると、人体や環境へ悪影響を及ぼします。
二酸化炭素濃度が高まると人体にどのような影響が出るのでしょうか。地球環境に及ぼす影響についても解説します。
二酸化炭素濃度が人体に与える影響
二酸化炭素(CO2)は人間や動物の呼吸をはじめ、石炭などの有機物の燃焼により排出される気体であり、大気中には0.04%ほどの割合で存在します。屋外での二酸化炭素濃度の基準値は420ppm前後ですが、室内では1,000ppm以下であればまず問題ないでしょう。
しかし、窓やドアを締め切った室内では空気中の二酸化炭素濃度が高くなり、体調不良などの影響が起こり始めます。二酸化炭素濃度の上昇により、どのような影響があるのか詳しく見ていきましょう。
■CO2濃度と人体の症状
CO2濃度の目安 | 主な症状 |
---|---|
10,000ppm未満 | 人体への影響はほぼなし |
10,000ppm超 | 眠気や頭痛、倦怠感など |
30,000~50,000ppm | めまい、呼吸が早くなる、錯乱など |
90,000ppm | 5分で最小致死濃度に達する |
100,000ppm | 視覚障害、耳鳴り、震え
1分で意識消失あるいは最小致死濃度に達する |
300,000ppm | ほとんど即時に意識消失 |
※消防技術安全所「消防技術安全所報44号(平成19年)・居住空間内収容物の燃焼生成ガスに関する検証」のデータをもとに作成
二酸化炭素濃度による生産性への影響
10,000ppm以下はほぼ無害と述べましたが、実際に最近の研究では、ちょうど1,000ppmを超えるあたりから知的活動(問題解決能力や意思決定能力)に影響が出ることがわかってきています。
1,000ppmを超えると知的活動や作業効率の低下が懸念される
健康を害するほどのレベルではないものの、室内の二酸化炭素濃度が1,000ppmを超えると一部の人が息苦しさなどの不快さや眠気を感じます。ビル管理法(建築物衛生法)*¹でも二酸化炭素濃度が1,000ppm以下になるよう空気環境を調整するよう示されており、この記述が新型コロナウイルス感染を防ぐ環境基準の一つとして広く知られることとなりました。
また、立命館大学の学生を対象とした実験*²では、二酸化炭素濃度が高くなるにつれてタイピングミス率が高まったことに加え、作業率も減少傾向にあったという研究結果が発表されています。
二酸化炭素濃度の上昇は、不快感だけでなく、知的活動(問題解決能力や意思決定能力)に影響を及ぼすこともわかっており、オフィスや工場での生産性の低下などが懸念されます。
*²:教室の学習環境と学習効果に関する研究 CO2濃度変化及び温熱環境が作業性と生理心理量に及ぼす影響
さらに、室内の二酸化炭素濃度が2,000ppmを超えると、吐き気や頭痛、倦怠感などの症状を訴える人が増えはじめ、5,000ppm以上になると、心拍数の増加や血圧が高くなるなどの変化が現れるなど、継続した作業等は難しいでしょう。なお、労働安全衛生法(事務所衛生基準規則)*³の換気に関しても、二酸化炭素濃度5,000ppm以下にするよう規定されています。
*³:事務所衛生基準規則 第2章 事務室の環境管理(第2条-第12条)|安全衛生情報センター
10,000ppm(1%)を超えると二酸化炭素中毒に陥る可能性がある
二酸化炭素濃度が10,000ppmを超えると、眠気や頭痛などの症状を訴える人がさらに増え、認識能力の低下が生じるようになります。濃度が上がるともっと多くの影響が現れ始め、高レベルの二酸化炭素濃度環境の中で人体に危険が及ぶ「二酸化炭素中毒」と呼ばれる状態になります。
換気の必要性
建築物における気密性・断熱性の高まりから、2003年の建築基準法改正により、すべての建物において24時間換気システムの設置が義務化されました。二酸化炭素濃度を抑えるためにも欠かせない換気ですが、換気の必要性やメリットは以下にもあります。
・3密を防ぎ、感染症を予防する
・結露の発生による建物の劣化を防ぐ
・カビやダニの繁殖を防ぐ
・シックハウス症候群などの健康被害を防ぐ
測定器による二酸化炭素濃度管理換気がおすすめ
従業員の健康管理や業務効率の観点からも、オフィスや作業場の二酸化炭素濃度を管理し、必要に応じた換気による空気の入れ替えを行うことが有効でしょう。換気のタイミングを知るには、CO2センサーなどを用いて、室内の二酸化炭素濃度を正しく測定する必要があります。一定の時間ごとに換気をする方法もありますが、真夏や冬場など、空調などの稼働で窓を閉め切りがちな場合やエネルギー効率においてもCO2センサーによる濃度管理がおすすめです。
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二酸化炭素濃度が地球環境に与える影響
二酸化炭素の影響というと、地球温暖化や温室効果という言葉を連想する人も多いはずです。ここからは、二酸化炭素が地球環境に与える影響について解説します。
二酸化炭素濃度は人体だけではなく地球環境にも影響する
2021年10月、温室効果ガス世界資料センター(※)は、2020年の大気中の二酸化炭素濃度の世界平均濃度が413.2ppmだったと発表しました。これは、前年の2019年に記録した観測史上最高値を、2.5ppm更新したことになります。
アメリカのテキサスA&M大学と中国の南京大学の科学者グループによると、人類がこのように高い二酸化炭素濃度の空気を吸って生きていたことはこれまでありませんでした。その上昇スピードも、かつてない速さです。そのことが地球環境や気象状況に与えている影響は、決して小さくないといわれています。
※World Data Centre for Greenhouse Gases:WDCGG。世界資料センター(WDC)のひとつ。温室効果ガスにデータを収集・配布する世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)計画のもと、設立された。気象庁にて運営されている。
二酸化炭素が温暖化を加速させている?
二酸化炭素濃度と最も密接な関係にあるのが地球温暖化です。温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの約65%が化石燃料由来の二酸化炭素、約11%が森林減少や土地利用変化などにより発生する二酸化炭素です。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は、2018年に臨時発行した「1.5℃特別報告書」で、温暖化による異常気象がすでに多く観測されており、今後も全世界で熱波の増加や温暖な季節の長期化が進行して、豪雨や干ばつ、海面上昇などが深刻化すると警告しています。
地球環境にとって理想的な気象状況とは?
大気中の二酸化炭素濃度が400ppmを超える状態は、以前から「危険水準」といわれていました。では、地球環境にとって理想的な二酸化炭素濃度は、どれくらいなのでしょうか。残念ながらこの点について、コンセンサスを得ている具体的数値はないようです。
ただ、気候変動対策の国際枠組みである「パリ協定」(2015年開催)では、将来、気温上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑えることを目指し、可能なら1.5℃に抑えるという努力目標を掲げています。しかし、IPCCは3年後の「1.5℃特別報告書」で、気温上昇を2℃ではなく1.5℃未満に抑えることが、地球環境を安定させ、人間が心身ともに安全・健康に暮らす上で重要だと示しています。
2021年1月に、国連の専門機関である世界気象機関(WMO)は、2020年の世界の平均気温が約14.9℃だったとする報告書を公表しました。これは、産業革命前の1850~1900年の平均に比べて、約1.2℃高い温度です。さらに、WMOより2023年7月7日には世界平均気温が17.24℃に到達し、過去最高記録を更新したと発表されました。
二酸化炭素を必要以上に出さないために
地球温暖化防止や省CO2への対応が求められているのは、国や企業だけではなく、各家庭や個人も同じです。続いては、二酸化炭素を必要以上に出さないために一人ひとりができることを紹介します。
日常生活でできることを実践してみる
家庭で家電製品を使い、自動車に乗り、冷暖房のスイッチを入れれば二酸化炭素が排出されます。これらをすべて使用しないというのは現実的ではありませんが、使用する頻度を減らす、使い方を工夫する、買い替え時に省エネタイプの製品を選ぶといったことは難しくはないでしょう。また、家庭の電気を、地球の環境負荷が少ない風力や太陽光といった再生可能エネルギーを選べる電力会社に切り替えるという選択肢もあります。
冷蔵庫を使うときも工夫すれば、省エネが可能です。熱い物は冷ましてから入れる、物を詰め込みすぎない、適切な温度を設定することを徹底するといったことだけで、省エネのほか節約もできます。日常生活でできる省エネ・省CO2行動を探してみましょう。
空気環境改善に着目する
室内の空気をモニタリングする仕組みを整えて居住空間やオフィス空間内の二酸化炭素濃度をチェックし、空気環境の改善を行うことが、地球環境や温暖化問題への関心が芽生えるきっかけになります。
使用する換気設備の省エネ化をどうやって実現するかも、テーマのひとつとなるでしょう。手近なところから始めるなら換気設備の掃除やメンテナンスをして、本来のパフォーマンスをしっかりと発揮させることが大事です。システムの見直しをするなら、機械換気の中でも換気による空調負荷の少ない全熱交換器の導入などを検討してみてもいいかもしれません。
健康と環境を守る
二酸化炭素が地球環境に影響を与えていると聞くと、どこか遠い場所で起きている現象のような気がしてきます。しかし実際は、二酸化炭素はいつも私たちの身の回りにあり、吐く息にも含まれている気体です。室内の二酸化炭素濃度は健康や仕事の生産性にも多大な影響を与えています。まず、生活や仕事の空間に存在する二酸化炭素と、空気環境について考えてみてください。
株式会社UPDATERのWell-being tech事業「みんなエアー」では、安全・快適で過ごしやすい環境づくりをサポートしています。「なんとなくほこりっぽい」「湿気っぽくてカビくさい」「眠くなる」「人が多いと息苦しく感じる」ということはありませんか?それらのお困り事は「空気」の改善で解決できるかもしれません。
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